ナポリの小枝とノルウェーの切り株

ノルウェー、ヴィーガン、猫とおそ松さん

ノルウェー人の舌、食事の話

不思議なノルウェーの食事事情

 

不思議というわけではない。
ノルウェーの就業時間と関係しているのか、ノルウェー人の夕食は午後4時らしい。
私がお邪魔した家庭がトロール一族カミッラの家だったからかもしれない。
元々ヘブライ人だったお母様は専業主婦なのに
家の仕事が苦手で料理も程々にしかしないらしいが、
ナポリ在学中に娘の世話をしてあげたことを知っているのか、
手の込んだものを作ってくれた。

 

キャベツとマトンのシチュウ(フォーリ・コール)
その名の通りキャベツと羊肉をこれでもかというほどに煮込んだものだ。
各家庭にそれぞれ違ったレシピが存在するともわれるが、カミッラママのものは
ドロリとした茶色の煮込みで塩と胡椒だけで味付けした繊細なものだった。
やっと形が残っているくらいのキャベツが妙においしかったが、
寒い国の料理らしく脂肪分たっぷりだ。
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鮭のすり身焼き(フィスクカーケ)

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鮭のすり身を卵やパン粉でつないだ魚のハンバーグである。
バターで焼いていただくのだが、ムニエルとは違った味わいがあり、美味。
フィスクカーケといえば普通はは白身魚を使って調理され、
スーパーでもパックに詰められて売っている。
不思議なのはそこにケチャップやディル入りのマヨネーズをかけて食べるところ。
写真は付け合せにジャガイモが添えてある。
サラダにはアボガドやパプリカ、
南イタリアではタブーの生玉ねぎが入った,日本でおなじみのミックスサラダ、
サラダにはアボガドを入れるのが首都オスロならでは、
タコスやチリビーンズなどのメキシコ系食べ物も街角でよく見かけた。

 

ランディのディナー
カミッラの友達で石油化学の会社で研究員をしていて
週休3日の彼女は金髪エクスプローションなのに自分に自信が持てない、
そんなランディの親切で食事をご馳走になった。
メニューはフランス料理で言うところのキッシュだが、
一概にパイと呼ばれているオーブン料理。
卵にサワークリームを混ぜるところがスカンジナビアンだ。
ポロねぎを先になべで茹でておいて、ハムと一緒に卵液に投入するあたり手が込んでいる、
パイ生地も自分で作ったそうだ。
料理も良かったが私にとってたまらなかったのはテーブルのデコレーションだ。
木目と白のナチュラルテイストなテーブルに青い食器、
最後のコーヒーに至るまでその色使いにオリーブ少女もノック・アウトである。
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一般的に肉食西洋人の人種に位置しておきながらも日本人並に魚を食べるようだ。
スーパーでも肉のコーナーは小さめだったし、
加工肉もソーセージ以外には鶏肉製品が多くみられた、
魚屋や鮮魚コーナーは見かけなったが、冷凍食品コーナーはそれで埋め尽くされていた。
カミッラの自宅も日本人から見て田舎だが、
不便な場所ではない、のに、3段に分かれた冷凍庫にびっしり冷凍魚が詰まっていた。
デリ・ディ・ルカというイタリアンバールをイメージしたコンビニチェーン店にも
ピザと揚げ芋と一緒にフィスクカーケが並んでいたし、
朝食にはいわしのペーストやニシンの缶詰をパンに乗せていただくようだ。
魚以外に良く見たのがホットドッグ。

 

コンビニには必ず置いてあったし、つまんでいる人もたくさん見た。
スカンジナビアにソーセージ文化があるのを知っていたので,
いくつか食べ比べしてみたが一番おいしかったのはセブンイレブンのベーコン巻き。
上にかけるソースもケチャップ以外にチリ風味、サルサソース、
スイートチリソースなど、かけ放題だ。
ノルウェーセブンイレブンはセルフでコーヒーや紅茶も飲めるのだが、
そこにプラスするフレーバートッピングも種類が豊富である。
チョコレートソースやシナモン、キャラメルソース、コニャック風味ソースなるものがびっしり並んでいる。
砂糖の種類も白砂糖、ブラウンシュガー、蜂蜜の3種類はどこのカフェでもマストだったし、セルフのカフェではコーヒーマシンの横に盗めといわんばかりにティーパックがおいてある。
無いものといえば、コールドドリンクの飲み放題、誰も利用しないのが目に見えている。
冷たい飲み物はスムージーというただのフルーツのミックスジュース、コカコーラ、スプライト、ファンタのパイナップル味、フレーバー炭酸水(シトラス風味のガス入りミネラルウォーター、砂糖なし)、甘ったるい紅茶と新発売のネスレ社アイスコーヒーくらいだ。
どれもペットボトルは無料ではない、
というもの価格にペットボトルの料金が上乗せされていて、
ボトルをリサイクルコーナーに返すと約20円の返金レシートがもらえるというものだ、
昔の日本のビンコーラの返金システムと似ている、
未だにこのシステムが続けられるのは人口が少ないから回収&リサイクルがしやすいのだろう。
ちなみにナポリではいまだに懐かしのビンコーラ返金システムが存在する。

 

レストランは高いので一度も行かなかった、
ノルウェーに来てまでイタリアンレストランには行きたくないが料金チェックだけはしておいた。
まず、ナポリで500円も出せば食べれるであろうトマトソースのパスタはオスロで2千円、ベルゲンでは安いところで800円、
家で作れば1キロ100円のスパゲッティにトマト缶詰60円、にんにくはチェックしなかったが、1人あたり100円以下で食べれてしまうのである。

 

ベルゲンで一度だけ、カミッラに連れられて"エゴン"という
チェーン展開されているレストランにはいった。座って注文するとレシートを渡され、
レジで会計、支払いが済むと料理が運ばれてくるという無銭飲食防止システムレストランである。料理のカテゴリーはアメリカン、
ハンバーガーに芋、サラダ、タコスなどを盛り合わせたものをワンプレートでサーブ、
驚きなのはメニューが少ないことだ、
10種類あるかないかのチョイスで値段も一番安いもので1000円くらい・・・。
そんなところへ私を誘ったのはピザの食べ放題が千円ほどであるからだ。
アメリカンスタイルのピザにタバスコかけて食べるのはすごく久しぶりだったが、
いくら大食いの私でもノルウェーでの食べすぎは命取りになるので程ほどで辞めておいた。
食べ過ぎると血液が胃へ集中するため意識が朦朧とするのはいいが、
寒いのでそのまま低体温、嘔吐、気絶に至るのである、あー怖い。

 

ノルウェージャンスイーツ
コーヒーのお供によい甘いもの、スウェーデン語でフィーカというのだが、
イタリアでこの言葉を発したならば問題になるであろう(女性の陰部を隠語で指す)、
そんなこといったらインゲって名前の北欧人は日本に住めない。
さて、カラス麦入りクッキー、にんじんケーキ、ブラウニーにマフィンは日本でもおなじみだが、どれも砂糖少なめでデリケートな素材の風味が味わえる、
これでもかと砂糖を投入するイタリアのお菓子とは違う。
私はスイーツファンではないのであまり食べることは無かったが、
北欧らしいデザートでは”トロールクリーム”が挙げられる。日本では赤スグリというのか、
リーベスベリーを砂糖と卵白であわ立てて作ったクリームである。
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べリ-類は道端や庭先でよく見かけてつまみ食いした。
ベリーの中の最高点のあるクラウドベリーは黄色くてすっぱいので砂糖をたっぷりかける、
高級品らしいが、はっきり言ってラズベリーの方がよっぽどうまいぞ。

 

イタリアに比べて食べ物に対する興味が薄いといわれているノルウェー人だが、
厳選された食材にデリケートな味付けを好む彼らの食事はすごく手が込んでいる、
ジャンクフードや同じ献立を繰り返す現代人も海外の食生活に示す興味は
日本人並のように感じた。
コンビニに並ぶお菓子のバラエティーは日本並で、
とんがりコーンのチョコレートがけなど、
イタリアじゃあ到底お目にかかれないエキセントリックなものが見られた。