ナポリの小枝とノルウェーの切り株

ノルウェー、ヴィーガン、猫とおそ松さん

ベルゲン特急 ダニ木モンク郎

 
 
Razika
Verdens beste by
 
音楽記事を書いていて思い出した
何でベルゲンがこんなに私にとって特別だったのか・・・。
 
今回は沢木耕太郎深夜特急携帯小説大賞に応募した
作家気取りのベルゲン旅行記風です。
 
 
 
 
ノルウェー国鉄のプロモーションで
なんとなくベルゲンに旅行することを決めたのだが
 
切符を買った後で、
その日の晩はローリングストーンズのコンサートがあったことを知った。
 
安いホテルは既に満員の状態で、結局宿を確保できないままベルゲンへ出発することになってしまった。
 
どうしようか?と口には出したが、
実はあまり不安ではなかった。
 
以前も一人でスウェーデンに行ったときにユースホステルの受付時間を
すっかり忘れて、係員が帰ってしまったために宿なしとなったとき、
受付カウンターの前で一晩を過ごしそうになりながらも
そこに部屋を取っている女性の親切で余っているベッドを提供してくれた上に
夕食までご馳走してくれたという経験もあったし、
ナポリのホステルでバイトしていたときも予約客のキャンセルが結構あった。
 
それよりもオスロを少し走っただけで、街も家も見えない、
木も生えていないツンドラ地帯と氷河の景色を初めて見て
ただならぬ自然の驚異に気持ちが傾いていた。
 
イメージ 1
 
Myrdalだったか?ここで下車して野宿するサバイバーが結構いる。
 
6時を過ぎた頃から暗くなり、あたりの風景が見えなくなった。
さっきまで食堂車でカプチーノがないからと
添加物てんこ盛りのコーヒーフレッシュの残骸が5個も見える。
コーヒーを限りなく白くしようとカミッラが使ったようだ。
そんな彼女もお休みモードに入った。
毎日6時に起きているので、眠いのも仕方ないだろうが、
当時の私は今よりずっとカミッラを怒らせることが上手だったので、
眠りに入るカミッラを脅かしたりして、邪魔しながらベルゲンに到着した。
 
着いてすぐ、駅のロッカーに荷物を預ける。
 
その横をふくよかな中年男性が禿げ上がった額を汗で光らせながら小走りに駅へと向かっていた、よく見るとローリングストーンのTシャツを着ていた。
多分、コンサートが終わったと同時に帰宅するための電車に
駆け込み乗車していたのだろう・・・。
 
さて、どのホテルからあたろうか?
 
初めての街でどこから歩きだすべきか考えていた矢先に、
カミッラは以前ラテンダンスナイトのあったバーに行こうという。
 
“ベルゲンにはたくさんのバーやディスコがあるんだ!
高い金払ってホテルに泊まるより、ナイトライフを楽しむべき!!”
 
確かに、今ホテルに空室を見つけても寝るだけにお金を払うことになるし、
それなら、外でベルゲンの週末を満喫することにして
朝いちばんでホステルに駆け込む方がずっと経済的だ。
 
睡眠障害のこともあるし、ホテルに泊まったところで眠れるとも限らない、
カミッラと同じ部屋なら尚更だ。
 
早足のカミッラの後を付いて歩くこと数分、
“Macumba”とかいうアフリカ風の拝み屋バーで踊ろうと言う、
カミッラはトイレへ行き、ダンスをするための服装に着替えて、ゲストのジャマイカ人アーティストと踊る。
そして、強いカクテルを何杯か引っ掛けて楽しそうだった。
 

怖いから写真は小さ目で→
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その後、多分オシャレ系な人たちが集まるバーに場所を変える
 
時間は深夜1時を回った頃。
 
この店が何時に閉まるかは知らないが、
心配していたよりもずっと身なりがキレイな人が沢山いたので
安心して、しばらくいるつもりだった。
しかし、注文したカプチーノを飲みほすと、
すぐに別の場所に移動しようというカミッラ。
 
 
 
なんでも同じところにずっといるとナンパ待ちと勘違いされるらしい。
 
それからが大変だった・・・
 
お店は閉まりはじめ、人影もまばらになり、さすがに心細くなった来た。
 
 
“OKグーグル、ベルゲンで朝までやってるお店さがして!”
 
当時はスマートフォンなんで夢のような機械だったので、こんなことできない。
 
自分の足で歩いて小一時間、朝8時までやっているレストランを見つけた。
 
しかも店内は結構な人で埋め尽くされているではないか!
 
入り口には警備員もいる、
ナポリになれている私でも、夜中、女の子二人で街を歩き続けるのは
やはり不安が付きまとう、気持ちが落ち着いていくのを感じながら
お店のドアに手をかける。
 
二人で喜んで店のドアに手をかけると、
私たちを守ってくれるはずの警備員に止められた。
 
“君たちはもう結構飲んでるよ、家に帰りなさい。”
 
どうやら、私たちを酔っ払い認定したようだった。
 
原因はイタリア語で喜び表現したことと見た目が成人年齢でなかったことらしい。
 
カミッラが怒って身分証明に使う銀行のカードを出していたが
追い出されてしまった。
 
・・・当てもなく歩き続けていると雨が降ってきた。
 
店の軒先で雨宿りしていると、
金髪で黒いワンピースを来た典型的なベルゲン娘が
雨に打たれながら楽しそうに走り去っていく。
 
そのあとを大学一年と思われる2人の男子が通りがかった。
 
気になったのか、戻ってきて話しかけてきた。
 
どうやら彼らのアパートに招待したくれたらしい。