トイレを我慢してバスを降り、迷わない様グーグルマップで位置を確認し、道路を横断します。
屋根のついた階段があったので、きっとこの道だろうと思い降りて行くと小金湯と目的地が目の前に!
急いで建物の中に入ると、感じの良い男性が“こんにちは”と挨拶してくださいました。
私も挨拶を返すと、トイレの位置を聞かずとも案内板があったのでそのまま進んでいきました。
セーフ・・・
やっぱり私はお腹を壊している。
カレーはマイルドを頼んでおくべきだった。
トイレから展示室へ行く途中、“生活相談室”というお部屋が気になった。
ここはアイヌ文化を保存、紹介するだけでなく、生活するうえでの困りごとなどを相談したりと、本当の意味での交流センターなのだと思いました。
一息ついて展示室のある階へとスロープを歩いて下って行った。
その途中、無料で見られる展示品がいくつかありました。
ゴールデンカムイは一巻しか読んでいないので良く知りませんが、アシリパさんを思い出します。
そこを下り切って右に進むとお金を払って入る展示室があり、券売機でチケットを買いって中へ、大人はたったの200円です。
入り口には親切な案内の方がいらっしゃって展示品は手で触れてもいいし、写真も撮影OKだということを教えて下さいました。
服の素材は植物の繊維を織ったものがありました。
下着から上着まで、どのように寒さから身を守っていたかがよく分かります。
映像では実際に衣装を着た男女が出てきます、その姿がとても凛々しくてかっこいいのです!
食文化についても興味深いキッチンツールがありました。
まな板兼ボウルは家に一つ欲しいくらい便利そうです。野菜を切ったりするだけでなくここでラビオリやニョッキを作るのにも使えそうです。
刺繍や素材が興味深く、今まで本やテレビの中でしか見たことのなかったアイヌの生活をアイテムや映像で分かり易く説明してくれるので、とても興味深かったです。
ただ、私、ここで眩暈が始まりました。
展示室には座ってゆっくりできる場所があるにはあるですが、映像コーナーの前は私と同じ来館者のご夫婦が視聴中、もう一つは・・・
お子様用のアイヌ文様を描くための机と椅子でした。
多分、ここに座っていても子供が来なければ問題はなさそうですが、体調を崩していることを優しそうな案内係のおじさんに勘付かれて、心配されるのが私的には問題でした。
なので、まだまだ見たいところを一度出て、椅子のあるところを探します。
出て正面には体験学習コーナーがあり、ストラップ、木彫り、刺繍を楽しむことが出来ます。
これ、ネットの情報で見てやりたかったやつですが、眩暈が始まっては休憩するしかありません、いいんです、私は一度良かった場所には必ず戻ってきますから、次回のお楽しみです。
階段を上った先に椅子とテーブルがあり、水道水表示のウォーターサーバーがありました。
ここで休憩します。
水を飲むと随分落ち着きました。
寒いからか、汗をかかないからか、千葉にいるときより水を飲めていない。
ちょっとした脱水症状だったのか、体は楽になりました。
さて、ここでもアイヌの生活を映像で見せてくれるので、春の生活を選んで見てみることにしました。
現代に生きるアイヌの方が説明をしながらその様子を見せてくれます。
自然に大きなリスペクトを持って生きるその姿に恐ろしく共感し、私は泣くのをこらえて見ていました。
都市に住み、その恩恵を受けて生きる私ですが、見えないもの、聞こえない声と上手く共存するアイヌ方々、私にはその姿が神々しく心を打たれ過ぎて、それ以降の視聴を続けるのが難しく、止めました。
春にはその年に困らないだけの食糧が採れるよう山に祈りを捧げます。
家族で鍋を持って山に行き、その場にあるものを調理して美味しく食べます、味よりもその空気がおいしい。
この野草は根っこを採りません、命を絶ってしまうようなものだから。
全ては収穫しません、少しは山に残しておかなければなりません。
山に自然に感謝を捧げます。
・・・もう泣きそうでした。
私が自然に対して考えていること、豊穣と畏れ、生きることの全てにおいて、アイヌの方々は人の本質を知り、自然と共存することを知っている人たちと思い、大きな敬意を表明したいです。
アイヌの四季、春の項目だけでここまで心を打たれてしまった私は、そろそろ札幌に戻ろうと思います。
外に出るとふくろうさんがお見送り。
野外の展示もあるので見て行きます。
何の騒音もない雪の積もった野外ではアイヌ民謡が流れる中、ハイピッチで木を叩く音が混じって聞こえてきました。
木をすごい勢いで叩いていたのはキツツキさんでした。
突かれた勢いで木もビヨ~ンビヨ~ンと振動してます。
キツツキさん、首の神経とか頭にかかる負担が大きいだろう、大丈夫だろうか?
野外は家屋や船の展示がありますが、とにかく美しい白樺や山々が見えてお天気が良ければ(時間があれば)ベンチに座ってぼーっとしたい。
家屋の中も素晴らしく再現されていて、とても面白いのです!
当時のトイレもありました。
ご覧の通り、薄暗いので私は既に6時を回る頃だと思い、バス停へと戻ります。
途中、近道をしようと足跡のない道を通ってみると足首まで雪に浸かってしまい、足を引き抜きながら歩くことになりました。完全防水ワークマンのケベックネオを履いてきて良かったと一番感じた瞬間でした。
バスはすぐに来て、待っている数分間は寒さを全く感じることはありませんでした。
10代の頃に読んだ沢木耕太郎の『深夜特急』の影響なのか、私はバスの旅が好きで、
この日も札幌駅方面に向かって30分程の路線バスに乗っていたのですが、生活する人たちを感じることができるこの路線が素晴らしくて感動してしまいました。
一体どこに用事があったのだろうと思わせる何もない停留所、きっとトレッキングを済ませてきたであろうお年寄りの方、道の両端にお店や民家が増えてくると降りてスーパーへ吸い込まれていく方、高校前では沢山の生徒が乗り込み、満員でも文句を言うことなく車内で静かに自分の停留所に着くのを待つ生徒たち。
日常生活が垣間見られると人の営みというか、“生きている”ことを感じさせられ、心を動かされずにいることができないのです!
・・・そして私も生きているのでお腹もすいてきました。
昼食をパスしたので当然ですが、寒い地域では空腹くらいが丁度いいといつも思います。
寒いと血液を体の末端まで行きわたらせて寒さをしのぐので、胃の中のものを消化している場合ではない、本気で吐き気と本当に吐いてしまいます。
では、札幌最後の食事のメニューはどうしますか?
まだ本調子ではない(お腹が壊れているかも)
すすきのからホテルの間にある店希望(足の水ぶくれが痛くて距離を歩けない)
いつも食べているものが食べたい!
という三つの条件から選んだディナーはこちらです!
午前中見かけたサルバトーレクオモでマリナーラピザをテイクアウトしました。
お芋はセイコーマートの北海道ポテトです。
ホテルのラウンジでコーヒーをもらってお部屋ディナーです。
トマトソースとオレガノだけのピザ(バジルでしたが)とトマトソースのバスタは私にとってのソウルフードで、疲れたとき、元気がないとき、本調子でないときなど、元の状態に戻るために食べます。気温の低い野外で過ごした一日だったのでミネストローネを食べるのも良かったな。
サルバトーレクオモでピザを受け取るとレシートに印字された時刻を見てびっくり!
まだ17時でした。
ホテルに戻るとロビーでパンの販売があり購入、朝食で残ったパンの詰め合わせです。
賞味期限は当日ですが、パン好きの家族のお土産として購入、こんなに入って100円です。
その後、大浴場で温まり、映画を見ながら翌日の準備に時間を使いました。
最後の夜も外には行かず、ホテルを楽しみました。
雪が積もっていると明るいことをオスロで初めて知ったのですが、そのことを思い出してとても懐かしく感じました。
ほとんど眠れず朝を迎えました。
早起きして朝食をいただき、空港へと向かいます。
・・・朝食、本当に必要だったか?
バスを待っている間、お腹が痛くて中島公園のトイレを使いました。
すっきりしたので大丈夫!とバスに乗り込みますが、やはりお腹が痛い。
外は良いお天気で明るいのに、外にはいつもより人が歩いているのに私は景色よりもトイレが恋しい。
焦り始めると渋滞にはまっていることが発覚、キレイな青い空を見ながら心の中では歌ってはいけない松原ちはるの♪はてーしないー、大空と~の部分だけが何度も繰り返され、もっと北欧を感じさせる好きな音楽と脳内で争いが起こっていました。
そうしているうちに空港に着き、一目散に下車したいところ、皆さん焦っているのか一番前に座っている私が最後に降りることになりました。
海外から来た方が料金の支払い方法がわかっておらず、不足したまま降りようとしたり、運転手さんがそれを説明するも中々終わりそうもない、かと思うと、今度は日本のムッシューがSuicaの残金が足りずにもたもたしたので、スマートに会計した私は一目散にトイレへ。
多分、私はお腹を壊している。
昨晩食べたピザのニンニクが多すぎたのだ。
道路と支払いの渋滞には嵌ったけど、チェックインには余裕で間に合いました。
やっぱり早めの行動が良かった。
復路もスプリングジャパンです。
保安検査場ではゲーム実況で有名な北海道出身ユーチューバ―”キヨ”。を発見。
襟足を赤く染めて、鞄にマリオのガジェットときよねこ!のぬいぐるみがぶら下がっていました。
あ、ファンの人か!本人じゃないのか~ガッカリ・・・ですが、まわりにキヨ。のファンにいないのでちょっと嬉しかったです。
キヨ。のファンが同じ飛行機に乗るのではないかと目で追っていると家の鍵を検査所のトレーに置き忘れ、搭乗時間まで気づかず、のんきに北海道のお土産らしきものを物色してました(そしてトイレにも行く)。
アナウンスで鍵の拾得物があったことを聞くと自分が鍵を持っていないことにやっと気づき、取りに行くと私のではない。
置き忘れたであろう保安検査場に行くと鍵はスプリングジャパンの搭乗口に渡したということで、北海道に家の鍵を忘れずに済みました。
帰りは真ん中の席が空席の通路側で足元もゆとりがあり、成田までは割と快適でした。
ただ、家に残してきた猫たちに会いたい気持ちが強すぎて、往路より時間が経つのが遅く感じました。
成田には定刻より少し早めに到着、千葉行の電車の時刻を調べると、次の電車は一時間以上ありません!
早く帰りたかったら特急料金払えってことですよね!
そんなに遠くない千葉まで追加料金を払いたくなかったので、待つことにしました。
13時に着いて、自宅に着いたのは15時過ぎですよ。
猫たちは私を見ても自分の睡眠が大事と言わんばかりに寝ていました。
十分寝て起きてきた一匹が私を見てやっと、目をキラキラさせて膝に乗ってきたのが可笑しかったです。
猫たちとのしばしのお別れは寂しかったですが、とても収穫の多い3日間で、北海道が大好きになり、近所の北海道セレクトショップにも足を運ぶようになりました。
私がなぜ、昔から“北”に引き寄せられるのかわからないので、その理由を探すためしばらく通ってみようと思います。