何の写真撮ってるんだアホ―!
と叫ぶカミッラは、サンダルに入り込んだ小石を取るのに忙しい。
旅行中も信心深いアホと、ノルウェー神父マニアのアホが
オーレスン市街へと向かっているところです。
お天気は雨が降ったり、お日様が出たりと
上着を着たり、脱いだり忙しい。
この日はユールン宅で夕食を頂きますが、
事前の夕食会議では、メニューが決まらず、
外食したいカミッラはやや不服そう。
ユールン側からは特に連絡がなかったので
私たちは手ぶらで帰宅です。
お友だちの家でお食事なんて、何年ぶりだろう・・・。
ユールンのアパートからの眺め。
海の側だけど、フィヨルドの出口なので、氷河も楽しめます。
たまたま写ってしまったTine牛乳トラック、メガネのお兄ちゃんが素敵だ。
以前にも話した通り、ユールンは食べ物に対して
かなりこだわっている上、私はヴィーガンなので
二人の意見に沿う食事を用意するのは大変だったのではないかと思う。
帰宅した私たちは台所で、鍋を掻き回しているユールンを見た。
作っていたのはリゾット。
フレッシュなアスパラガスを使ったそうです。
“美味しく食べるコツは旬のものを使うこと”
と言っておりました。
リゾットは、一から作らずにイタリアで買ってきた
インスタント食品を使い、米の調理時間を大幅に短縮したとか。
そこにフレッシュなアスパラを入れただけとのことですが、
ジャスミンライスばっかり食べていた私には、
久しぶりの短い米です。
上に掛かっているチーズもミラノで購入したヤギのチーズだそうです。
こだわりチーズよりも、
ここに辛~いカラブリア産の唐辛子をかけたい!
と思った私は悪者だろうか?
イタリアのフルコースをイメージして作ったので、
これだけではありません。
二皿目
な、何これ?
野菜はもちろんオーガニック。
ここにタバスコかけて食べた私は悪者だろうか?
コリアンダーの爽やかな風味が鼻に突き抜ける
パクチー好きの私にはたまりませんが、
苦手な人にはきついかもしれない。
穀物ハンバーグはオーブンでノンオイル調理した模様。
加熱調理は、私たちがリゾットを食べている間に行っていた。
そして、デザートは即席ブルーベリーマフィン。
こちらも、リゾットを食べている間に、粉をコネコネして
穀物ハンバーグの加熱後にすかさず、オーブンに入れていました。
見てお分かりの通り、一個一個取り出しては三等分にして
一口づついただきました。
この方法が気に入らなかったのか、カミッラは物足りなさそうにしていた。
どれもとっても美味しいです。
美味しいですが、ナポリのおもてなしを知っている私たちには
正直なところ手抜きの夕食ともいえる・・・。
ごめん、ユールン!
一皿目はパスタで、オリーブ入りのトマトソースか、
オーブンパスタが理想的。
二皿目はババアが前日の晩から煮込んだトマト煮込みの肉か、
小麦粉をまぶす時間がかかりすぎる魚介の揚げ物、
(そして私はパスする)
付け合わせはパプリカの油煮とか、菜の花の油炒めにサラダ。
デザートはババアが自分のセンスで飾ったキイチゴのタルト、
中のカスタードは片栗粉でカチカチに固いやつ。
食べ終わる頃には日付が変わるくらい時間のかかった食事・・・
・・・多分、カミッラも似たようなことを考えていたのかもしれない。
ユールンはミラノ生活の長いノルウェー人なので、
効率重視の調理法に、私はいろいろな意味で考えさせられた。
“料理上手の定義は時間をかけずにおいしいものを作ること”
とは言うが、ナポリで同じものを出したら、
“帰ってください。”と取られてしまうようなメニューでもある。
ついでに、
“美味しい料理は唐辛子でめちゃくちゃ辛くなくっちゃ!”
という私は悪者だろうか?
物足りないカミッラは、その後カフェへ。
食事の締めにコーヒーは付き物だが、
ユールンはコーヒーを家に置いていないので、
コーヒーは、家のすぐ下にあるカフェでいただきます。
一杯500円くらいするエスプレッソを飲む気になれない私はパス。
このカフェでユールンは私に仕事のことで、
カミッラには自覚を持てとお説教をしたので、
カミッラが私の分まで反撃していて怖かった。
オープンに話ができる風土はいいな、
日本にいた数年で私はすっかり、
自分がなくなってしまったことに気付かされた。
私たちの共通言語はイタリア語なんだけど、
ノルウェーのオーレスンみたいな小さな街で
二人と話しているとイタリアの北と南の違いを見せられる。
ミラノのユールンとナポリのカミッラ、
仕事に人生を見出すユールンと
人との繋がりを最重要視しているカミッラ。
二人とも、自分の中に住んでいた街をしっかり吸収しているけど、
標準イタリア語を話すので、うらやましい。
・・・私は南文化を中途半端に吸収しているのに
そこで育ったのだと勘違いされる程。
そんな南部訛りの日本人にも偏見を持たずに
接してくれたユールンには、もっと感謝しないといけない。
ユールンの過去記事はこちら。
以前トロンハイムに住んでいた頃、
電車の格安券を譲ってもらって行った記事です。
本人は名前しか登場しませんが、私には懐かしい思い出の日々です。