ナポリの小枝とノルウェーの切り株

ノルウェー、ヴィーガン、猫とおそ松さん

真っ暗卵城

 
 
 
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夜の卵城。ナポリのサンタルチア湾に突き出たメガリス島に建つちょっと怖いお城。
長いことナポリに住んでいて、真っ暗の卵城に行ったことがなかったのは
日没一時間前には閉鎖されていたから。
 
ここ数ヶ月はナポリ市長が代わり、
文化財の公開に力を入れ始めているのだろう、教会内でも写真撮影は禁止傾向だ。
 
卵城は天然の孤島?
花崗岩が海に突き出ている土地は、ナポリの歴史を見る面白い地点になっている。
 
 
時間のない方は飛ばして、下のほうの写真だけお楽しみ下さい。
 
 
卵城の歴史(超略式)
 
紀元前7世紀
古代ギリシャ人が初めに入植したイスキア島より、ナポリを植民地にするため
こちらの島を足がかりにしたとか、なのでナポリ海沿いはギリシャ時代に作られた
街が埋まっている。
 
西暦5世紀
古代ローマ人は良い漁場として使っていたらしいが、
図書館も設立していたらしく、古代が終わるまで修道院も併設していた。
最後のローマ皇帝ロムルス・アウグストが幽閉され処刑されている。
 
中世前期
サラセン人の南イタリア侵攻が始まり、侵略のために本部が置かれる。
 
中世後期
ノルマン人により南イタリアが統一され、見張りの為の塔が築かれる。
典型的な対戦用のお城として使われ始めるが、
住居用のカプアーノ城建設まで、貴族様も住んでいた。
 
近代以降
城砦として機能していたこの城を破ってフランス貴族から
スペイン貴族に政権が交代すると、
見張り塔として、更なる塔を築いている。
 
現在
歴史民族博物館という名を持ちながらも、
何が展示してあるわけではなく、文化財科に所属していると思われる
暇そうなおじさんたちがコーヒーを飲む場所となっている。
新しい市長により、開館時間を延長することになり、
入場者の管理が面倒で、たまらない模様。
 
 
卵城の名前についてよく質問されるのだが、
いろいろな逸話が残っている。
 
一番ポピュラーなのは卵型の石土台説。
卵型の石が城の土台に使われており、それが壊れるとき
ナポリも同時に破壊されるという呪いつきのお話。
ちなみにいろいろなバージョンがあります、
お好きなものを信じてネ。
 
 
入り口の長い廊下。緩やかな坂を上っていきます。
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坂の途中にはエレベーター、イタリアのエレベーターって恐ろしくのろいので、足で登っていったほうが早い。
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坂を上りきると、やっと城の入り口。
 
中世時代に活躍した"ルーポ"という柵、
敵に攻められてきたとき、この柵をを
勢いよくおろすと効果的なんだとか?
先っぽがとがっているのでその恐ろしい
性能はあまり知りたくないかも。
 
置くに見える人型は現代アートの彫刻です。
写真だとちょっと怖く見えるので
面白いかも。
 
このお城、城砦の造りを見せるだけで、
歴史的な展示物はない。
むしろ建築家によって、城内に展示室が造られ、
ナポリコーヒーフェアとかで
有名コーヒーメーカー3社による味比べ大会が
開かれたり、美術展が開催されたりしている。
 
 
 
 
イメージ 6城の中の大通り。
 
中世時代には城の中に街があったことを
ご存知の方は多いかと思われますが、
そんな雰囲気を思わせる広さ。
 
右側にある小さな小部屋の扉が気になります。
 
今は電灯で照らされているけど、
ノルマン人の時代は松明だったのだろうな。
(蝋燭の発明は15~16世紀だった気がする。)
その前にこのお城、
ノルマン時代の頃の姿は残っていないと思われる、
現在の状態はきっとスペイン王朝時代、
14~15世紀に改築を繰り返したか、
18世紀のグランドツアーブームで
外国のお客様を泊める為の施設として
使われていた可能性も高い。
 
 
牢屋としての機能はブルボン家支配時代の
17世紀にもあったとか?
拷問室や処刑所もあったに違いない。 
 
 
 
坂を上りきると右手に見える街に面したスペース。
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礼拝堂だったのかな?
三脚の木組み天井と柱が教会の作りと思わせる。
中世前期は祭壇が東向きだったので、方角からしていちぢるしくそれっぽい。
 
ここで写真を撮っていたら、管理人らしきおじさんに"ミス、クローズ"と連呼されてしまい、
事実上、本来の閉館時間よりも1時間ほど前に追い出されてしまった。
政治が変わって仕事が増えたとイライラ気味の様子。
 
上の写真の窓から撮ったナポリの風景。
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左下から中央にかけて見える道がこの城に入る一本道。
昼間は結婚式の後で写真とっている新郎新婦を良く見かけます。
 
この辺りは19世紀まで漁村だったそうだが、
海沿いに道路を作り、それに沿って高級ホテルが立ち並ぶようになった。
一番ライトアップされているホテルはクリントンが泊まったとか?
その左側のホテルはサッカー選手の宿泊所らしいです。
 
 
礼拝堂跡らしきところから更に登っていくと
展望台に出るのだが、あまりの暗さと海鳴りに
ちょっと怖くなり、目線をずらしたら、うつうつしたスーツ姿のおじさんが
暗闇で宿題をやっていたので、危ないパラレルワールドからすぐに引き返した。
 
 
別の窓から島の広場を撮影。
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シーズンは終わっていても、ロマンチックな散歩カップルのために
雰囲気の良いレストランは開いている。
暗さで遠近感がなくなりつつあったので、下を向いてカメラを構えるのは怖い!
 
なので、城から下りて、広場を散策。
 
レストランの宣伝用ディスプレイと右側には卵城。
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魚の死骸と生け捕りした貝類がカラフルな桶に入ってます。
掃除用の霧吹きは置き忘れ?
 
 
灯台の形をしたメニュー表とかわいいテーブルクロス。
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こちらのレストランはブルーのインテリアがかわいい、
しかし、数ヶ国語で書かれているメニュー表、英語の表現はかなり怪しかったりする。
ちなみにこういうレストランに来るのはドイツ人の老夫婦が多い。
 
 
 
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広場の角にはとっても南イタリアチックな
海のそばに必ずあるマリア様の祭壇。
海難事故に遭わないように見守って下さっています。
 
レストランの色とりどりの
ネオンの使い方がとってもナポリ的、
お給仕さんがヘタクソな英語で
話しかけてくるので
久しぶりにツーリストの気分を味わえました。
 
 
卵城入り口から高級住宅街のある地域を望む。
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夏だったら、アーモンドの胡椒クッキーや牛の鼻の生食売り屋台を見るけど、
週末とはいえ、人影すら少ない海辺。
やっぱりナルチストなんだろうか?
いつもは太陽の降り注ぐナポリのもの寂しい一面にうっとりしてしまう。
11月は観光客も少なくておススメです。
 
・・・本当に撮りたかった場所は暗すぎて撮影できませんでした。
足元の見えない海に面した頂上付近も
スーツ姿の宿題紳士のパラレルワールドも怖かったので、
カメラに収めることができたのは、電灯のあるところだけ、
中世の雰囲気をもっと皆さんにお伝えしたかったです・・・。