ナポリの小枝とノルウェーの切り株

ノルウェー、ヴィーガン、猫とおそ松さん

考古学の話

グルメ・ユー、グルメ・ミー

オイシイ冬野菜の季節がやってきました~。 主に南イタリアで食べられているフリアリエッリです。 日本では千葉以外ではあまり見られない菜の花の花のつぼみと 柔らかい葉っぱの部分をいただく、苦みがたまらないオイシイ野菜。 実家でも、もちろん食卓に上…

Death or Alive アレキ城

以前の歴史記事でちょっと話題にしたアレキ城。 ナポリから南60キロにあるサレルノの歴史的建造物で 中世のゲルマン民族大移動から見張り塔として大活躍していたに違いないが そんな事情を知らなければ、崩壊寸前の瓦礫の山。 カミッラの要望で、久しぶりに…

続アンジュー家の城

二つ程前の記事で扱ったカステル・ヌォーヴォ、通称アンジュー家の城、 城内部には、特にこれといった興味深い展示品はなく、 なんとく、旧校舎を歩いているような気分の建物でした。 中庭を通じて、いくつかの入り口があり、 前回の営業妨害ツアーは城の内…

ナポリのおフランス、アンジュー家の城

Castel nuovo(カステル・ヌオーヴォ) 通称アンジュー家の城と呼ばれる ナポリの海沿いに建つ3つのお城の一つ。 おフランスなんて言ったら、ロココ? 残念ながら、今回の記事はフレンチゴシックなお城のお話です。 お城を建てたのはフランス貴…

ノルウェージャン スパルタクス散歩

カミッラがママとサレルノ散歩に来ました。 スパルタクスとは、古代ローマ時代に剣闘士として活躍した奴隷の名前ですが、 それよりも聞き覚えのある"スパルタ式教育"という言葉、 スパルタとはギリシャのドーリア地方にある都市の名前で、 幼少期から軍隊教…

ファントフト木造教会とモヤモヤ

ずっと憧れていた木造教会、この前の旅行でやっと実物を見ることができた。 木造教会はキリスト教以前、北欧神話に出てくる神々たちとの対話の場所だったらしく、 カトリックの宣教師や教皇の興味でかなり破壊されているが、 ノルウェーは政治的にも経済的に…

腰抜けオーレスン

Ålesund(オーレスン/オールセン)から見えるフィヨルドの向こう側。 二年前、数年ぶりにノルウェーに行ったとき(カルメンとケンカしたので家出するつもりで)、 西ノルウェーの中部にあるオーレスンという街に行くことを決めた。 この地方にはバスで行ける…

ダニーとカミッラと秘密の部屋

ナポリ国立博物館の廊下 今回の記事は歴史と下品のフューチャリング記事です。 ローマ美術と考古学テストを終えた後に再訪したナポリ国立博物館は 白黒の写真でしか見たことのなかった実物の絵画や 本の中で出会った古代の文豪さんたちとのオフ会のような 懐…

カポディモンテ王宮博物館①

カポディモンテ王宮博物館はナポリの丘の上にある 広大なお屋敷とお庭を持つ博物館だけど、 ブルボン家支配時代に狩りを楽しむ為に作られた、都会のオアシス的な館だったとか? ナポレオンの10年支配が終わり、スペイン系ブルボン家がナポリを支配すると、…

真っ暗卵城

夜の卵城。ナポリのサンタルチア湾に突き出たメガリス島に建つちょっと怖いお城。 長いことナポリに住んでいて、真っ暗の卵城に行ったことがなかったのは 日没一時間前には閉鎖されていたから。 ここ数ヶ月はナポリ市長が代わり、 文化財の公開に力を入れ始…

修復のうんちく

このところ、あまりにも人生を生きていく上で役に立たなさそうなお勉強に ちょっと無駄に時間を使いすぎているので、ナチュラルハイになりつつあるのだけど、 最近読んだ本であまりにもびっくりさせられたことが書いてあったので、 少しだけ紹介、全部書いた…

バロック的って何のこと?

バロックという表現を良く使うのだけど、それがどういう形容詞として使われているか 美術史や音楽史を勉強した人でなければ、あまり想像が湧かないと思うので 少しだけ私の中のバロック感を書かせていただこうと思う。 バロック文化は17~18世紀にヨーロ…

歴史的テーマパーク?

博物館が嫌いという方、あまりいないと思う。 私、イギリスや北欧の博物館が大好きなのだが(勿論千葉の郷土博物館も)、 北欧に限ってはイタリアなどと違い、並べる品物が少ないので ヴァーチャル博物館なるものが存在する。 つまり、実物でなく、模型や写…

不完全が役に立つ 年代測定法序章

イタリアの大学生をやっていること自体が イタリアの文化を冒涜している虚しいブログへようこそ! 宇宙と交信したい間抜けなパパと、バイキングの末裔のような怖いママがいなかったら 洋服と美容室代で、お小遣いが終わってしまうような"お馬鹿ちゃん"になっ…

芸術とは何ぞや?

カミッラの絵画作品。 オスロ近郊、アスキルの冬景色を アクリル絵の具を用いて、筆一本と濡らしたティッシュペーパーだけで 数分で仕上げるという、とっても独特だけど色使いと変な遠近法に 趣を感じる一枚。 さて、古代ギリシャが西洋美術史に多大な影響を…

消えてしまったギリシャ壁画の再現

文学部史学科考古学専攻プラス中世とキリスト教選択・・・ というのが、私の取っているマスターコース。 年末の私の嘆き・・・、それは毎年簡単になるコースの内容。 読む本の数が減って、単位も一回のテストで多めに取れるので 卒業は簡単になるのだが、私…

西洋美術史はリバイバルの歴史?(2)

クリスマスには嫌われ者として 登場するローマ皇帝アウグスト(在位27B.D.~14A.D.) カエサルの後を継ぎ、ローマを共和制から帝王制に変え、 更には中途半端な立場にあったエジプトを傘下に入れ、 戦い続きだったローマに平和をもたらした 初代…

西洋美術史はリバイバルの歴史(1)?

"ローマ絵画史と考古学"という恐ろしい科目に手をつけると 西洋美術史はギリシャ美術を起源にした使い回しの美術史のような印象を受ける。 元ネタ発見的な面白さと人々が美術に求める価値、 そして美意識の歴史が見えてくる。 最初に簡単に説明しておくと・…

陶器VSガラス、かぶき者なノルマン人

こちら、11世紀頃、南イタリアに居座ったノルマン人、ルッジェーロ2世のマント。 真紅の布に金の刺繍、モチーフはトラ。 マントの持ち主、ルッジェーロ2世 ナポリのレアル王宮の彫刻より 活字が好きな方へ ノルマン人とは: ノルマン人の起源はデンマー…

中世のガラス工房

産業革命以前、ガラス製品が高級品であったことはご存知の方も多いと思う。 中世においてもガラスの需要は"装飾品"であった。 今でこそ、大量生産され、ビー玉を武器にする不良すら現れる時代になったのだが(そして過ぎ去っていった)、 そんなガラスがなぜ…

古代と中世の間、そのときローマ人は?

最近、空腹に耐えながらも気になって読んでしまった本がある。 ナポリのあるカンパーニア州山間部、ベネヴェント県とアヴェリーノ県、 そして、私の住む海辺の街、サレルノを結ぶ3つの地域に テリトリーを築いたロンゴバルド族とその土地に逃げていったロー…

誰でも知りたがってるくせにちょっと聞きにくい考古学の一部についてお教えしましょう

誰でも聞きたがっているかは知らないが、 誰もが勘違いしがちな考古学にまつわる話である。 真面目な記事ではないので、アホに割く時間がない方は パスした方がいいかもしれない。 1、魅惑の学問? 考古学を主題にした大衆商業映画をご存知だろうか? イン…

お墓の話

発掘に当たって、気になる場所がある。 お墓である。 どうしても掘り返したい気分に襲われるのだが、私は死体愛好家のネクロフィリーではない。 こちらは教授や助手直々の手により堀出されることが多い。 それは時代を超えた菌やバクテリーから他所のご子息…

リサイクルお城と砦

イタリアに侵入した北ロンゴバルド族(大ロンゴバルディアを形成)、 そして移民した南ロンゴバルド族(小ロンゴバルディアを形成)は 同じ民族ながらも別々の方法でイタリアに居座った。 さて、南に移民を言う形で流入してきた方は その素晴らしく農作に適…

ローマ、その後、ロンゴバルド族

ローマ帝国が崩壊してからというもの、ゲルマン民族の流入により、 ローマ文化圏は他の習慣を受け入れざるを得ない状態となるわけだが、 その中でもそんな変化に大きな影響を及ぼした民族がいた。 それはロンゴバルド族といい(日本ではランゴバルド族のほう…

ギリシャOr中世?

今日は夕立のおかげで気温が下がり、いつもの頭痛がなかったので 少しだけ苦手な古代のお話。 私のホームタウンから電車で20分ほど南下すると、 世界遺産に登録されているギリシャ神殿群、パエストゥム(Paestum)に着く。 ここではアテネのパルテノン神殿…

中世考古学

中世考古学は私の大好きな分野であるのだが、 勉強を始めてみると、その分野の曖昧さに長い前置きが必要になる。 そもそも、中世という時代の定義は存在せず、 学者や地域によってかなりのズレが生じるため、 どの本を取っても年代の設定に長い説明を書き添…

フリードリッヒⅡ世のお城

中世後期を代表する南イタリアの名君主である フリードリッヒII世 興味があるけど知らないという方へ フリードリッヒⅡ世(1194ー1250) スワビア公であるヘインリッヒ六世とノルマン系貴族オートビル家の末裔、コスタンツァとの間に生まれた ノル…

内緒のエトルリア人

最近ふざけすぎた記事が多いので、真面目な話しを・・・。 南イタリアのカンパーニア州、ナポリより数十キロにある エトルリア人の遺跡は私の大学の練習用遺跡である。 とっても素敵な発掘学の教授と数週間の遺跡実習が義務付けられている。 エトルリア人と…

リーセ・クロステル修道院跡 西ノルウェー

ベルゲンより南数十キロ、隣県オス(OS)との間に残る 修道院跡は1146年建立。 当時は"リーセ聖母マリア修道院"の名で呼ばれていた。 フランスより派生したチトー派の修道院である。 ご存知の通り、ノルウェーのキリスト教はイギリス伝来である、 この…