ナポリの小枝とノルウェーの切り株

ノルウェー、ヴィーガン、猫とおそ松さん

ペンテコステ・カフェのやばスムージー

会場となる聖オラフ教会横の司教館

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ノルウェーはルーテル派のプロテスタントが国教なので、カトリック教会の信者はベトナムやフィリピンなどのアジア系、ポーランドからの移住者がほとんどで、カフェの利用やボランティアサークル感覚で来るノルウェー人なども年々増えているように見えます。

この日はペンテコステなので、いつもの日曜日よりミサに来る人が多く、8時に始まるポーランド語のミサに始まり、英語、ノルウェー語が数回あり、17時のタガログ語ミサが終わるまでの間、私たちがカフェを取り仕切ることになっている。

コーヒー、おやつ、ホットドック付き8時間の活動なので、ボランティアとはいえ、ちっともブラックではない。

カミッラは8時のポーランド語ミサに参加してから、カフェのカウンターに並べるお菓子の準備を手伝っていたようですが、私はゆっくり家を出て10時頃に合流させてもらった。

 

着いてすぐ、カウンターに並ぶカミッラが作ったスムージーが見えた。f:id:monken:20190708232723j:plain

グラスに入った緑色と薄緑色とカラーコーディネーターの資格があっても表現できない色のスムージー・・・

これ、コーヒーよりも割高の値段が付けられて売られていました。

昨日、その素材を買いに行っているので、中身は大体想像できる・・・

しかも、丁度、追加で緑スムージーを作っているところを見てしまい、ケール、キュウリ、パクチーを水に浸してハンドミキサーで混ぜるだけという、おいしそうな要素が全くないのがわかってしまった。

 

ヨーグルトとかアボカドは混ぜずに、ただ野菜や果物をハンドミキサーで粉砕して混ぜ、水を加えたという生野菜水のようです。

 

 誰が買うんだ?

 

ベージュ系スムージーとワッフルで休憩

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私が到着すると、休憩しようとカミッラがスムージーとワッフルを渡してきた。

彼女はこのスムージーに対して、全く疑問を抱いていないらしいが、素材と作り方からして絶対に美味しくないのが想像できる・・・

意を決してコップを傾けると、鼻先にはバナナの匂いを感じる。

味はバナナと刺激の生姜味。

見た目は嘔吐物みたいなのに、一番やばくないスムージーだったようです。

もはやワッフルに卵とかバターが入っているとか、勝手に皿に置かれたチョコとか目に入らないほど、スムージーインパクトが強かった。

 

食べたいスウィーツはあるかな?

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雑多に置かれたブラウニーは昨日マルティンが焼いていたもので、それ以外は当日に持ってきたものがほとんどの様子、15時頃には売れ切れが続出したのに、ビジュアルの問題なのか、並べ方が雑だったせいかブラウニーは随分売れ残ってしまった。

 

最初に品切れとなったワッフル

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ワッフルは私が担当となって、ひたすら焼いていたんですが、教会ミサの後のカフェではワッフルを食べるのが習慣化しているのか、とりあえず買っていく。

日本のようにステキなデコレーションもなければ、トッピングはマーガリンとジャムのみのシンプルなものなんだけど、何故かすぐになくなっていくので、イサベラが冷蔵庫から出した作り置きのワッフルバター5リットルを追加し、私も2つのワッフル用鉄板から離れずにフル稼働で焼き続けるが、14時にはそれすらソールドアウトです。

あまりにもすぐになくなるので、売り子に回っていた留学生が食べながら作業してたんじゃないかと疑いすら持ちましたが、どうやら子供たちがワッフル交換券を持ってきていたようでした。

ミサに来てもらう目的で教会カフェでワッフルが無料でもらえる券を配っているらしいです。

まあ、留学生たちも食べながら作業していたと思いますが。

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ノルウェースタイルなホットドッグ、売り物だけど、食べながら客をさばいていたのをしっかり目撃したぞ。

 

マルティンを尊敬したくなる予定外のメニュー

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デカい鍋には炊いたお米、テーブルの上にはトマトソースにビーツ、鳥の胸肉スパイス焼きというメニュー、皿の上に全てを盛り付けると何ともステキな中近東風な料理にみえます。

これ、昨日カミッラが予定していたピラフとスープが上手く順序を立てて調理できなかったので、マルティンが彼女を説得して、作り替えたメニューなんです。

実は、ナポリ大学時代にカミッラが作った“パエリア”を私は知っている。

それは先にお米を炊いて、その上にサフランと冷凍の魚介類を乗せ、蒸気で解凍した後、かき混ぜただけのもので、そのお味は想像通りだったんですが、今回も同じ方法で“ピラフ”を作るつもりだったらしい。

それを知っているなら何が何でも阻止するべきだったのですが、そういう作り方もあると何にも口を挟まずにいると、責任者であるマルティンはどうにかお金を出して食べられるメニューにしようと、鶏肉の調理と大量のトマトソースを上手に使っておいしい一皿に完成させたようです。

しかも、鶏肉の代わりにソーセージを付け合わせることもできるのが、いいところでこちらも売り切れになりました。

まあ・・・大豆ミートとかコロッケに代用できたら、もっと良かったけど。

 

10杯は売れたスムージー、分離が始まっている

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ベトナム人ノルウェー人が興味を持ってくれたスムージー、折角売れてもお皿を下げに行くと、半分以上残していた人が多く、空のコップを見ることがなかった。

これは、閉店まで3,4杯は残ってしまい、食べ物を求めて物乞いに来たロマの女性二人に渡すと、おもいっきり拒否されてしまった。

“こんなのいらないから、そっちのチョコレートケーキ渡せよ。”

ロマの人たちはイタリア語が話せるので、私とカミッラにしつこく要求してくるんですが、私はそれが面白くて、こちらも“体にいい”とか“デトックス効果がある”とか、これを飲まないならチョコレートケーキは体に悪いから、あなたのために上げることが出来ないと説得して、紙コップに入れて無理やり持たせた。

その後、食事を要求するポーランド人のオッサンが来たが、一度勧めてみるも拒否され、残念ながら共通言語がないので、それ以上のやり取りはしなかった。

オッサンは残ったブラウニーや白米は食べたくないというので、マルティンが司教の住む裏手の建物へ行き、食べ残しという大きなピザ半分をもらってきて提供していた。

いつも驚くのが、施しを受ける側が欲しいものを要求してくるところで、私もナケナシの小銭を出しても、“それしかくれないのか?”を言われて以来、いくらでもいいからくださいと言う人以外にはサイフの紐がきつくなってしまった。

 

皆さん、お疲れ様でした。

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当日お手伝いに来た人たち。

チェコ人、ポルトガル人、ポーランド人、唯一のノルウェー人がカミッラで私はメンバーで唯一の日本人です。

ほとんどは留学生なので、出発前の残された時間を友達と過ごしたかったのかなと思います。

右から3人目のアメリカ人女性がキャンディキャンディに出てくるモブキャラみたいで、あの漫画が描かれた時代からあまり変化のない社会がアメリカなのかと考えさせられた。

17時にはフィリピン人のオバちゃんたちが台所を空けろと、ほぼ強制的に私たちを追い出し、余った食材を少し残したまま退散となった。

マルティンは中心街のバーで打ち上げをしようと、時刻を場所を言って帰って行ったが、カミッラも私も行くつもりで“後でね!”と、カフェを後に。

しかし!フランス語のミサに参加したあと、気の良いコンゴ出身の人たちに誘われてアフリカ料理のビュッフェに行ってしまった。

 

よく分からないまま盛り付けた手作りのアフリカごはん

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 丸いドーナツみたいなのはフランスで食べらる“ビニエ”、豆料理とピーナツが印象的だが、メインは魚だった。

 

帰り道、教会の塀の上にロマの女性に渡したスムージーの紙コップが置かれていたのを目撃する、中身は全く手を付けていないようだ。

“あの人たちは体に悪いものばかり食べ続けてきたから、健康に良さそうなものに抵抗があるのだろう。”

と、とってもポジティブに受け取るカミッラ、私はそんな彼女を見習いたいと強く思った一日だった。