記事にして、あほな観光客に踏みにじられたくないので
触れずに自分メモリーとして閉じ込めておきたいのだが・・・・。
ギスケ島はオールセン沖に浮かび、12世紀に建てられた教会がある、
近代に入り地元の貴族様により礼拝堂として建てられ、未だに所持されているとのことでオリジナルの土台発掘は難しい、そういうこともされたのだろうが、ノルウェー語のみの看板なのでバスの通過を心配していたら読む気になれず、
風雨にさらされてパウチに気泡&水分でよれよれの印刷面は、
教会目当ての変わり者が少ないことを語っている。
この島には数年前、ヨーロッパでヒットを飛ばした歌手、ローベルツ・ポスト君のアナログ録音スタジオ、オーシャンセッションスタジオもあるが、彼目当てにギャルが押し寄せることもなさそうだ。
ローベルツ君のノルウェー人とは思えぬ、小人具合はオールセンでは割と普通のようだ。
プチ・ギャルソンをたくさん見た・・・金髪で小柄の男の子達はイタリアではお目にかかれない合羽姿、
下手すればハンサム西洋子泣きじじいだが、遠くから見てるとかわいいわ。
さて、ギスケへはバスで向かう。
オールセンは鉄道が通っていないので、バス以外の交通機関はなく、
海辺のターミナルでバスを待つのだが、時間になってもバスが来ないので、
バス停を間違えたのではないかと心配し始める。
本数が少ないので、下手すると辿り着けない。
周りを見回すとお年寄りしかいない・・・、
これは勇気を出して
"Venter du på bussen till Giske?"
初めての体当たりノルウェー語、とっさの一言を使ってみた。
意外と通じるもので、気持ちよく”JA!(イエス!)”と帰ってきた。
オスロと違って都会じゃない分、人の時間はゆっくり流れているもので
バスは数分遅れてやってきた。
赤毛の運転手さんは若いお兄ちゃんだったが、
私の英語はあまり理解できないようだった。
おかしなことにほとんど文法も知らないノルウェー語のほうが通じるのだ。
オールセンの裏側に回って海底トンネルを抜け、
10分ほどで比較的大きなバスの停留所に着く。
ここにはショッピングモールらしき建物もあり、
やっぱり人口少なくてもスカンジナビアだと思っていたら、
ここはまだギスケの手前の島で、さらにトンネルを抜けて
先ほどとはまったく別の風景の島に辿り着いてしまった。
島の玄関口では他の島々に行くバスとの接続があり、ほとんどがここで降りた。
どこを走っているのか見当もつかず、少しだけ怖くなってきた。
風景は水色を帯びたグレーの曇り空をバックに雪と枯れ草といくつかの家、
遠くには海を挟んで雪を被った山が見える。
こんなところに教会なんてあるのか?
と、突然白い漆喰の教会が目に入った。
停留所も無いのにおろしてくれた親切な運転手さん、
空が急に晴れてきた。
教会の敷地内に入り周りを散策。
裏側には海が広がり、南イタリアのようなエメラルドグリーンをした白い砂浜が、
海草が打上げられ、角の取れてない小石や岩に絡み付いている。
石が丸くなるほど人が歩いていないということだ。
木でできた色とりどりの倉庫に、
70年代のメルセデスとその持ち主らしきおっさんがいた。
私を見てニッコリ、私は何のリアクションも無く通り過ぎる。
そのおっさんのレトロさに少しビビッたのも事実だ、
この美しい景色はまるで聖書に出てくる天国にあまりにも当てはまるので、
まさか・・・自分はバスの事故で死んだんじゃあないだろうか?
それとも時空に亀裂が?70年代に来てしまったのでは?
と、オカルトなことを考えてしまった。
おなかが空いてきたので試食用にオスロの道で配布していた
ポテトチップスを食べ、カミッラに持たされた紅茶でティータイム。
この景色の美しさは言葉にも写真にも表されることの無い
絶景である、感動のあまり涙と鼻水が出てきた。
遠くの方にいけなかったアールネス灯台が見える。
ダイナミックな景色に感動、
この島に来てしまったらユーゲンスタイルファンもオールセンはおまけだ。
帰りのバスの時間を気にしていたらあまり遠くにもいけず、
近場を散歩するだけしかできなかったが、次は一日かけてでも島を一周したい。
ついでに島民は一体どのくらいいるのかしら?
家の数は少ないが2,3台車が通っていった。
人がいなくて、波の打ち寄せる音しかしないこの島を天国だと思うのだから、
イタリアで受けていたストレスは人から受けていたんだなあ。
一人じゃあ生きていけないけど、リーヴ・ミー・アローンだったのね。
お店らしきものは一軒も無く、買い物はオールセンまで出てきてするんだろな。
歌手のローベルツ君はきっとベルゲンまで洋楽のレコード買いに行ってたんだろうな、
こんなきれいなところで育った人は心もさぞかし美しかろう。