ナポリの小枝とノルウェーの切り株

ノルウェー、ヴィーガン、猫とおそ松さん

最後のリクエスト

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ヴェスヴィオ火山


昨日、最後のナポリへ行ってきました。

土曜日は午前と午後で二人の日本語学習生徒との授業があります。

朝の生徒さんは、プロ画家でイタリア中部の街で美術教師もしていた方です。
夕方の生徒さんは、日本が好きな30男で
遺伝子的問題から、外に出ることができないので、
お家に直接訪問させてもらいます、
そしてよくブログに登場するエンリコ君の弟です。

二人とも日本語は趣味でやっているので、
テストに追われて苛立っている大学生よりも
脳みその使い方が柔軟で、楽しく授業をさせていただいています。
 
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暑いときはレアル王宮の影で一休み。


私が最初にイタリアへ学生になりに行ったのは
2000年のことでした。

大学に入ったのは2005年。

最初に知り合った友達は、大学の卒業と伴に
アイルランドで事務仕事をしていたり、日本で教授をやっている人がいたりしますが、
ほとんどが地元の田舎で、無職に近い趣味仕事や
コネで観光案内所やバールなどで小銭を
稼ぐのがほとんどになってしまいました。
 
朝の生徒さん、アウローラはお別れのときにこんなことを言ってくれました。

“もう、イタリアにはいないからと言って、連絡を絶ち切らないで”

この言葉、ズーンときました!

ナポリ近郊だけにあることなのか、
自分の生活サイクルから消えた人は
連絡も途絶えたり、友達でなくなったりするのがふつうです。
 
彼女から庭で発掘された1700年代のコインをもらいました。
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彼女の家は、歴史の通過地点にあるので、
ローマ時代から100年前までのコインが、庭仕事の最中に出てくるそうです。
それをどうして文化財保存課にもっていかないかというと、
イタリアでは、遺跡を見つけると立ち退き要求が出るか、
調査員が来て、勝手に土地を国有化し、事実上土地の取り上げをされるので
例え、遺跡が出てきても黙っていることがほとんどだそうです。

ナポリも地面を掘ったら遺跡が出るという土地ですが、
こんな調子だから、考古学的損失が起こりやすい・・・。
 
 
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暑いからレアル王宮以外は行こうと思わなかった。


人生の半分くらいを過ごしたイタリアを、戻る予定がなく帰るのは
日本を出発するときのような
のど元に何か引っかかっている状態の悲しみを感じます。

執着もなくなり、大学を一時やめることに肩の荷を下ろした気分だったのに
退学届を出しに行ったあと、急に事の現実感がのしかかってきて
どうしていいかわからない状態になりました。

偶然にも懐かしい人から電話がかかってきたり、
道端でバッタリと会ったりして、いつもはできなかった長話を楽しみました。
 

その一人、エルバライフのおっさん
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このおっさん、ナンパされたのではありません。

午後受け持っている生徒の介護をしている人で、
一度は司祭を目指したという信心深いおっさん、
私に洗礼前の勉強を用意してくれていたんですが、
今回、私の心変わりを話すと、とても残念がっていました。

キリスト教のお話は、また別の機会でお話するにしても、
このおっさんの何が面白いかというと、
日本語だとハーバルライフかな?
ダイエット食品を売りつけ、新しいセールスマンを紹介し、
その仲介手数料で何をしなくても小銭がポケットに舞い込むという
ネズミ算式の金儲け法を良いことだと思って頑張っている人です。
 
なので、会社側から言われてるように、
いつも胸には“やせたい?”とか“良い仕事がありますよ”という
怪しいバッジをつけています。
この方法はキリスト教概念から言わせると悪徳で
ガンジーの言葉でいう、経済奴隷の証にしかみえませんが、
真剣にやっているので、文句はいえません。

まあ、説教されましたよ!
 
午後の生徒さんとエンリコ君とのお別れで泣きそうになるのを
恐ろしく我慢していた私は、このおっさんと
バッタリあって、すっかり元気になりました。
ありがとう!
 
 
その後・・・

電車を待っている間にルーマニア人のオバちゃんとおしゃべり。

福島事故のことを心配していました。

原発事故は被害を認めるほど、賠償できないから
政府は絶対嘘をつく、だから、政府の発表は反対の意味にとって”
 
という重い言葉をいただきました。
嬉しかったから、荷物持ち手伝いました。

ルーマニアでも、具合の悪くなった人が多く、
若い人たち膵臓の病気に罹り、働けなくなったとか。

“働けても仕事はないけどね。”

なんて、言ってましたけど。



フライドポテト屋が町中に現れるようになったナポリ
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私は大学で友達もできなかったし、
仲良くしてくれたのは、少数の短期滞在外国人がほとんど。

それでも、別れを惜しんでくれる人がいたと実感すると、
どうしても日本に持って帰りたかった持ちきれないほどの
本や服はすべて捨てて帰ってもいいと思いました。
 
 
 
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明日はカミッラが来ます。

私をイライラさせて、早く解放されたい!

という気分にしてくれることを期待します・・・
といっても、現在、カミッラは私と一緒に住もうと
大きいアパートを探しているそうです。

まだ言えない・・・私がプロテスタントの教会に通うなんて・・・。

カミッラは私が北海道のトラピスト修道院に入ることを望んでいるらしいですよ。