ナポリの小枝とノルウェーの切り株

ノルウェー、ヴィーガン、猫とおそ松さん

宇宙船レナート・ゼロ号

レナート・ゼロとは、イタリアにいたら
その人の名前を聞かないことはないだろうというくらい
ファンが多くて、テレビやラジオで曲がかかり続けるくらいの大物ですが、
イタリアの音楽シーンに付いていけない私でも“偉大”である
と認めざるを得ない方です。

どれくらい偉大かというと・・・

まあ、張り付けた↓のビデオを見てください。
Il Triangolo
Renato Zero
 
Il Triangolo “三角”という曲で、女の子と外出しようとしたら、
彼女は別の男を連れてきたという歌です。
70年代の曲なんで、良い音源も映像もありませんが、
この人、芸人さんでも罰ゲームでコントをやらされているわけではありません。
“本気”です!

愛してナイトの火事頭とか、古い少女漫画を思わせる風貌ですが、
衣装がファンキーなお化け的で動きがコミカルすぎる。

そんなレナートが主役の番組があったんですが、
その名も“レナート・ゼロの世界”。
2000年に放送され、4日間にわたって
ゴールデンタイムを占領していた恐ろしい番組です。

まあ、ちょっと紹介します。
古い番組なんで映像が悪いですが、興味のある方はYoutubeで探せば出てきます。
 
イメージ 2
左下に見える帆船がどうやら“ゼロ号”のようです。
時間も空間も関係のない時空を旅する船で
ステキなショーが行われるというコンプセントの番組・・・
銀河鉄道999とか、そんな感じ?センスが21世紀とは思えない)


番組は宇宙船の乗組員が船に乗り込むところから始まります。
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子供のエア縦笛が出港の合図。
次々乗り込むのは20世紀初頭の衣装をまとった人たち。
セーラー服の水兵風だったり、トップハット被った人だったり、
アムゼン南極調査隊みたいな遭難しかけのおっさんや
ギリシャ神話の登場人物みたいなチュニック着てたり、
アフリカ人やチャイナ服の東洋人もいます。
ユニバーサルを意識しているのだと思うけど、
ピエロや妖精までいる。

おや~、出発の時間なのに、船長のレナートがいません!

と、思ったら・・・
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ローマ人の家族の家ですっかりパスタをご馳走になってます。
“時間よ、レナート。”
“そうだった!”
というアホな寸劇を見せられて、いきなり人差し指を立ててワープします。
食卓に一人残された婆さんは、
“みんないなくなった、レナート、誰よ、それ?”
というボケをかましてます。

そして、カメラはステージに切り替わり、
レナートのCercami(僕を探して)という歌でコンサートが始まります。
まあ、イントロは白けるが、それよりもっとすごいことがこの番組で起こります。
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ライト兄弟の片割れみたいなおっさんが、起き上がりこぶしになって出てきます。
歌の最中、ずーっとグラグラとレナートの横で倒れそうになったり、
起き上がったりしてます。
更に、このおっさんの演出が相当気に行ったみたいで、
この番組でも3回ほど、この“起き上がりこぶし”が出てきます。


一曲歌い終えて乗組員の皆さん全員集合
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トークショーが始まります。
乗組員の名前は“ファンタジー”、“勇気”、“希望”そして“時間”。
“時間さんからは解放されたいものだけど、いつも付きまとうんだ。”
という隠喩たっぷりの宇宙船レナート号・・・
メタリックなレナートのズボンなんかで違和感を感じていたら、
この番組をシラフで見るのは無理そうです。

一回の放送が3時間もあるので、
レナート一人で歌い続けるのには無理があり、
豪華なゲストが次々出てきます。
イタリアの大物歌手ジャンニ・モランディを始め、
エロス・ラマゾッティや海外アーティストユッスンドールも
下手くそなイタリア語で歌ってました。
ショックだったのは、オシャレなミナが出てきて一緒に歌っていたこと!
歌もルックも大好きだったのに、レナートと友達というだけで、
私の中ではモテアーティストから
ちょいモテか、ちょいブスアーティストに格下げされてしまいました。

続いて、空飛ぶじゅうたんでアラジン登場。
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じゅうたんは空を飛んでいるのではなくて、
布で隠された部分に人が一人入っていて、持ち上げながら重みでフラフラしてます。

ご覧の通り、イタリアン・ロック&ラグジュアリーをイメージした
レナートの舞台衣装もすごいですが、
それをイチイチ指摘していたら、終わらないので
被り物を中心に紹介して行こうと思います。

子供と歌う。
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マイケル・ジャクソンもよくやってましたが、この二人の子供は歌の間
レナートの周りをぐるぐる回り続けています。
テレビが生放送だったら、夜中の10時は過ぎているので
アメリカだったら、児童虐待で叩かれているかもしれないです。
イタリアの子供は夏の間、大人のお出かけに付き合うので
帰宅が夜の1時とか普通です。
ロシア人のお医者さんがイタリア留学で一番びっくりしたことは
9時を過ぎても子供が外で遊んでいることだったと言っていました。
夜寝ない子は、脳に影響が及んでキレやすくなるそうです。

一瞬、瀧勝的なワンちゃんと一緒に。
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自分も首輪で鎖に繋がれています。
多分、歌っていた曲が“自由にしてくれ”みたいなやつだったと思う。


サイボーグ・レナート
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電気車いすみたいな装置に乗ってロボット的に前後しながら歌ってます。
周りにはうるさいくらいの踊り子さんたち。


怪我しているけどOK!
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包帯とギプスで歌います。
頭には釘が刺さり、左肩にはブッチャーナイフが刺さったままですが、
途中でナイチンゲールが出てきてギプスを外して持って行きます。


鳥かごの中のレナートはビデオで
Non sparare
Renato Zero
 
こういう歌が延々と3時間、4日間にわたって歌われます。
ほとんどがイタリアン・バラードなんでロマンチックなラテン娘には
実にファンタスティックな番組だと思います。


レナート号のレナートの個室
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ブルースブラザーズがいたり、動く名画があったり、
“豊穣”と“枯渇”という名の二人の女性が住み着いていたりと
一人にはなれないお部屋です。


この番組、私がイタリアに来て間もない頃に放映されていて、
レナート・ゼロの大ファンという人と一緒に見ていたんですが、
まだ、イタリアの本当のセンスを知らなかったので
本気でやっているのか、
ダウンタウンガキの使いやあらへんで的にやっていたのか、
よくわかってなかったのですが、
とにかく可笑しくて、姉ちゃんと共有したくてたまらなかったところ、
10年以上の時を経てやっと!共有できました。

・・・もしかして本当に時空を超えた旅するレナート号だったのかもしれません。

最後に
時間のある人だけどうぞ!
Il Triangolo
Renato Zero & Raffaella Carra
 
最初のビデオの曲をイタリアの黒柳徹子ラファエッラ・カッラと
デュエットしたやつです。
レナート・ゼロのセンスは理解できませんが、
この曲で盛り上がる私はイタリア脳が出来上がってしまったのかもしれません。

 Voglio incontrare da soli! 
Lui chi è? (ルイ キィエェェェェ~)
Lui chiè?! (ルイ キィエェェェェ~)
Mandalo!!