ナポリの小枝とノルウェーの切り株

ノルウェー、ヴィーガン、猫とおそ松さん

理系の博物館

ナポリ大学付属の理系博物館に行ってきた。
 
Centro Musei delle Scienze Naturali 
ナポリ、フェデリコ・セコンド大学に付属されている自然史博物館は全部で3つ。
鉱物博物館
人類学、民族博物館
動物学博物館
 
ナポリには言語学で名高い東洋大学と理系、法学に優れたフェデリコ・セコンド大学がある。
建築家のカルメンと獣医師のアントニオは後者の大学を卒業している。
 
 
ではまず、鉱物学博物館から・・・
 
Real Museo Mineralogico
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建物自体は1800年なので、ソーシャリストだったブルボン家のものらしい。
床に敷かれたタイルがアンティークなマヨルカ焼き、
もともと図書館だった場所に世界中の石コレクションを展示してあるが、
上のほうは梯子がないと見えない。
 
一日に一体どのくらいの訪問客が来るのか、
チケット売り場もなく、管理人のおっさんの横で娘らしき子が宿題をやっていた。
 
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紫外線を当てると光る石。
私のためにわざわざ暗幕を閉め、
電気を灯してくれた。
普段は節電モードのようだ。
 
 
 
 
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光っている成分はカルシウムや鉄の化合物で、
赤外線、紫外線、X線を当てると、
分子にエネルギーが加えられるので
フォトンが放出されて光るのだろう。
 
イタリアの博物館にしては珍しく
説明用のパネルがあったが、子供向けだったので、
蛍光石の化学変化については自己学習になってしまった。
 
 
 
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展示室は太陽が一杯すぎて
目が痛い。
 
 
絵の具の材料となる
鉱物がずらりと並んでいる。
コレクションは近所のヴェスヴィオ
ドイツ、ノルウェー、ブラジル、マダガスカルなど、1700~1800年代にかけて集められたり、贈呈されたものだそうだ。
 
 
 
 
 
 
人類民俗学博物館は小部屋に並べられた骸骨コレクション。
他の博物館よりパネルが多く、少ない展示品でもかなり関心をそそる、
ヴェスヴィオの噴火で埋ってしまった人たちの描写はすさまじかった、
立ったままの状態で埋ってしまった人もいたそうだ。
 
続いて動物学博物館に。
剥製とホルマリン漬の展示だけど、こちらも無人
電気も私が来館した際付けていたのだが、こちらは日陰なのか暗い。
先日訪問したベルゲンの自然史博物館が立派なので、
無人な上、暗くて古く見えるコレクションにお化け屋敷を歩いているような感覚。
管理人もそこらへんでナポリカルタで遊んでいそうな
怪しいおっさんだったし、よっぽど訪問者が少ないんだと思う。
 
 
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博物館学で評価されている
理系博物館はドイツのものだが、
ノルウェーにも立派な大学付属博物館がある
 
こちらはベルゲン大学自然史博物館→
写真は花粉の模型。
後方には説明の為のパネルとビデオが放映されている。
 
この博物館はネオ・クラシック様式の建物に
植物、鉱物、地質、動物学の展示が全て詰まっている。
説明用のパネル、模型、イラストや
図解によりかなり興味を湧かせる理想的な
博物館といえる。
 
 
 
 
 
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ミュージアムショップには
バイキング着せ替え(左)や
バイキング航海地図パズル(下)、
地層塗り絵などの教育的お土産物と
ノルウェー産、外国産クリスタルなどが売られていたのが印象的。
 
 
 
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私が欲しくなった
バイキング航海地図パズル。
歴代王と海路、年代までついた
私にだって虎の巻な知育玩具。
 
 
ここで少し、イタリアにおける博物館の歴史を。
 
博物館はもともと"魅惑の部屋"とか"芸術の小部屋"として
珍しいもの、目の保養になるような素敵な品物を保管して置く場所だった。
この伝統は主にルネサンス時代以降に見られ、
時の権力者達は一人の時間にこっそり魅惑の部屋にやってきて、
自分のコレクションをみてはうっとりしていたのだそうだ(暗いなぁ・・・)。
 
それを自慢するようになるのが1600年以降、
お友達を連れて来てはコレクションを見せ、
驚く様子に見てはほくそ笑んでいたそうだ(暗いなぁ・・・)。
確かにコレクションの贈呈は権力者の遺品であったりする、
ナポリ鉱物学博物館にもブルボン王朝のカール3世や
アウスブルグのフェルディナンド王の持ち物であったミネラルの展示もあったな。
 
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特に1700年代に入るとグランド・ツアーの影響で
遠出してまで珍しい動植物、品物を持ち帰り
それを見せびらかしていたそうだ。
 
教育、研究目的で博物館が建設されるようになったのは
1800年代、産業革命によりある程度の生活向上が
見られた為、庶民にも博物館が公開されるようになった。
 
 
 
 
 
1900年代初頭にはその学問の細分化が
自然史博物館を廃れさせてしまった。
その廃れた博物館はしばらく閉館を余儀なくされるが、
戦後、環境と自然科学が注目をあび、再び日の目をみることとなった。
 
環境エンジニアリングとして、大学の学問に組み込まれたことから
イタリアの自然史博物館は大学付属であることが多い。
(しかし、ナポリ大学の博物館は未だ戦前の世界)
現在も観光客のくるような場所ではないので、
お客さん集めにマスメディアを使ったり、学者に呼びかけて生徒達に訪問を促したり、
または臨時の展示や学会を開いてなんとかその存在を訴えているらしい。
 
そういうわけで、一味違ったイタリア旅行をお望みの方は
地元密着型の自然史博物館へ足を運んでみるのをおススメします。
 
 
 
 
こちら80年代のイギリスインディ、エルレーベルの一曲、
妙に外れた音程が心地良いけど、
人によっては不快かも?
Grishas birthday party
Anthony Adverse