ベルゲンからオスロへ、夜行電車に乗る。
たかが6時間の旅に枕、ブランケット、耳栓にアイマスクまで用意されていた。
今まで、どんなに恋焦がれていた街でも
2回目の訪問で気が収まるまることがほとんどだったのだが、
やっぱりベルゲンは違う。
出発までの時間、大好きな大学付近を徘徊し、
そこから続く中心街やプッデフィヨルドを眺め、
あまりの人気の無さにかなり感傷的になってしまった。
ベルゲン大学人文学部の図書館。
遅くまで開いていて、そこには人影もちらほら、電力の無駄だ!
しかし、雪の光で勉強はできない。
プッデフィヨルド。
ベルゲンを代表するフィヨルドで
そこに掛かる橋はベルゲンで言うところの
ロンドン・ブリッジ。
向こう岸に見えるのがアイリックが都市計画を企てているドラングスゴード、
多分彼の実家があるところ?
初めて訪問したときのことを思い出す。
カミッラが理由も無く、ナポリの命がけ小道探検
の感覚で、フィヨルドの向こう岸にやたらと行きたがっていたな・・・
そして行けばよかった。
そもそもベルゲンへも彼女の実力行使で連れて行かれたんだった・・・。
オスロを出発する前はカミッラとのお別れが辛かったのに
今はベルゲンとのお別れが辛い・・・、泣いたりはしないけど。
雪が降ったり止んだり、吹雪で真っ白になった道路も
翌日の気温できっとまた解けてなくなるのだろう。
夜行電車の座席に着いて、悲しい気持ちをカフェインでごまかそうと
コンビニで買ったまずいコーヒーを飲んでいると
前から素敵なゲルマンボーイが!!
私のすぐ後ろの席?
メガネを掛けてネットを始めた。
カフェインで気持ちをごまかしている場合ではない、興奮して益々眠れなくなるではないか!
出発数分前、車掌さんが乗客の下車駅を一人ひとり確認して回った。
どうやら"乗り過ごし"を防止するため、到着10分前に起こしに来てくれるようだった。
私は終着駅のオスロで降りるのでその辺の問題は無い。
この電車は途中、万年氷河のある駅を通る。
そういう土地では吹雪が都市部とは比べ物にならないくらいひどく、
そんな天気の中、夜中の何時だろうと暗い無人駅で電車を待っている年頃の娘をよく見かけた。
我慢強いのか、それとも計画通りに事が進むから待っていられるのか・・・。
少しずつ明けていく夜、朝の6時にオスロ中央駅に到着。
早朝とはいえ人で賑わうオスロ中央駅。
迎えに来ると言ったカミッラがいない。
一時間ほど待って、電話をかけてみるとバスターミナルで待っていたそうだ。
"電車で帰るって言っただろ、このアホ!"
世の中に自分以上のアホが存在することは嬉しいが、
彼女の勘違いでめんどくさい待ち合わせをする羽目になった。
既に地元感覚のオスロでは何処に無料のトイレがあるか、
どのコンビニでコーヒー半額サービスが行われているか、
カミッラの行動範囲もしっかり把握しているため、
ナポリにいたとき同様、待ち合わせはあってないようなものである。
何かの力が働いて、必ず会えるようになっている・・・て書くと
ちょっと素敵な魂のお友達って感じだが、これには野良犬のような行動範囲を見せる
カミッラの縄張りとカフェ&いい男ポイントを抑えた上でデータを取った
私なりのプロファイリングから探し出しているのだ。
それがオスロでできるとは思っても見なかったけど。
これを生かしてCIAとかに就職できないかな?
今回あまり見ることが無かった曇り空。
一週間ぶりのオスロは雪が大分解けてしまった。
来たときは見たことの無い大雪に感動して、お日様の下、風に吹かれて散っていく雪がキラキラして目に痛かったっけな・・・。
珍しく舗装されていないオスロの小道。
ミサから戻るカミッラと司祭さん。
夕方のミサを終え、暗くなり始めた街を闊歩する野良犬カミッラと外ネコの私。
ノルウェーで撮った写真をじっくり見れば、
夕焼けの写真がない。
それらしきオレンジの光は確かにあるが、
ソフトで差し色的?
イタリアの目に痛いほどの濃い夕焼けに代わって青いトーンのグラデーションが少しずつ濃くなって夜になる。
心理学で言うところの魔が差すメランコニーな時間帯が長いのだ。
私には明るい雪で覆われた冬が終わりつつあることに
妙な寂しさを感じた。
ベルゲンで人間性を取り戻した私は、ちょっと感情的なのだが、
"素敵"を満喫している場合ではない。
ノルウェー語ぺらぺらで羨ましい!
しかしこの店、見たことの無い食品があまりにも多すぎる。
怪しい、怪しいのに、中国語勉強してますみたいなオタク兄ちゃんが
見たことも無い野菜買ってたな。
なぜオタク兄ちゃんはアジアが好き?
買ったのはバジルとココナッツミルク、竹の子にタイナスとスパイス。
安上がりで大喜びのカミッラ、作るのは誰?