ナポリの小枝とノルウェーの切り株

ノルウェー、ヴィーガン、猫とおそ松さん

ベルゲンまで10時間 フィヨルド表ルート

もう、何ヶ月も経っているのに未だに3月のノルウェー旅行について書き続ける
危ない記憶力の私。
今回は西ノルウェーにて、10時間も乗り続けたバスの話。
 
グループ行動が当たり前の南イタリア人、
たった一人で行った西ノルウェーバスの旅の話は超人伝説のように扱われる。
 
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西ノルウェー2つの都市Ålesund ~Bergen間を繋ぐフィヨルドライン、
赤い線で引いた左側が今回私が通ったルート、ブルーの線が山間部を進む裏ルート。
東側のオスロから伸びる緑の線は私が利用したオールセン行きの長距離バスルート、こっちも10時間かかる。
 
地図でまじまじ見ると、隣国スウェーデン、バイキング時代に要らない不毛の土地を
ノルウェーバイキングに押し付けて・・・
当時は化石燃料なんて興味なかったのであろう。
ノルウェーには貴重な鉱物を掘り出す鉱山や油田がある。
フィヨルドは地理的に海路で攻めてくる敵から身を守りやすいが、
敵だったのは近隣のデンマークスウェーデンだ。
 
オールセン、ベルゲン間は400キロほどの距離だが、
複雑な地形を通るため、時間が掛かる。
その間、3つの州をまたぎ、4回フェリーに乗り、運転手が4回代わった。
 
 
-3℃で吹雪のオールセンを後にし、午前11時の一分ほど前に出発。
夜行バスという手もあったが、肝心の景色が楽しめないことや、
4時間のトランジットがあることを考えて昼出発を選ぶ。
 
長距離バスのクセに停留所が多く、
人口と利用客が少ないおかげで各駅停車は免れたが、
割と良く止まるバスに定刻通りベルゲンに着くか心配する。
 
今回も宿泊施設の予約を入れることが出来なかったのだが、
前回と違って夏ではないので野宿は遠慮したいところだ。
 
深夜特急の著者、沢木耕太郎だったら大喜びのバスの旅であろう・・・、
しばらくすると雪と道路以外何も見えない地域へ、
窓の外には墓石の頭がうっすら見える程雪深いなか、
腰まで雪に漬かってお参りする母子を見た。
そこまでしてお墓参りする理由があるのかと思うとしんみり。
 
窓から見える乗降客、町の風景に私もちょっと感傷的。天気のせいか?
 
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乗って30分ほどで一回目のフェリー。バスごと乗り入れる。
フェリーに揺られるのは15分ほど、その間に船内の売店で無駄遣いをする乗客。
気分転換になるフェリー船内だが、ボッタクリの売店に財布の紐はしっかり締めて。
 
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フェリー船内の廊下
 
私の席の横には小学生くらいの女の子はが一人で乗っていたのだが、
フェリーに乗り入れると同時に、自分の貴重品をシートに残したまますごい勢いで降りて行った。
3分後には戻ってきてパックのオレンジジュースとドーナツを食べていた。
これで船内に売店あることを知り、好奇心で行ってみたのだが、
この小学生の無駄使い金額が千円近くであったことを知る、甘やかしすぎだ。
 
その後、2時間ほどヘアピンカーブをウネウネ、
崖を削って出来たような道のすぐ横には大きな川のようなフィヨルド
気温は氷点下、勿論凍っていて、その色のトーンがアクアグリーンだったり、
綺麗なアイスブルーだったり、ちょっと黄色味を帯びていたり。
 
お天気も吹雪かと思えば、急に晴れてきたり。
 
山側には溶けかけの雪解け水が氷の柱を作っていてなんとも幻想的。
 
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前に雪かき用の車が走っていたのでバスもスピードを落とす。
左側に見えるのが氷の柱、右側がフィヨルド
 
こんなカーブの続く道で私も持参のランチを摂る、胚芽パンに挟んだエダムチーズときゅうりのサンドイッチだ。
 
一番前の席を陣取っていたので、扉が開くたびに冷たい空気を感じる。
 
 
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フェリーの船内からの一枚。
 
無駄遣い小学生は2回目のフェリー後、小さな停留所で降りた。
運転手さんに挨拶して降りた先には髭に長い髪のおじさんが待っていた。
どうやら別居中の父親のようだ。
スカンジナビアでは婚姻にとらわれない家族計画がスタンダードなため、
このように2週間ごとに両親の間を行き来する子供は少なくない。
 
人の家庭事情を探っている場合ではない、なぜならこの後、
バスは満員となり、乗り切れない乗客が出るからだ。
 
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雨具で西洋子泣き爺ファッションの高校生たち、西ノルウェー人は身長低目、背も低ければ金髪も少ない。
背後の山は雪雲に覆われている。
 
西ノルウェーで最も地味なソグン・オグ・フィヨルダネ州。
セリエ修道院跡やいくつかの木造教会があり、中世考古学ファンには胸キュンだが、
この州の州都及び県庁所在地の名前を挙げろといわれたら思い浮かばないほど人口も見所も少ない。
 
ここで2回目の運転手交代、エルトン・ジョンに似た赤毛の運転手さんに交代。
フォルデバスターミナルでは長距離通学生の下校ラッシュ、
一台では足らず、急遽、同じルートを通るバスと運転手を手配する。
 
とりあえず都市部に育った私には通学にバスで何時間というのが信じられなかった。
きっと吹雪の日は休校だ(そんなわけない)。
 
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ノルウェー語のアナウンスのみの車内、トイレがあるのはわかるにしても、
紅茶、コーヒー無料って聞こえたけど、確かではなく、誰かに確認したいところだが、
自分の喉が渇く頃には乗客は10人程度、魔法瓶のコーヒーに飽きたので、
フェリーの売店で無駄使いする。
 
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日没30分前、最後のフェリー船内にて、曇っているから夕焼けは無く、
代わりにブルーのトーンが少しずつ濃くなってゆく、
 
日が暮れてくると一気に怖くなる、
道の見通しが悪くなり、街灯もない。
暗い上に雪まで降ってきた。
 
何も無いところで高校生くらいの男の子が下車、誰かと待ち合わせだろうが、
熊でも出てきそうな雪深い山の中、暗くて交通量が少ないところで待つなんてサバイバル。
  
ベルゲンに到着する一時間ほど前、真っ暗だった視界が急に開けてきて
海と街灯のような点々とした明かりが見えた。
そして車内アナウンスでは"(ベルゲンのある)ホルダラン州に入りました"という報告。
 
なるほど、ベルゲンは都会なのね。
 
午後9時30分、ベルゲンバスターミナルに到着、
バスで来るのは初めてなので、現在地を知るため鉄道駅を探す。
すぐ横にユーゲンスタイルの駅舎が見え、いとも簡単に土地勘をつかんでしまった。
いつもは方向音痴で何処でも迷うものなんだけど・・・。
 
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大吹雪でも会いたかったベルゲン!鉄道駅の入り口では分別用ゴミ箱、
扉は二重ドアになっていて、冷たい空気が入りにくい構造となっている。
 
 
バスの中では興奮していて寝付けず、10時間のバス旅行も疲れを感じることなく
ベルゲンを歩き出す自分、既にナルチストモード全開、
Loveベルゲンを歩いている自分!!
 
思い出すだけで動悸が・・・。
 
 
 
今回はちょっと深夜特急風、私の通ったルートも国も安全でシルクロードのようにサバイバルではないが、
見たことの無い凍った風景や雪の中に埋ってしまいそうな白いだけの景色に
違う境界線を感じた、うまくは説明できない。
 
ちなみにこのバスで始発から終点まで乗っていたのは私だけ、
みなさん程ほどの距離を日常的に使っている様子。