ナポリの小枝とノルウェーの切り株

ノルウェー、ヴィーガン、猫とおそ松さん

遺跡の話 オスロ編①

中世考古学を専攻しているのだから少しはまじめな話を・・・

ノルウェーの首都オスロにはいくつかの遺跡が良い状態で保存され、
興奮さえ覚えたがヴァイキングファンくらいしか足を運ばないであろう。

Gamlebyen(ガムレビエン)

オスロ中央駅の裏から東側に伸びる海岸線にそって広がる地域にある遺跡。
その名のとおり旧市街(ガムレは古い、ビエンは街を示す)、
おもに11世紀から14世紀にかけて栄え、
歴史的背景にはちょうどバイキングがローマンカトリックに改教し、
教会を中心とした都市計画が行われ,ヨーロッパの典型的な街となった頃。
元々同一民族ということや気候など,似た条件が重なっているためか
この遺跡から発掘されたものはスカンジナビアの同年代のものと類似している。

さて、この遺跡はほぼ完全な土台の残る3つの教会跡を中心に半径数キロに及ぶ地域に
一部だけが残る遺跡を含めて旧市街として呼ばれている。

クレメンス教会(Clemenskirken)
この地域で一番古い教会である。
土台から推測するに面積やその設計から,イタリアの中世前期に建てられた教会を思い出させる、
30人収容がせいぜいであろう小さな教会は中央に並ぶ3本の大きな柱により2廊式に分けられ、
またその柱は屋根を支えていたことが見て取れる。
建築様式から原始的な石造りのものである。
またノルウェーは木工技術こそ発達していたが, 石の技術についてはあまり論議の中心に
なるということは聞いたことがないので、この石造りの教会はきっと
ヴァイキングの拠点からヨーロッパキリスト教都市としての最初の一歩だったに違いない。
入り口の横には鐘楼と思われる正方形に区切られたスペースがある。
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マリア教会(Mariaskiriken)
イタリアでは教会の名前に諸聖人の名が使われるときには,基本的には“聖”がつき物なので
イタリア式に読んだら”聖母マリア教会”とか”聖処女マリア教会”、
“聖懐妊マリア教会”みたいに肩書きがつくであろう。
さて、この教会はこの地域では2番目に古いが増築など手が加えられたため、
入り口から続く奥の方にアプシス(主祭壇が置かれるところ)の
カーブがかかった半円形の壁が残る。
設計もラテン十字プランと主廊に翼廊の後が見られるが
半分は地下に埋まっている上に建物が建っているのではっきりとした輪郭は見えてこない。
ファサードには2つの鐘楼が付け加えられたようだ、
この様式はザクセン王で教皇より皇帝の称号与えられた
オットー1世が好きなスタイルでもあった。
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ハルバルズ教会(HALLVARSKIRKEN)
12世紀に建てられ上記の教会よりも広いスペースを取り、
あまりにもきれいに整備されているため遺跡には見えなかった。
現存するオラフ修道院に隣接するため、修道院の元庭園を公開しているものだと思っていました。石畳の通路には骸骨マークの石碑が埋め込まれている、
この遺跡より隣の修道院の修復跡の方が興味深い。
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ちなみにオスロ考古学ツアーなるものが行われ,この教会遺跡を案内してくださったのだが、
ノルウェー語に対する知識がなかったために何の情報も得られなかった、
終了後に教授にお願いしてカンペをいただいたらウィキペディアノルウェー版だった・・・、
本当に大学で考古学教えてるのかな?
最後の写真がツアーのときに写したもので、
インテリジェンスなムッシューとマダムたちのなかになぜか編み物をしている女性が・・
カミッラ曰く典型的なノルウェー人だそうだが、なぜ今このときに?

注意!)このページは私の見解で書かせていただいたもので必ずしも確かな情報とはいえません。
何しろ資料がノルウェー語しかないのでミスが見つかりましたらご一報くださるとうれしいです。