ナポリの小枝とノルウェーの切り株

ノルウェー、ヴィーガン、猫とおそ松さん

外国人は透明人間

列に並ぶのがとっても苦手なイタリア人。
 
レジの割り込みはほぼ、毎回のように起こる。
注意すると2通りの返事が返ってくる。
 
私が先にいた。
 
見えなかった。
 
私が一人で並んでいるときか、外国人の友達といるときにしか起こらない。
確かに、イタリア人に比べて隙間をつくって並んでいるかもしれない、
防犯上ぴったりくっ付かれるのもくっつくのも苦手だ。
 
日本のルールを説いてもここは秩序のない南イタリアである。
 
道を歩いててもどんなにスペースがあろうとスレスレですれ違いたがるとか、
自分のすぐ後ろを一歩も空けずに同じペースで歩き続ける人たち。
その話し声があまりにも耳に刺さるので、立ち止まって耳をふさぎたくなる感覚に襲われた。
 
南イタリアでは恥の感覚が皆無に近い。
 
日本にいるときと同じ感覚で生きていこうというのが無理なのだ。
秩序が整ったノルウェーから帰ってくると
騒音と個人の権利を犯されている気がしてならない、
それはナポリ出身でありながら、スカンジナビアに憧れるアンリも
同じ気持ちなのではないだろうか。
 
アンリは偽駐車場屋を二度も警察に通報した、ナポリではかなり珍しい勇気ある若者である。
偽駐車場屋とは、ある空間に駐車場の係員を装って、車を誘導し手数料をもらう
ナポリでよくあるせこい商売なのだが、ここで小銭を出し渋ったために
車を壊されるか、盗まれるかなどの被害を汲むる。
アンリはそんな被害を被るかもしれないというのに、警察に通告したのだ。
 
また、ナポリの経験が長いカミッラはこういう。
"イタリア人は教会に行って、女の子とセックスして、友達と出かけて、たくさん食べて、料理して、マザコンで、
みんな同じ、個性が全く無い。性格の違いはあっても全く同じ人生を歩むから、
外国人の少しの違いが許せない。"
 
そうかもしれない。
感情表現が贅沢な彼らは何かが起こったとき、大げさに騒ぎ立てることが義理なのだろう。
 
今の私にはそういうことを見ることも聞くことも疲れてしまった。