ナポリの小枝とノルウェーの切り株

ノルウェー、ヴィーガン、猫とおそ松さん

#歴史

古生物学博物館とお便り

ある日突然晩秋の始まったナポリ。 買物ついでに、随分ご無沙汰していた古生物学博物館に寄ってみた。 ナポリ大学の伝統的な校舎にある理系博物館の一つで、 有名な恐竜の化石"チーロ"が見られる。 知らないと見逃しそうな入り口。学生以外立ち入り禁止の看…

続アンジュー家の城

二つ程前の記事で扱ったカステル・ヌォーヴォ、通称アンジュー家の城、 城内部には、特にこれといった興味深い展示品はなく、 なんとく、旧校舎を歩いているような気分の建物でした。 中庭を通じて、いくつかの入り口があり、 前回の営業妨害ツアーは城の内…

ナポリのおフランス、アンジュー家の城

Castel nuovo(カステル・ヌオーヴォ) 通称アンジュー家の城と呼ばれる ナポリの海沿いに建つ3つのお城の一つ。 おフランスなんて言ったら、ロココ? 残念ながら、今回の記事はフレンチゴシックなお城のお話です。 お城を建てたのはフランス貴…

頭の調子を整えるものと古代ギリシャファンクラブ

アントニオが学会でもらってきた猫と犬のぬいぐるみ。 動物病院に置くものらしいが、小児科ではないので、ぬいぐるみをみて心を癒される患畜がいるとは思えない。 猫の方は聴診器が吸盤になっているので、ガラスに貼り付けるのかな? 首吊り状態の動物のぬい…

古代ローマ文学と同人作家1

Asterix et Obelix(アステリクスとオベリクス) フランス産のマッチョな漫画。 侵略を繰り返した古代ローマ人によるヨーロッパ支配に 唯一屈しなかった民族のパロディ漫画。 古代ローマ時代に苦しめられている私のストレス発散に 随分役に立ってくれていま…

ブラザーハラムの追悼ミサ

ナポリの聖ドメニコ教会、礼拝堂から主廊を覗く カミッラがママとイタリアへ休暇をとりに来たのはいいけど、 朝っぱらから実況中継おもいっきり生電話がかかってきて、 ナポリに到着する一番早い方法をいちいち説明したり、 ネットで時刻表を調べたりで、疲…

ダニーとカミッラと秘密の部屋

ナポリ国立博物館の廊下 今回の記事は歴史と下品のフューチャリング記事です。 ローマ美術と考古学テストを終えた後に再訪したナポリ国立博物館は 白黒の写真でしか見たことのなかった実物の絵画や 本の中で出会った古代の文豪さんたちとのオフ会のような 懐…

カポディモンテ王宮博物館①

カポディモンテ王宮博物館はナポリの丘の上にある 広大なお屋敷とお庭を持つ博物館だけど、 ブルボン家支配時代に狩りを楽しむ為に作られた、都会のオアシス的な館だったとか? ナポレオンの10年支配が終わり、スペイン系ブルボン家がナポリを支配すると、…

真っ暗卵城

夜の卵城。ナポリのサンタルチア湾に突き出たメガリス島に建つちょっと怖いお城。 長いことナポリに住んでいて、真っ暗の卵城に行ったことがなかったのは 日没一時間前には閉鎖されていたから。 ここ数ヶ月はナポリ市長が代わり、 文化財の公開に力を入れ始…

ナポリのレアル王宮③

もう、いい加減にしろって思いながらも、 まだある夢のスペイン統治時代の住居写真、豪華さに胸焼けしつつも、 あと少しだけ紹介させてネ。 玄関右側に展示されている馬車。何人乗り?ミニマムさがイタリアで走っているSmart並みだ。 王宮2階にある劇…

ナポリのレアル王宮②

前に紹介した王宮博物館の続き。 その前に、この王宮がどれだけ"安定した時代"を送っていたか、 同じ地域にあるほかの城の写真と比べていただきたい。 ノルマン人の建てた卵城(1140)。 サンタルチア湾に突き出した島にある。 現在は改良されて展示会場…

ナポリのレアル王宮①

大理石で埋め尽くされた宮殿玄関。 ナポリには7つの王宮が存在する。 ノルマン人の建てた卵城、カプア城とエルモ城、フランス王朝アンジュー家の建てたヌオーヴォ城、 そしてスペイン支配の時代に建てられたカポディモンテ王宮と、このレアル王宮。 権力者…

煉獄教会

上の写真は水のお祭りが行われるカンパーニャの教会に描かれた プルガトリオ(煉獄)のイラスト。 カトリックの概念にプルガトリオという世界がある。 死後、天国に入れなかった者が修行を(苦行)積んで 天国に行くことを約束されるところで、天国と地獄の中間…

カンパーニャのちょっと変な行事

浮かんでいるのはスイカです。 ナポリからイタリアの土踏まず部分に向かって3時間程、 お隣のバジリカータ州に近い街、その名もカンパーニャ(Campagna)。 街の名前の由来はきっと相当田舎だったことからそんな名前が付いたのだろう・・・ その起…

理系の博物館

ナポリ大学付属の理系博物館に行ってきた。 Centro Musei delle Scienze Naturali http://www.musei.unina.it/index.php ナポリ、フェデリコ・セコンド大学に付属されている自然史博物館は全部で3つ。 鉱物博物館 人類学、…

歴史的テーマパーク?

博物館が嫌いという方、あまりいないと思う。 私、イギリスや北欧の博物館が大好きなのだが(勿論千葉の郷土博物館も)、 北欧に限ってはイタリアなどと違い、並べる品物が少ないので ヴァーチャル博物館なるものが存在する。 つまり、実物でなく、模型や写…

Question monk 1

素敵な皆さんがコメントに下さった質問にお答えします! 字数の関係と作動しなかった脳みそのために 答えないままになっていた貴重なクエスチョンに、真心を込めてお答えします。 ・・・・・真剣です。 Intentions The Whitest boy alive 一問目 中世教会の…

西洋美術史はリバイバルの歴史?(2)

クリスマスには嫌われ者として 登場するローマ皇帝アウグスト(在位27B.D.~14A.D.) カエサルの後を継ぎ、ローマを共和制から帝王制に変え、 更には中途半端な立場にあったエジプトを傘下に入れ、 戦い続きだったローマに平和をもたらした 初代…

西洋美術史はリバイバルの歴史(1)?

"ローマ絵画史と考古学"という恐ろしい科目に手をつけると 西洋美術史はギリシャ美術を起源にした使い回しの美術史のような印象を受ける。 元ネタ発見的な面白さと人々が美術に求める価値、 そして美意識の歴史が見えてくる。 最初に簡単に説明しておくと・…

陶器VSガラス、かぶき者なノルマン人

こちら、11世紀頃、南イタリアに居座ったノルマン人、ルッジェーロ2世のマント。 真紅の布に金の刺繍、モチーフはトラ。 マントの持ち主、ルッジェーロ2世 ナポリのレアル王宮の彫刻より 活字が好きな方へ ノルマン人とは: ノルマン人の起源はデンマー…

中世のガラス工房

産業革命以前、ガラス製品が高級品であったことはご存知の方も多いと思う。 中世においてもガラスの需要は"装飾品"であった。 今でこそ、大量生産され、ビー玉を武器にする不良すら現れる時代になったのだが(そして過ぎ去っていった)、 そんなガラスがなぜ…

古代と中世の間、そのときローマ人は?

最近、空腹に耐えながらも気になって読んでしまった本がある。 ナポリのあるカンパーニア州山間部、ベネヴェント県とアヴェリーノ県、 そして、私の住む海辺の街、サレルノを結ぶ3つの地域に テリトリーを築いたロンゴバルド族とその土地に逃げていったロー…

リサイクルお城と砦

イタリアに侵入した北ロンゴバルド族(大ロンゴバルディアを形成)、 そして移民した南ロンゴバルド族(小ロンゴバルディアを形成)は 同じ民族ながらも別々の方法でイタリアに居座った。 さて、南に移民を言う形で流入してきた方は その素晴らしく農作に適…

ローマ、その後、ロンゴバルド族

ローマ帝国が崩壊してからというもの、ゲルマン民族の流入により、 ローマ文化圏は他の習慣を受け入れざるを得ない状態となるわけだが、 その中でもそんな変化に大きな影響を及ぼした民族がいた。 それはロンゴバルド族といい(日本ではランゴバルド族のほう…

中世考古学

中世考古学は私の大好きな分野であるのだが、 勉強を始めてみると、その分野の曖昧さに長い前置きが必要になる。 そもそも、中世という時代の定義は存在せず、 学者や地域によってかなりのズレが生じるため、 どの本を取っても年代の設定に長い説明を書き添…

清貧思想、その後

精神思想から出現したフランチェスコ修道会、 教会汚職やそれに見合っていない豪華な生活を送る聖職者たちを 弾圧し、異教とみなされ迫害されたバルドス会の一例があったように この思想は教会と平和を保つためにいくつかのルールを改定しなければならなかっ…

13世紀

ベネディクト会から新たな動きとして頭角を現す修道会、 クリュニー会、ベネディクト派観想修道会 シトー会、ベネディクト派隠者修道会 チェルトーザ会、禁欲隠者修道会 ベネディクトの戒律は観想修道会で好まれ、 アウグスティウスの戒律は隠者修道会で適用…

ドメニコ修道会

13世紀初頭に出現し、庶民にも大評判だった托鉢修道会、 フランチェスコ会をともに頭角を現したドメニコ修道会について書いていこうと思う。 ドメニコ修道会 創立年: 1216年(教皇ホノリウスにより認可) 創始者: ドメニコ・デ・グッツマン この修道会…

アッシジのフランチェスコ

13世紀には托鉢修道会の誕生を迎えるのだが、 この時期に入り、教会の運営に異を唱えるものも目立つようになり(カタリ派、ヴァルデス派など)、 教会側の鬱屈は異端狩へ向けられる。 教会不信という言葉の方があっているかもしれない。 民衆の不満に答える…

シトー派修道院

ベネディクトの戒律、ウィットビー教会会議、アーヘン条約、 9世紀に目立ち始めた聖職汚職から教会を救った クリュニー修道会、この修道会はいくつかの対策により、 保護、そして教会に大きく貢献する一方、 現世との繋がりが断ち切れずに少しずつ富を蓄え…