カミッラの週末は芸能人並に詰まっている。
この度は中世考古学のコンフェレンスがあるとかで、
地下鉄を使って街はずれの教会まで行ってきた。
ノルウェーで教会というのは本当の意味での公共施設である。
礼拝のみならず、会議なども行える会場やロビーなどもそなえており、
トイレも無料で貸してくれるのだ!
駅、デパートなど、100円程度を払って用を済ませなければならない。
さて、この中世考古学コンフェレンス、
着いて驚き、食事つきランチショーだったのだ。
高い金額を払ってブッフェ式の食事を楽しみながら、
インテリな話に耳を傾ける・・・、
食事には会話が付き物のイタリアではありえない会合である。
けちな自分はトイレだけ借りて退散。
カミッラのカフェインが切れて、スーパーにコーヒーを買いに入る。
ノルウェーのスーパーには、セルフサービスでコーヒーを売っていたりもするのだが、
辺りにカフェがないような郊外の住宅街では販売していなかった。
そんなもん飲んでるお金と時間があったら
家でゆっくり自分でコーヒーを淹れたいだろうな。
というわけで、ネスレのココア買って、私があらかじめ用意しておいたコーヒーに混ぜて飲んでいた。
予想外の支払い制中世談義には参加せずに行ったところは
オスロでもハイソな地域、マイヨルストゥアの図書館。
ここではインターネットでオールセン行き飛行機の値段を調べたり、
ノルウェーの漫画Nemiを読んだり、くつろぐ。
午後は教会のコーラスとかで、ドメニコ教会へと急ぐ。
ミサの後、長々となにやら歌っていたが、気がついたら夜の7時。
この日はカミッラの友達、ランディとのディナーも予定に入っていたので、
一緒にお邪魔する。
ここまで、別に何も忙しくないように見えるが、
カミッラの無駄な遠回りやコーヒータイムで時間がどんどん過ぎていく。
私よりも滑って転ぶ確率が高いカミッラは、無駄に交通機関を使う。
最寄のトラム停留所に行くなら、歩いても距離は変わらないとか、
遅れると文句言ってる割には、直前までくつろいでいたり、カプチーノを買いに
コンビニに走ったり・・・、彼女と友達付き合いがあった
時間のない日本人の皆さんには、よく相談を持ちかけられたものだ。
さて、7時過ぎに教会を出たはずなのに、
同じオスロ市内にある、ランディのアパートに着いたのは・・・9時近かった気がする。
カミッラと高校以来の友達だというランディは、
そういう彼女の事情を理解できる、とても心の広い人だ。
私も数年来の再会に喜んでいたのだが、
シャイなのでハグできない・・・。
おいしい食事の後、テレビを見ながらくつろぐ私達。
スウェーデンの番組も見れるようだ。
ランディの入れた濃いスカンジナビアンコーヒーを飲みながら、
カミッラが見たがっていた”ノルウェーミュージックアワード”をみる。
この番組でノルウェーの音楽シーンを知ることができて面白かったけど・・・、
売れている音楽はどこも同じだ。
唯一、テクノバンドのロイクソップがアンダーグランド系だったかな?
最後にはおっさん歌手、ヤン・タイゲンが持ち歌”オプティミスト”をみんなに囲まれて熱唱。
ドラッグにも手を出したけど私は元気です。ってイメージの歌手だ。
ランディのアパートなのにくつろぎすぎの私達、
彼女とは音楽や映画の趣味が似ている、言葉はあまり通じないけど、
彼女の作り出す雰囲気はリラックスモードで、気兼ねしない。
お互い鬱持ちという嫌な共通点があるからか?
0時を過ぎるころに退散。
カミッラのアパートに戻る途中、たくさんの若者を見た、
帰るところかな?イタリアはこれから酒を飲みに行く時間なんだけど、
街には店じまいしているパブが多い。
女の子はミニスカートでパンツが見えている子もいた、
こんなスタイル、イタリアでしたら差別の対象になる。
遅くまで開いているコンビニの明かりは心強い、
ぎりぎりガールズたちの存在も、街の安全性を物語っていて、
一人で出掛ける心配を拭い去ってくれる。
イタリアに来てから、男か女かわからない服は着れなくなったのに、
身の安全を確保するため、いつでも逃げられるように走れる靴を履き、
携帯電話と家の鍵を握り締めて歩かなければならない、
そういうイタリアがすごく窮屈に感じた。
特に夜道は音楽など聞いて歩けない、後ろから来るバイクや足音に
常に耳を澄ませなければいけない。
これはスリやナイフ強盗に何度もあっている私の経験からだ。
ちょっとカフェインで酔っ払った私は寝る前にふと、思い出したことがあった。
翌日の日曜日はランディと"山小屋"に行くことになっていたことだ。
「明日の予定は?オスロでどこか行きたいところはある?」
との質問に、私はすかさず。
「ガムレビエン!(オスロの中世教会跡公園)」
と、答えたのだが、ランディは私を雪山へ招待したいようだった。
そういえば、前回遊びに来たときも湖とか、小高い丘へハイキングしに行ったっけ・・・。
"山小屋"
カミッラは日本語でそう言ったのだが、
彼女の説明によると、たくさんの人が訪れて、出会いがある・・・らしい。
金髪で合羽着た西洋子泣きじじいがたくさん来るのであろうが、
それを待っているぎりぎりガールズたちがいることも想像できる。
何せこの国じゃあ、セックス事情はイタリアとほぼ正反対、
カミッラのハンティングもこっちじゃ普通だもんな。
約束は午後一時、夜なべ組みのランディのため、決行は午後となり、
助かったが、一体何キロ歩くのかな?
カミッラがクリスマスプレゼントにくれた雪用の靴を準備して眠りにつくが・・・、
こういう日に限って奴の夢遊病が・・・、珍しくすぐ眠りに就いた私の布団を剥がし、
ノルウェー語で罵倒された、"何時間寝れば気が済むんじゃ!"見たいなこといってた。
山小屋・・・どんなところだろ?