ナポリの小枝とノルウェーの切り株

ノルウェー、ヴィーガン、猫とおそ松さん

具体化された憧れのヨーロッパ・ベルゲン①

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ベルゲンに行くつもりじゃなかった

 

オスロに満足していたものぐさな私はハンザ同盟で栄えようが
中世考古学で有名な大学があろうが、ベルゲンに行く気はほとんどなかった。
第一イタリアの地方都市に比べて恐ろしく物価の高いオスロ
思いのほか雑費が重なり、旅費や宿泊代の心配であったことや
計画性のないカミッラの旅先での突拍子な行動を想像すると
オスロで満足するのが賢いと考えたからである。
カミッラはベルゲンに行きたかったようだ、
ある日新聞の隅にあった国鉄のプロモーション切符の広告を見つけて
私の返事を待たずにオスロ中央駅の切符売り場へと向かった。

 

切符の販売は自動販売機が主流でプロモーション切符はそちらでのみ取り扱っていた。
南イタリアなんか駅員通さないと何にも出来ないのに・・・。
自販機では夢に見た王子様のような素敵な男の子の駅員がいた、
機械音痴を救うアシスタントのようだ、私たちも素敵な王子様に救出されて
無事にベルゲン行き格安切符を買うことができた。
本当は使い慣れている切符の自販機も
カミッラの機械音痴にしらを切り続けて素敵な王子様を呼ばせて手伝わせたのである。

 

コーヒーミルク・クレイジー
六時間もカミッラと電車に閉じ込められると考えると気が重かったが、
車内は清潔でスナックバーもある、電車が出発して早々、カミッラとコーヒーを買いに行った。
カプチーノファンであり一日に10杯は飲むであろうカミッラは
コーヒー牛乳をリクエスト、カプチーノの普及率は高くなりつつあるとはいえ、
どこにでもイタリアンコーヒーマシンが設置されて言うわけではない。
さらにこのスナックバールでは牛乳も置いていないため、
カウンターのお姉さんは親切に日本でも日常的にも使われている
使いきりミルク(コーヒーフレッシュのことです)をさしだしてくれた。

 

自分のコーヒーを頼んでいる間に横から“パッチン"という音が仕切りなしに聞こえてくる・・・
何とカミッラが5パックものミルクを注いで6パック目にさしかかるところだった。
彼女はこのミルクの存在を知らなかったらしく、
カプチーノに近いコーヒーの色を作りたかったそうだ。
出発から二時間、
私の用意したココア牛乳は彼女の仕切りなしに注文するコーヒーに注がれ空になり、
私はひたすらスーパーで買ったラズベリージャム入りのドーナツを食べながら見たことのない氷河にうっとりしていた。
あたりが暗くなり景色が楽しめなくなると急に退屈になり
眠りに入りかけたカミッラを起こしてからかった。


満員ベルゲン
夜の10時を過ぎた頃に到着したのはいいが、
宿泊施設は満員で宿を取れなかった人たちで街はあふれていた。
どうやらローリングストーンズのコンサートが関係していたらしい。
ナポリだったら一晩の野宿は命取りだが、危険な香りのしないベルゲン、
しかも宿を取れなかった人たちでにぎわっていることもあり、
荷物を駅のコインロッカーに預けて夜の街をあるきだした。

 

小さな街を一回りした後、
カミッラのカプチーノタイムで,たくさんのパブをはしごしているうちに
翌朝8時まで開いているレストランで夜明けを待とうと決めるが、
入り口に居るセキュリティーに止められた。
理由は”酔っ払い”、確かにカフェイン中毒だが、私は酒など一滴も口にしていない、
どっちにしろイタリア語で話している私たちは浮かれティーンズに見えるよな。
深夜パブも店じまいを初め、仕方なく街を徘徊する私たち。
素っ裸でランニングするおにいちゃんが誤りながら走り去っていき、雨が降り始めた。
雨宿りをしているとベルゲン大生の2人組に声をかけられる、
カミッラが事情を説明すると彼らは私たちをアパ-トに招待してくれたが断る。
自分よりも身長の低い男の子二人組みで、明かに親切で言ってくれているように見えたが、
危険は回避することにこしたことはない。
彼女に猟奇殺人の話をしてたっぷり怖がらせ、
自分の正当性を訴えているとバイクが一台近づいてきた、
乗っているのはフードを被りスキーグラスをした男のようだ。
新聞配達員のようだが、カミッラは恐怖に感じらしく、坂道の低くなっているくぼみに身を隠すが頭をぶつけて出血してしまった。
バイクの男が新聞配達員であることを伝えると安心して元の道に戻ってきたが、
頭から血を出している彼女をみて男はすごい勢いで去っていった、
どうやら恐怖を与えてしまったようだ。

 

やがて朝は来る

 

六時を過ぎた頃、空が白みだし空が曇っていることに気づく。
7時には完全に夜が明け街灯が消えた。
私たちはセブンイレブンでコーヒーとクッキーを購入、
ホステルの係員が来るまでの数時間をほぼ無言で過ごした。
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ベルゲンの暗い朝

 

やっとのことで部屋が取れると気絶したように眠る。
正午を回った頃に目を覚まし大好きな食料品の買い物へ出かける。
雨が降ったり止んだり、水色の雲で覆われたベルゲンは別世界に感じた。