ナポリの小枝とノルウェーの切り株

ノルウェー、ヴィーガン、猫とおそ松さん

病院食堂とオバちゃん

 
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♪久方ぶ~り~の~晴れも~よ~う~
と、瀧勝の演歌を歌いたいところですが、
お天気の日に頭の中に流れる音楽はアーランドのPrima Estateです。

曇り時々雨の日が多く、もちろん晴れ間もありましたが、
こんなに雲のない日は久しぶりで、
今までに感じなかった“暑さが恋しい”を体験できました。

こんなお天気の日は何しよう?

って、もちろんオリエンテーリングですが、
チェックポイントを探すなら、
ついでにオバちゃんに会いに行かないかと
カミッラから提案がありました。

オバちゃんって誰?
“Una Signora(ウナ・シニョーラ)”

よく分からないけど、病院へ行こうと連れて行かれた。
誰かのお見舞いだろうな。

お日様がまぶしすぎて、偏光フィルターのない私のカメラでは
真っ白に取れてしまった。
なので、PC上でフェイルターと彩度を変えました。
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この写真を撮ろうとしたところ、
カメラを忘れて出たことに気づき、取りに戻る。
カミッラは時間になってもかかってこない通訳の仕事のことで
派遣会社に問い合わせをしていた。

“直前のキャンセルだったら、報酬のお支払いはします。
こちらからも連絡は取りますが、高い通訳料を払った後で
何のお知らせもないとは、今回の客はヒッピーだったんですね。
という、よくわからないメールを受け取ったとのことだ。

病院は、ホーバルが慰問に行くウルヴァル病院ではなく、
それより少し手前にあるロヴィンセンベルグ病院という
以前もオリエンテーリングでチェックポイントを探し回ったところだった。
ついでに言うと、ステキな老人ホーム、カティンカグルベルの隣。

病院と言っても、日本のようにガードが固くないので、
勝手に入って階段を駆け上がり、迷路のような廊下を通って
食堂へと出ると、そこに“オバちゃん”がいた。

この人のことでした!
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コアなモンクちゃんファンだったら、覚えているかもしれない。
毎年老人ホームの食堂の食堂で会う、
標準ノルウェー語でおしゃべりすぎるイングリッドさんです!
 
オバちゃんも年に数回、顔を合わせるだけだった私を
しっかり覚えていて、懐かしそうに挨拶してくださいました。

90歳になってしまったとは言っていますが、
とっても元気そう。

・・・なのに何故病院に?

理由は暇つぶしでした。
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病院の食堂に一日いて、顔見知りとおしゃべりしながら
市役所に勤めている息子のお迎えを待っているとのことです。

病気でもないのに、医者にかかる上、病院の待合室をサロンに使う
日本のお年寄りみたいなものでしょうか?

でも、食堂を利用するだけなら、医療費(国が全額負担)もかからないし、
病院の職員さんたちを混乱させることもありません。
これができるのは、私たちを含め関係者でない人たちが
自由に出入りできる安心の国だからでしょう。

火災報知器は至る所にありますが、監視社会を嫌う国民性ってステキ。

折角なので私たちもランチを楽しみます。

ここのサラダブッフェもステキで、
レタスやミックス葉っぱ類、トマトやキュウリと言ったものから
豆や麦、キヌアのサラダなんていうナウいものに
フェタチーズ、マグロ、鶏肉といった動物性たんぱく質も置いています。
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料金はグラム売りで、好きなだけ詰め放題したら、
レジに持って行ってお会計します。

私のサラダはこちら。
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キヌアのサラダは左隅に、懐かしかった黒オリーブ多め。
これに、小さな雑穀パンが一つ付いて500円くらい。
調子に乗って、重そうな麦サラダとキヌアサラダを沢山盛ったので
600グラム越えのサラダになりました。

多分、葉っぱ類を多めにしたら、200円くらいで済んだんじゃないかな?

この食堂、安い!

この価格は、公共施設でも中々ありません。
お隣の老人ホームや大学の食堂でも、これの5割は高いと思う。
 

ちなみにワッフルは150円、日替わりランチも300円程度と
オバちゃんが長年通った老人ホームから、
こっちの病院にランチ&暇つぶしをしに移って来たのが
良く分かります。

コーヒーも60円弱で、二杯目以降は20円という価格ですが、
お代わりが安いコーヒーは、お代わりさせたくない味(酸っぱい)なので、
紅茶を頂くことにします。

お水はもちろん無料で、冷たい水と室温の物が選べるのが病院らしい。
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グラスは乳製品で有名なメーカーTine社のもので、
“MELK(牛乳)”と文字が描かれています。
科学実験で使うビーカーを連想させる形だけど、ステキデザイン。
 
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お会計はこちら。
ノルウェーのお昼は早いので、1時頃に行ったら、とっても空いてましたが、
3時頃にコーヒーを買いに行くと、5人くらいの列ができていて
早い夕食の時間帯に当たったらしい。

こういうところの食堂は4時になると閉めてしまうので、
最後のラッシュアワーだったらしいけど、
レジ係りも食事とりわけ係りも、コーヒーや紅茶をカップに注ぐ客も
皆、とってもゆっくり。

お支払い中に、やたらと追加したり、レジの人や後ろの客とおしゃべりしたり、
私たちも例にもれず、待っている間、後ろに並んでいた
血色の良いお兄ちゃんに話しかけられて、自分たちの番に気付かず
レジの人に呼び出されてお会計しました。

このお兄ちゃんと“ラズベリー”の発音のことで
話ながら席に戻ってくると、
病院の人間関係を全て把握しているオバちゃんから
その兄ちゃんが心臓外科医だと言うことを聞かされた。
“あんた、あの人彼氏にしなさい!”
という、全く応じることのできないアドバイスまでもらいました。

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病院の食堂だけど、結構カラフル。

オバちゃんと一緒に食事をする人たちも
家で暇しているか、仕事が終わった後に来るらしく、
個人主義で寂しい人たちを想像させられる福祉国家ノルウェーという
一般的なイメージとは違う、他人と積極的に関わる
オバちゃんのお人柄が素晴らしいです。
逆に、一度集団から離れると
孤立することが多いのは日本の方ではないか?

男女ともに楽しそうでした。

コーヒーはまずかったが(酸っぱいんだよ)・・・。

オバちゃんも90歳という年齢を感じさせない。
確かに歩くのは以前より遅くなったけど、
周りのオッサンたちとの会話もしっかりしている。

それでも息子さんは一人暮らしのオバちゃんを心配して、
毎朝家まで迎えに行って、夕方家まで送り届けるそうです。
その時に自宅の様子を伺っているのかな?
もしかしたら、私の気が付かないところで
できないことが増えたのかもしれない。

病院の廊下。
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90歳でもこれだけ歩けるのは、
若いころにずっとスポーツをやっていたからだと言っていた。
私もカミッラに付いて、オスロやオーレスンを歩き回っているうちに
今まで感じていた喉の痞えがなくなった。

うつの初期症状の一つに喉の痞えがあるそうで、
仕事を始めてからずっと感じていたのに
運動をすることと、自分本来でいることが出来た
ノルウェーとカミッラに感謝している。