前に紹介した王宮博物館の続き。
その前に、この王宮がどれだけ"安定した時代"を送っていたか、
同じ地域にあるほかの城の写真と比べていただきたい。
ノルマン人の建てた卵城(1140)。
サンタルチア湾に突き出した島にある。
現在は改良されて展示会場などにもなっているが、
見るからにイカつくて、海辺の見張りを目的として
建てられたことが伺える。
実際住居として使われたのも、
陸地に建設中のお城ができるまでの仮住まいとして
使われていたとか。
窓もほとんどなく、ローマ時代の最後の皇帝が
この場所に幽閉されて中世時代が始まった。
ヌオーヴォ城(1279)
建設された城。
漫画に出てくるお城的なスタイル、
フランスゴシック様式だそうです。
建物の周りにはお堀が築かれ、見張り台も完備された
中世後期色の良く見える建築物。
中は博物館として公開され、礼拝堂と
講堂の装飾がとても興味深い。
ここ数年はこの地域では発掘作業が行われている。
上で挙げた二つの城は、入り口が一つで一本道の通路を通って入城する、
窓も最低限、敷地内には展望台があるが、庭園などはない。
牢獄にも近い物々しさが漂う中世の城と比べて、レアル王宮はとても開放的である。
王宮の周りにはお堀もなく、出入り口もいくつか、柵で囲われてはいるが、
広い庭園もあり、建物内部も窓が大きく明るい造りとなっている。
許可なしでで撮れる"ヘラクレスの間"、壁に描かれている装飾は全てだまし絵。
布を垂らしたような模様はローマ時代(紀元前1世紀初め"ポンペイ第二スタイル")に流行り、
シチリアなどでもこの模様を描いた壁が見つかっている。
ネオクラシック様式に見られる古代への憧れ回帰装飾の一例である。
ヘラクレスの間にある置物。
これは20世紀のものだったかな?
装飾具合もすごいけど、
この広間の名前がギリシャ神話の登場人物というのも
中世の美術史を勉強した私は驚き。
バックは全て絵です、
トロンプ・ルイユに騙されないように。
(古代が好きな人へ)
文化的遅れをとっていたエトルリア人が
好んで崇拝していた神様。
人間が苦労の末に神の一員として認められるという
サクセスストーリーは特に貿易を通して
中産階級になったものが崇めている。
実際、ローマ近郊にあるタルクイニアなど、
そういった人たちの多かった町の神殿には
その絵物語を彫った彫刻が見つかっている。
お上品すぎて、価値が分からない私には、お掃除が大変そうな置物。触っちゃ駄目。
展示室廻って、2週目になると、椅子に興味を持ってしまった。
いろいろなデザインも面白いけど、壁と同じ布地で作られている。
こちらも、長いすの布地が擦り切れて分かりにくいけど壁とおそろい。
こういうところに座って姑の悪口とか言ってたのかな?
長いすだけでなく、一人用の腰掛も。
シャンデリア・・・貧困な発想だとディズニーランドのお化け屋敷みたいだ。
この王宮、ナポレオンに強奪されてしまった芸術品も多かったと思う。
住みやすいナポリを設計し、現在も続けられている大きな救済院をつくり、
イタリア統一まではね・・・。
ちなみにあと一回お上品なナポリの上流階級のお宅訪問は続きます。
さて、今週はベルゲンでオーロラが観測されました。
オーロラはきれいだけど、そのニュースに妙な恐怖を感じてしまう私です。
オーロラは太陽から送られてきた放射線や原子が大気とぶつかって起こります。
磁力線に集められた物質が極に移動して反応が起こるので、
緯度の高いところでしか見られないはず・・・。
今年は9月の下旬に大きな太陽フレアがあり、
そのときに送られてきた物質が緯度の低いところに届いたとか?
それによって太陽に黒点ができたとかいう冗談っぽい貼り付けニュースも
ベルゲンタイムズ(←KOCの二人の購読新聞)のサイトで見ました。
興味のある方はベルゲン上空のオーロラをどうぞ!(これは今月10日の映像のようです)。