ナポリの小枝とノルウェーの切り株

ノルウェー、ヴィーガン、猫とおそ松さん

Ålesundはオールセンって発音するんだって

※ÅlesundはAに小さい○がついた北欧語にあるアルファベット表記で発音は日本語の“お”を延ばした長音に近いです。オールセンという街の名前はノルウェー語の口語に当たるニィ・ノシュクでの読み方で、ほとんどの人はノルウェー語学習で使われるボックモルという言語で発音するオーレスンという言い方をします。
 
当時のカミッラやペンパルだったマリンさん、バスのチケット売りの人がオールセンと発音していたので、私も同じようにその呼び方をしていました。
 
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西ノルウェーのモレ・オグ・ロムスダル州にある街オールセン、
地理的に説明するにはちょっと難しい、中途半端なところにあり、
観光名所と呼ぶにはあまりにも見所が少ないというのが、
私のペンパル、マリンちゃんの意見。
ノルウェー第二の都市ベルゲンから230キロ北上したところにありますが、
複雑な地形のフィヨルドを通過するため、
バスでは10時間もかかる上、国鉄から見放された土地にあります。
 
ユーゲンスタイルの街といわれている割にはそれ以外について、
あまり触れられていない、正直見所の少ない片田舎
と、言っても過言では無いかもしれないが、なんせ人口の少ない国なので、
このあたりじゃあ都会かもしれない。
 
ユーゲンスタイルとはドイツ風のアールヌーボーを指し、
おとぎ話の挿絵にでてくるような建築様式で、
ハウス名作劇場で育ったあなたにはたまらない夢の世界である。
1904年の火災により街の大部分が焼け落ちてしまったため、
新しくこのスタイルで建て直されたそうだ。
 
 
私はオスロから夜行バスに乗って10時間かけて到着、
着いて早々6℃もあり、雨が強めに降っていました。
暗くとも、初めてみる雪景色に興奮してほぼ眠れずに過ごし、
眠たげな目のまま観光案内所のオープンを待つことに。
 
英語なんてほとんど話していなかったので、どう切り出していいのか
正直大変だったけど、赤毛のお姉さんの偉大な理解力により、
ユースホステルの場所と半分投げ出しかけていたギスケ教会とアールネス灯台の行き方まで聞き出すことができた。
 
ホステルに荷物を置いて、街歩きを始める。
翌日はベルゲン行きのバスに乗るので一日観光だ、
私の目的はギスケ島の中世教会を訪ねることなので、
ユーゲンスタイルの街は適当に散歩する程度で十分であった。
ギスケの島には海底トンネルが通っているのでバスで行けるのだが、
アールネス灯台に行くとなると帰りのバスが極端に少ない、
都市部ではない街はバスの本数も少なければ、終バスも8時前と早い。
とにかく雨足が激しくなったりするので、
フレンチ気取りのウールコートを水浸しにしたくなく
あまり外歩きする気になれなかったのだが、
ホステルには4時まで閉め出しされているので
ショッピングセンターでバスまでの時間をつぶす。
 
雨が止みそうにもないので傘を買ったのだが、開いた瞬間壊れた。
買った店に商品交換を求めるも、英語は通じるのに、この店員さん、英語話さない!
まあ何とか通じるからすごいや、ゲルマン諸語の威力だ。
 
マックでもサバイバルノルウェー
コーヒーください。
Kan jeg ha en cop kaffe?
 
ミルクとお砂糖ありますか。
Har du litte melk og sokker?
 
ボーっとしすぎてバスを一本のリ逃す、
そしてバスターミナルの場所探してもう一本乗り逃す。
2時間時間をつぶさねばいけなくなった。
 
街はちょっと変わった形をしているのでどこを歩いていいのか、正直よくわからず、
中心街を離れて住宅地に入り込むのだが、建築物は近代的な四角いもの、
ベルゲンによくある木で建てられた小さい家、石造りのどっしりした建物・・・、
いろいろな様式がミックスされつつも北欧らしく色とりどりの明るい街に
気持ちはうきうき。
野望を出してスカンセン(砦)という矢印を進んでいく。
坂をひたすら登り続けているうちに自分がとんでもない高さまで
きてしまったことに気づく。
 
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オールセンのガイドブックに付き物の写真はこの上から撮ったのであろう。
登っても登っても先には階段が、まるで超人になるために試練を虐げられたジェロニモの気分だ。手すりの無い道は雪溶け水でべっちゃリしていたし、ある高さまで来ると細くて頼りない手すりが現れたが、残っている雪が凍って固まっていた。危険だ、ここで滑ったら笑えない。引き返せばいいのになぜか意地になり泣きながら登り続けるが、
あと少しで頂上というところで登るのをやめた。
 
降りるのはもっと怖いはずなので階段に座って
カミッラが持たせてくれた魔法瓶の紅茶をすする。
深呼吸して降りる準備、
景色はきれいなのにとにかく崖を宙に浮かびながら降りていく感触に
この時ばかりは神様にお願いした、もう少し生きたいです、と。
手摺を両手で掴みながら慎重に降りた。
途中で誰かが落としていった皮の手袋を拾って無事に出発地点に戻ると
神は存在すると思った。
いつから自分は高所恐怖症になったのだろう。
 
時間が来てギスケの島行きのバスに乗るのだが、それはまた次の機会で。
 
オールセンでは建物より、目の前に広がる雪を被った山やフィヨルドの美しさ、
非現実的すぎる自然にどきもを抜かれた。
聖書に出てくる天国みたいなところだ。
 
夜も8時を過ぎたら人影は無く、とても静かでひっそりしている。
泊まったユースホステルも12人部屋に一人で泊まり、
朝食も自分のためだけに用意されていた。
6時ごろに目が覚めると雪が降っていたものの、8時には快晴。
夏のように明るい太陽のもと、海辺の散歩は本当に気持ちよかった。
 
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雲をまとった山や島が遠くに見える、灯台のバックに美しい大自然
とても静かで穏やかな景色に涙が出そうだった。
なんとなく自分の理想が具体化されたような憧れの朝であった。
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船で鮭売ってるおっちゃん、
一匹がでかいのにスーパーの袋に入れて頭と尻尾が出たまま、足早に去る地元民。
海老売りもいた。
観光シーズン中ではないだけにいつもの一日が見れて良かった。
 
お天気は変わりやすく、ベルゲンに出発する頃には大雪が、昨日の雨でかな片付いた雪もまた積もり直し、もう3月だって言うのにこの雪景色。
 
 
フィヨルドライン、オールセンからベルゲンへ
フィヨルド沿岸を走って南下して行くのだが、
途中4回もフェリーにのって海を越える。
10時間と長旅だが、小さな街や思いがけない大自然が見えてお得である。
凍ったフィヨルドや大きな氷の柱、小さな村落に長距離通学生。
トイレつきでコーヒー紅茶無料、ただ、英語のアナウンスはなし。
フェリーに乗ると中の売店で買い物をする人がいるのだが、
ノルウェー語アナウンスのみのため、
何分で対岸に着くのかわからず、乗り遅れる外国人観光客もいるんじゃないかな?
夏季には英語のアナウンスもあるんだろうけど、
まあ、こんなシーズン外に旅行するのは物好きだろうな。
 
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