カルメン作の未完成絵画の前でくつろぐ猫ともらい物のレモン
久しぶりにカルメンの絵の先生アントニオ・モルジェーゼが尋ねてきました!
失業中と知っているのか、月曜日にはよく電話が掛かってきて
数ヶ月に一回の割合で遊びに来るようになり、
久しぶりにランチを一緒にしました。
アントニオ・モルジェーゼはナポリ出身の画家で
イタリア各地で個展を開いたり、以前はミラノやフリウリなどの
美術学校でも教師をしていたという、その業界では知られた人みたいですが、
カルメンはこの先生の元生徒で、自分のアパートを教室として提供する代わりに
レッスン代を無料にしてもらっていたという時期があり、
二人きりになろうと頑張る教授の恋路を邪魔しに
その日の前の晩から、スタンバってお邪魔虫して
ナスの油漬けだとか、チーズだとか保存食を稼ぎ、
その上、教授が買ってくる朝ごはんのお菓子まで手を出すという美味しい役割をしていました。
心臓肥大という健康診断の結果を受けたにもかかわらず、
原因はカルメンに対する恋心だととかのたまう教授。
太陽の輝くナポリで、美味しい食事を陽気な教授と一緒にするのは
私も楽しみの一つ。
一年前のノルウェー旅行以来、ずっと心の中にしまっていたはずの
恐ろしいほどのオーラ感知器が作動してしまって、
久しぶりの教授のおしゃべりが、妙に孤独感のかたまりのように
感じてしまいました。
スケベジジイほど苦手な存在はないはずの私、
なのに、この教授には、さほど嫌な感じを覚えたことはない。
それは生きていく上で、邪魔になるくらいの繊細さを持っているため、
誰に対しても誠実に正直に接してきたというところにあるのだと思う。
作品の中に見られるような、美しい風景画と孤独表現の融合を描く人だけあって、
生きていく上で辛いくらいの繊細さが、世間話をしているだけの教授から
痛いほど伝わってくる。
多分、他の人から見たら、な~んてことのない言葉が
ずっと心に刺さって、抜けない人なんだろう、
私は仕事をする上で、よく"そんなことイチイチ気にしていたら、やっていけないよ!"なんて
言われてしまうんだが、そういうことをいう人は気にしないからいえるのだろう、
そして、そういった対応をされてしまったこと自体に落ち込んでしまうのだ。
解決策なんて求めていない、ただ聞いてくれることで癒されるのに。
教授の話はそんな私が聞いたってな~んてことないことだけど、
闘争心と恐怖と孤独感を表現している。
会話の最中にこんな質問をしてみた。
"でも、そういったネガティブな気持ちが絵を描くことへのインスピレーションになっているんでしょう?"
答えはイエス!
芸術家人生の代償は恐ろしいほど高そうだ・・・。
津波の後で出てきた骸骨の山からインスパイアされたらしい。
福島原発事故を作品にして欲しいと希望を出してみたら、
何かしらのイメージが欲しいというお返事が返ってきました、
もし、このブログを訪問した人の中で、そういった写真や画像をご存知の方がいたら、
是非、ご協力いただきたいと思います。
続いて・・・
揚げ物ばかりを作っていたナポリでの二週間の報告
左のピザみたいなのは、ピザ生地を揚げて、
奥の揚げ餃子みたいなものはピザ生地の中にリコッタチーズをつめて揚げたもの、
その奥は、私が作った玉葱、人参、ジャガイモを千切りにして小麦粉で混ぜた
アントニオがパスタと野菜の夕食よりも、
ジャンクな物の方がうれしいということで、
たまにこんな晩御飯の日もあります。
アントニオはトマトソースなしの揚げピザに自家製生ハムを
乗せて、サンドイッチみたいにして食べていました。
・・・生臭そ~
茄子団子と茹でロマネスコ
茹でたナスをパンとチーズで丸めてパン粉を漬けて揚げたもの
私は丸めるのだけを手伝いました。
ロマネスコは日本でも見かけますが、クタクタにゆでたものを
塩とオリーブオイル、レモン汁で和え、ヨーグルトと一緒に食べるとおいしいです。
最後はキャッケレ
カルネバーレという、イタリアの悪ふざけをしても良い日のおやつ。
パスタマシーンを使って、生地を薄く延ばし、油で揚げます。
粉砂糖だけのシンプルだけど、美味しいお菓子。
ラードが入っているのは私はちんすこうと同じく食べてはいけないお菓子、
勿論食べましたよ!
・・・ところで
私の食事はまだ?
教授がカルメンに求めるのは、そんな日常で起こる普通の出来事の心の傷を
少しでも聞いてもらうことで癒されるからなんだろうなと思う。
この日は教授を応援しすぎて、帰った後でカルメンに怒られました・・・。
そして自分のアパートに戻る前に、
教授の置いていったスフォリアテッラを持たされました。
婚約者のアントニオに、教授の訪問がばれないように証拠隠滅する為です。