ナポリの小枝とノルウェーの切り株

ノルウェー、ヴィーガン、猫とおそ松さん

奇跡を信じますか?

 
タイトルからして、私の頭を心配してくださった
心優しい方がいらっしゃるかもしれません。

日本社会のショックで、加計学園問題や森友問題なんて
気にかける余裕すらなく、自分の国で起きた
大きな政治的問題であるにも関わらず、
思考能力0のアホ日本人を一年近くやっていましたが、
脳みそが大分戻ったので、都議選に白熱しておりました。

以前のアホモンクちゃんにしっかり戻ってきたんです!
これもカミッラという薬と、ノルウェーという訓練場のおかげです。

メンタル系の弱い人はすぐにスピリチュアルに走ると
思われたでしょう?

私の前世は中世後期のシトー派修道士だったんですが、
今回の“奇跡”はオーレスンにある
博物館“奇跡の家”を訪問した記事です。

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オーレスンにある“奇跡の家”英語でミラクル・ハウスと称された博物館。

ただの古い一軒家の佇まいですが、
北欧らしいスタイルの家が好きな私は、
観光案内所でパンフレットをもらったときから、行きたくてたまりませんでした!
入場料は無料だし・・・。

入り口の写真をきちんと撮りたいのに、
一緒に来たユールンに呼ばれて、急いで中に入ると
この家の持ち主らしき、少しイカれたおばさんがいました。

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この博物館ではまず、このオバちゃんに自己紹介が必須
家の持ち主兼ガイドを買って出てくれます。
 
まずはこの家の歴史から、話し始めます。
3階建ての木造住宅で当時は5家族がシェアしていたとのこと、
その内の3人は独身貴族というから、
“家族”という考え方の違いにまずは驚き。

一階では、1904年のオーレスン大火についての説明を
当時の新聞記事を持ち出して見せてくれます。
その新聞もどっかの家で壁紙の裏地に使ってたやつとかで、
糊でテカテカしていて茶けている。

そして、非常に狭くて急な階段を上って二階へ。
ここからオバちゃんのガイドに演技に入ってきます。
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奇跡が起きた部屋。

この部屋にはお年寄りのオッサンが住んでいて、
ある晩、天使の夢を見たそうで、
オーレスン大火が起こることを知らせに来たそうです。

“オーレスンは窃盗や性の乱れがひどく
焼き払う必要がある。
この家だけは無傷で残すつもりなので、
炎を見ても、外へは出るな。”

という預言をしたので、家の住人共々、
被害を逃れたそうです。
だから“奇跡の家”なんでしょう!

その当時の街の写真を見ると、
街は全焼したのに、この家と、今もある刑務所だけが焼け残ってます。
刑務所では、受刑者たちが脱獄したそうですが、
街がなくなってしまったので、仕方なく戻って行ったそうです。

お年寄りが住んでいたというのが、
妙に納得の人形が一杯の箪笥の上とか、
夜に用を足すための簡易トイレ(洗面器と腰を支える木枠)があり、
毎日祈りを捧げながら、
修道士みたいな生活をしていたんだろうなと言う印象。


続いて、かわいいピンクのお部屋。
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キャーかわいい!
何て乙女な部屋って思っていたら、
カミッラから注釈が入る。
ここは60歳を過ぎた独身貴族のオバちゃんの部屋だったそうだ。

ガイドはノルウェー語なので、ユールンがイタリア語に訳してくれていた。
ユールンの翻訳は的確だけど、おしゃべりなオバちゃんの遠回りな話を
所々カットするのに対し、カミッラは注釈をやたらと入れたくなるらしく
ユールンのわからないナポリ語でたまに突っ込みを入れてて
二人だけ笑いを我慢していた。

実際、このオバちゃんガイドは演劇でもやってるんですか?
というくらい、大げさに話すので、
言葉が通じなくとも面白い物好きには、結構キツイ。

ユールンは仕事の打ち合わせがあり、時間がないので、
ガイドさんの話を打ち切って、一階のカフェでコーヒーを頂きます。

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カフェスペース。

グレーの内装って、ピンクやミントグリーンと合わせると
柔らかい雰囲気が出るらしいことがよくわかるインテリア。

昼飯食べてるときから時間がないと
焦っていたユールンが、なぜついてきたのかはわからないが、
お昼のタイカレーをご馳走してくれたので
ここぞとばかりに私がコーヒー代を払いました。

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ここのカフェはオーレスンにしては安めの値段設定なので
三人分でも1000円しなかった。
・・・セーフ!(&セーブ)
 
まだ話足りないガイドのオバちゃんに
私たちを任せてユールンは仕事へと出て行く。
そして、コーヒーを飲んでいる間もオバちゃんの
オーレスン大火の話は続き、
その間にアメリカ人らしき観光客が一人、
家に入ってきて、そのまま階段を駆け上がっていくが、
オバちゃんは気にも留めずに、
古い写真をいろいろ出してきては説明する。

“お嬢さん、お写真はお好きなだけ撮っていいのよ。”

と言って、焼け残ったガラスの器を出してきた。
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北方アールヌーボー、ユーゲンスタイルの装飾。
別に写真は撮りたくなかったが、
奨められて撮ってしまった。

ついでに、ケーキが手作りなので、
是非味わってほしいと言われたが、
甘いものに興味がない私は、断ってしまった。
カミッラもタイ料理店で、
私のカレーに入っていた大量の肉を食べているので、
それ以上食べられなかったのか、ここではワッフルでお茶を濁す

その後、さっき入っていったアメリカ人が、
家を出ようとしているところへ駆け寄り、
ガイドを始めていたので、私たちはトイレを借りて退散することに。

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カフェカウンター。
照明はメイソンジャーみたいなガラス瓶で、優しい灯りがステキです。
このスペースには毛糸製品やら絵葉書など
お土産物も売っていて、
ケーキを食べない代わりに、カミッラは絵葉書を買っていた。

先にトイレに行っていたカミッラが戻ってくると
トイレに最高にステキなものがあるから、
絶対行った方がいいというので、見物に行くと。


キリスト様がノックする絵が飾られていました。
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“次の人がつかえてます、早く出て!”
って意味だろうか?

私たちが“奇跡の家”を後にする頃、
ガイドを非常に短く終えたオバちゃんが
玄関で見送ってくれました。

そして、その日の夕食は、
カミッラがタイ料理店で残したカレーがあるので、
それぞれ用意ということになったけど、
デザートに最高にステキなものを振舞ってくれた。
 
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ユールン・スペシャル。
パイナップルにヨーグルトとクルミとデーツシロップをかけたやつ。

ヴィーガンな私は今回、随分と動物性食品を口にしたと思う。
ヨーグルトなしで!って頼めたらいいんだけど、
その場の雰囲気を壊したくなかったし、
カミッラも一人で行った教会で、孤独を味わったせいか
少し落ち込み気味だったので、余計な注文を付けて
ストレスを与えたくなかったんだよ~。

その気遣いも虚しく、
カミッラの食べたいものが、
食べられないストレスは限界に達し、
その晩の夢遊病は今までのものと違う、
とってもホラーな症状だった。