このところ、あまりにも人生を生きていく上で役に立たなさそうなお勉強に
ちょっと無駄に時間を使いすぎているので、ナチュラルハイになりつつあるのだけど、
最近読んだ本であまりにもびっくりさせられたことが書いてあったので、
少しだけ紹介、全部書いたら恐ろしく長くなるからね。
最近読んだ本(3冊ともナポリのフェデリコII世大学で借りたもの)
左から・・・ペルシーニ著 "絵画、木工彫刻作品の修復の歴史とセオリー、技術"
ブランディ著 "修復、セオリーと実技"
コンティ著 "修復史と美術品の保存"
3冊とも実際に修復のシーンで役立つようなことには触れず、
ただ、ただ修復に対する哲学的なことを書き綴っています。
面白かったのは今まで持っていた概念を覆すような修復の方法、
特に現代アートの分野においては、脳みその柔軟性を求められるような
信じられない方法がとられているのでその中から3つほど例を挙げてみる。
1、フラヴィンの蛍光灯芸術
ネオンを使ったアメリカ人芸術家ダン・フラヴィンの作品は
電気をつけて初めてそれが芸術作品となるため、展示しているうちに
蛍光灯も寿命を迎えることとなるのだが、そこで新しいものと交換するに当たって
少し注意が必要になる。
それはその作品ができた当時と同じ手法で作られた蛍光灯でなければいけない。
さらに、全く同じ菅で、デザインに少しの違いも許されず、
同じ光を発するもの出なければならないとか(なんて迷惑な芸術だろう・・)。
2、バーネット・ニューマンの"赤、黄、青を怖がる人"
さて、こちらの作品には湿気などからくるストレスにより、台紙が耐えられずに
大きな亀裂が左から右にかけて入ってしまった。
その傷を隠す為に採用された方法は・・・
なんと、"作り直し"。
入ってしまった大きな亀裂を埋めても、できてしまった凹凸のため、
元々あった光沢を再現することはできないと判断し、
全く同じ素材を使って全く同じ寸法で仕上げ、"修復"した一例。
・・・なんか意地悪な引っ掛け問題のクイズみたいだ。
作品のコンセプトが保たれれば、こういう方法も可能ということか。
3、ジョヴァンニ・アンセルモの食べる彫刻
イタリアの彫刻家作品、彫刻がレタスを食べるという芸術だとか・・・
この作品は毎日レタスを交換するという"修復"が行われている。
レタスがおいしそうでないといけない作品なんだそうです。
もういいよ・・・って思った方ごめんなさい。
修復の歴史
本当の意味での修復は18世紀ごろが始まりだが、
芸術作品のお直しは中世の後期、フィレンツェでメジチ家が頭角を現すころから始まっている。
芸術家というのも、現在の地位とはかなり違いがあり、
例えて言うなら、自動車屋さんとか、洋服の仕立て屋に似ているかもしれない。
注文を受けて、完成品を渡した後もメンテナンスを行ったり、
注文主の要望を受けて、直したりするようだ。
17世紀にはアンティークコレクションブームがあり、
オークションの出展する際にはやはり、作品を良い状態で出品したいため、
作品のお掃除業を行う芸術家も出てくる。
次々とフランスへ持ち込まれた。
王侯貴族の富の所持を禁じたナポレオンが、お金になりそうなものを
片っ端から盗んでいったのだ、その多くは現在フランスのルーブル美術館や
アートセンター美術館に展示されているが、
帰ってきた作品を守ろうと立ち上がった美術愛好家によって、
その保存法を話し合うことにより、現在のような修復が意識され始めた。
美術監視員という役職を作り、彫刻家のカノーヴァが任命される。
この時代には修復士による最初の修復マニュアルが出版された。
カノーヴァの作品 "アモルとプシケ"
ローマのボルゲーゼ美術館にはカノーヴァの作品が盛りだくさん!
こんなに有名な芸術家も修復を行っていました。
19世紀に入るとネオ・クラシックブームになり、
コロッセオや教会などの歴史的価値のある建造物も
修復の対象として含まれ、美観を保つ為に直されていったが・・・
当時はあまり、作品の再現つまり、作品の作られた時代を意識していなかった為、
新たに取り付けられた部分はそこだけ新しいことが丸分かりしてしまっていた。
戦後、修復学院が設立され、そこでは地方にある芸術品や歴史的価値のあるものを
監督する機関と連携がとられ、修復学院は蓄えた技術と知識でイタリアの芸術を保護することに成功している。
修復や保存に関する法律や手段を公的にすることや、
行われた作業に関してレポートを集め、アーカイヴを作ることでより良い方法を研究したり、
化学、物理と技術のコラボレーションにより失敗を少なくしている。
若い修復士を生み出しているのだが、2007年以降は生徒を募集していないとか。
実際に芸術家と修復士が別の存在として確立したのは割りと最近のことのようだ。
字ばっかりで疲れた方へ
最近ではないけど、カルフールの見切り品コーナーで見つけたフランスのプリン。
クレーム・ブリュレ カラメル用粗目付き
パッケージを開けると、ブラウンシュガーが別の袋で付いてきます。
バーナーで焦がすようだけど、そんなものはないので、
ブラウンシュガーは取っておいて、脳みそのサプリメントとして甘いものを切らせているときに
とっておきの美味しいカフェオレを作ってそこに混ぜます。
キャラメルの薄膜がなくても、そのままのプリンはトロトロで、
美味しい砂糖加減が疲れた脳みそに刺激を与えて下さいます。
フランスはお菓子が美味しい国だけど、高いから見切り品が出るのを待たねば。
スイートな感じにばっちりのこの曲で
少しだけ脳みそに栄養を・・・
The Flipper's Guitar
コーヒーミルククレイジー