ナポリの小枝とノルウェーの切り株

ノルウェー、ヴィーガン、猫とおそ松さん

ナポリを聴け!ジジ様の世界

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姉ちゃんのリクエストにお応えして、
姉ちゃんが大好きだというジジ・ダレッシオ特集です。
正直なところ、彼のことは知らない。
知っているのは、ナポリ出身で未練がましい恋の歌を歌い、
既に結婚していたジジ様、アンナ・タタンジェロという下品な歌手と不倫の末、奪略婚したということくらいですが、
私がナポリで生活を始めた頃が丁度、彼の音楽活動が世に出ててきて
人気が急上昇した時期だったようです。

まずは一曲行ってみましょう!
Insieme a lei
Gigi D'Alessio
 
大学生のほとんどが彼を嫌っていますが、
ファンのほとんどはナポリB層と言われる人たち。
どういう人たちかというと・・・
・地元が好きで一生地元から出て行くつもりのない人たち
・週末は兄弟やいとこ、近所の友達と夕食後に出かけて
夜食に近いスナックを食べ歩くか、
無意味に車で遠出して朝方まで帰ってこない
・成人していても両親と同居している
・駐車するときはステレオを取り外して持ち歩く
・PCには弱いくせに携帯電話は最新式
・パートナーは友達の紹介か、近親者
ナポリの近郊都市を何故か嫌っている、理由はスノッブだから
・自分と友達は正直者だと思っている
・引き算ができない
・お墓や教会の前では十字を切る
アメリカが好きで正義だと思っている
・半年くらい、ナポリより北の都市で働いたことがある
・ファンのくせに新しいアルバムが出ると、違法にコピーされたCDを道端のアフリカ人から買う


・・・と並べたらキリが無くなりました。
それくらいステレオタイプ化された人たちです。

そう言う人たちの車には必ず、ジジ様のアルバムが一枚置いてあるので
知らずに一緒にお出かけなんかすると、
“ラマゾッティとダレッシオ、どっちがいい?”
と、無邪気に聞かれてしまいます。

小ばかにしながらも、私にとっては偉大な歌手だったりします。
前回紹介したレナート・ゼロは聞いてられないので
ラジオでかかった場合、局を変えますが、ジジ様の曲は聴きます。
それはやっぱり、私のナポリ魂に訴えかけるからでしょう。

こちらの曲は多分、一番売れたアルバムかな?
姉ちゃんの一番好きな曲だそうです。
住んでいた建物のナポリ家族が好んで
大音量で聞きながら家事をやっていたそうです。
Io Vorrei
Gigi D'Alessio

はっきりとした発音で失恋したナポリの若者文化を背景に歌っているのが
ナポリを体験した人たちにとって懐かしさを覚えるのも事実です。

って真面目にレビューしてしまった。

と、いうわけで、ジジ様のCD、もしくはレコードのジャケットをどうぞ。
 
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最初の頃のでしょうか?
鏡映しの自分を挟んで大きなハートが目が引きます。
左側の色彩が類似色で境目があいまいですが、
ベストのブルーが対照カラーなので全体的にはっきりとした
目を引くアートになっています。
 
 
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こちらはポップアート的に4つの白黒写真と極彩色の背景でまとまっています。
写真がジジ様ではなく、もう少し少女漫画に出てくるような美少年だったら
渋谷のZESTあたりで売っているインディー系の7インチみたいになったと思います。
 
 
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一瞬、英語圏のインディーロックバンド的なジャケットですが、
下の書かれた文字を見て驚き!
"40ページにも及ぶパンフレット付"
"全ての大ヒット曲を収録プラス未発表曲一曲の72分!"
・・・40ページもジジ様の何を知りたいというのか?
72分もあるの?!このアルバム!!と突っ込みと入れたくなります。
まあ、ライブアルバムみたいですが、よほど好きでないとこういうのは買わないな。
 
 
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こっちは何だか動きのあるジャケット、
多分、ジジ様の心の動きを表現したかったのでしょう。
左下には前回の教訓からか、パンフレットのページが16ページにまで減っています。
11曲の未発表曲アルバムというのが気になりますが、
たぶん、ほとんどがナポリ語でよほどのファンでない限り買わないでしょう。
 
 
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こちらは"Semplicemente SEI"でございます。
日本語で多分、"オンリー・ユー"的に"君だから"かな?
"君"という赤い文字が力強いカリグラフィーで、よっぽど、よっぽど!
購買意欲を誘いたかったのでしょう。


ナポリにいたというだけで、ジジ様の曲を受け入れてしまう理由の一つとして
ジジ様のナポリ式信仰にあるのだと思います。
歌詞にちりばめられた"一緒に教会に行ってキリスト様の前で誓った"とか
"こんな辛い夜はスピリト・サント(聖霊)がどう慰めてくれるの?"とか、
科学より信仰タイプのナポリ人的で、懐かしいのです!

最近ではメッキリイタリア語ばかりで歌うようになってしまいましたが、
売れ始めの頃は、サビの部分がナポリ語で
心の一番盛り上がってくる部分が方言になるという方法で歌っていました。
私だって、気持ちが高揚すると南部方言が出たりするので同調してしまいます。

最後に、きれいな一曲を!
Notte
Gigi D'Alessio
 
このビデオは随分古いように見えます。
多分、90年代の始めかな?
でも、ナポリってこの時代を今も生きているような感じで、
同時に戦前から現在に至るまでの全ての時代が
混在しているような街でもあります。
多分、住民のメンタルが、
それぞれ自由にその時代を生きているからかもしれません。

カミッラがナポリで勉強していた頃はボロクソ言っていたのに
年に一度、旅行で来るようになってから
何でも懐かしがって嬉しそうにしている意味が
ナポリを離れた今の私には痛いほどわかります。