以前の歴史記事でちょっと話題にしたアレキ城。
中世のゲルマン民族大移動から見張り塔として大活躍していたに違いないが
そんな事情を知らなければ、崩壊寸前の瓦礫の山。
カミッラの要望で、久しぶりに訪問することに。
以前に比べて随分整備され、
階段やエレベーター、バールにトイレに、
楽しい観光名所っぽくなっていた。
博物館なんて開館していたが、
入場料の安さと学生証の黄門様が効かないところを見ると、
展示はビデオや写真のみのバーチャル系博物館と見た。
トイレの看板。中世のマダムとムッシューのアイコンが良い雰囲気
早速階段でこけるカミッラだが、
糖尿病であろう親父と水商売系ババアがコーヒーを飲み放題している
いなたいバールでコーヒーを一杯引っ掛けると
城の構造に全く興味を示さず、見える景色の写真だけとって、
城を後にしようとしている。
折角来たのだから、城の構造と歴史、偉大なるロンゴバルド族の話を聞け!
城の上部からの風景
ご覧のように、この城は急斜面の天辺に建てられているため、
バスが通過する裏道を降りることが適当ですが、
エスカトロジア体験(生死の間)がよっぽど味わいたいのか、
この急斜面を獣道を頼りに辿りたいというのだ!
確かに、城の横には、ヤギさんや羊さんも放牧のために
訪問しているであろう、蹄の跡や糞も散らかっているが、
一メートルあるかないかの獣道を
壁伝いに下っていくなんて無理だ!
雨でやわらかくなっている土に足をしっかり乗っけながら
下り続けると、さすがに足場もなくなり、ロッククライミング状態に・・・。
自分の均衡すら取れない状態なのに、カミッラが転げ落ちないように
最後には、抱えて山の中腹までやっと着いたが、
そこで足場が消えました。
断崖絶壁ですよ。
小雨だった雨足が大雨に変わり、防水加工されていない私の上着は
ベルゲンを散歩しているときより、更に重くなっていきました。
途中まで戻って、何度も下山道を探し、2時間が経過したころ、
カミッラがカバンをごそごそ始める。
さすがに辛くなって休憩を取るのかと思いきや、
取り出したのは、携帯電話のカメラ。
"3時30分、私達の現在地"
とか言って、写真撮影&フェイスブックに投稿ですよ!
なめんなー!!!
足を半歩踏み外したらバースト・イントゥー・ヘル、
地獄までまっしぐらな最中にフェイスブックに投稿している場合かあほ!
脳みその許容量が限界まで達していたので、
笑いが止まらず、滑りそうになった私がアホです。
ここで説得して、城まで戻ることになりますが、
頂上までの最短コースと、無理のない道を本能的に選択する能力がついたのか、
のぼりは随分楽だった。
日頃から座りっぱなしなはずの私なのに
やっぱり生命危機には脳みそがキチンと動いてくれるのね。
カミッラは私の最短コースに納得がいかず、
自分で道を検索していたが、
何十メートル下に見える黄色い上着が見えるたびに、
救出に下りて、手を引っ張って楽な道まで戻して・・・
そんな面倒を繰り返していてにも関わらず、
怒る気も、攻める気も起こらずに寛大な心で
救急車の電話番号を握り締めながらカミッラレスキューできたのは、
状況として、その選択肢以外なかっただろうな。
余裕がなかったので、ロンゴバルド族の城までの近道に使った抜け道も
動物の大腿骨も、山羊さんたちの糞も写真に収めることができませんでした。
無事に市街まで戻れた私たちは、バールで一息。
カプチーノはカミッラのおごりです。
命の恩人だから、当然といえば当然。
"さて、ロンゴバルド族の話をしてもらおうか?"
椅子に座って、落ち着いてその歴史をやっと話させてくれましたが、
城にいるときに聞けー!!
ついでにこのバール、南イタリアとは思えないかわいい内装です。
コーヒーはまずいですが、雰囲気がいいので長居したくなりました。
7時のナポリ行きバスにカミッラを乗せて
一件落着した私は、朝から何も食べずに山道をフラフラしたため、
帰宅して、すぐに寝てしまいました。
今週はミサと猫の出産でお疲れの私・・・。
カルメンは沢山の美味しい御食事を作って、
実家に帰っていったので、お一人様のナポリでやっとゆっくりできそうです。
カミッラはあさってまでイタリアにいます。
今日は旧友のランチにお呼ばれしているので、
終わり次第、コーヒータイムに誘われそう。
何処の家でも子羊料理が出るので、
誰にも誘われませんが、この日のお呼ばれだけはお断りしています。
とにかく匂いが尋常ではありません、羊の子供を殺して
な~にが復活祭じゃ!
御呼ばれされていないから、ひがんでいるのではありません
念のため・・・。