ナポリの小枝とノルウェーの切り株

ノルウェー、ヴィーガン、猫とおそ松さん

La mia prima estate

 
アーランドの新曲出ました!
 
イタロポップなので、イタリア語の歌詞に懐かしいイタリア歌謡曲のメロディーが
かわいい仕上がりですが、フルートがちょっとうるさいかな?
リズムが Whitest boy alive で、イタロポップが苦手でもとっつきやすく
ノルウェー語や英語にはない、くどいニュアンスもアーランドが歌うと
とっても爽やかでイタリア語で言うところのセッコな感覚です。
 
親切な誰かがユーチューブにアップしてくれたので、
初めて一曲まるまる聞いたんですが・・・
 
大学卒業する女の子の歌でございます。
 
イタリアの大学は本気で頑張らないと卒業できません、
卒業試験は卒論の内容を教授たちが討論しながら10分くらいで終わるので
パスできないことはありませんが、ひどい教授に当たると
意地悪な質問で、家族や友達の前で恥をかかせられたりします。
 
ゲルマン圏の大学にはないものだと思います。
ドイツの大学は担当教授から一時間くらい質問攻めにあって
静かに合格をもらうようですが、イタリアだと公開試験ということで
終わったあとは、紙ふぶきや花束をもった家族や友達がお待ちかねで
お祝いしてくれます。
 
どうやら、アーランド君去年からイタリア潜伏しているらしいことが分かりました。
やたらとシークレットライブがあると思ったら、そういうことだったようです・・・。
どれくらいイタリア語が話せるのかしら?って思うわけですが、
今回のこの曲、イタリア語の表現がちょっと変わっています。
多分、ネイティブチェックはしてもらったと思いますが、
うーん・・・
この曲から言語心理学の視点を使って、ノルウェー語表現が学べそうです。
フェステッジャーレ(お祝いする)が、
フェティッチャーレ(ナポリ語で悪臭を放つで、イタリア語でフェチしよう)にきこえます。
 
大学を卒業しても、変わったとことは学友がいなくなることくらいで、
劇的に人生が変わるわけでもないという、
南イタリアの学生の努力が報われない具合と、だったら
せめてパーティしようか?という、イタリアの若者の描写が鋭くて
そういう文化に身を置いている私には涙の一曲でした。
 
 
ちょっとイタリアの大学の話を・・・
長いから、真面目に読まないように。
 
私のラ・プリマ・エスターテは来年かな?
 
テストはあと4つになりました!
 
全部で48もあった試験、私と同じ年に大学を始めた人たちは
大学改革の実験材料になっているので、試験の範囲が広い上に
一つの試験でもらえる単位が少なく、卒業していない人の方が多いです。
恥ずかしながら、私が大学を始めたのは2005年です。
皆さん多分私の年齢をご存知ないと思いますが、昨日で35歳になりました。
大学にいるというと、勝手に20代だと思われがちですが、
イタリアの大学にいるということは、大人になれないことなんです。
 
授業はほとんどがテキストを読み上げるだけだったり、
教授の世間話がほとんど、それでも死にもの狂いで教授というポストを勝ち取った人たちはプライドが高いので、私たちがまともな授業をプロテストしたりでもしたら、
大学から除籍される恐れまである、ファシズム的な機関です。
 
まともな授業をしないくせに、テスト用に読ませる本というのが
恐ろしい量で、たったの4単位のために70年代の古い本4冊に
教授の作った学会資料を外国語(フランス語、ドイツ語)で10冊子も読むことになります。
 
こんなの読んでもテストはほとんどが口答試験で、本にはないような出題も多く、
即答できなければ、目の前で大きなため息をつかれたり、罵倒を浴びたり、
きちんと答えていてもアシスタントとおしゃべりしていたり、
携帯電話でメッセージ書いていたりと、人間として疑うようなことをする教授がいたりして、
それに対して意見した私はコースから追放されたり、
テストで名前をよばれなかったこともあったくらいです。
 
そういう学生はチェ・ゲバラのTシャツを着て、学生運動を動かすグループに入り、
大学改善をマニフェストする側にまわるんですが、
私はアナーキーなので、どの団体にも属することをしません。
 
高得点を獲得したかったら、
教授と知り合いになったり、出たくもナイセミナーに出席したりして
人間関係を築く必要があります。
受験する際に教授の昼ご飯時間を調べて、昼食前は絶対に避けます。
空腹でイライラしているので、すぐにテストを不合格にして、食事に向かう傾向があるからです。
その時間に当たってしまったら、いなかったことにする、つまり返事をしないで
トイレに行っていたフリをする必要すらあります(私はたった一人の東洋人なのでできない)。
 
中には外国人に甘い教授もいますから、わざと発音を間違えて
イタリア語に慣れていないフリで点数を甘めにつけてもらったり、
カミッラに至っては、教授の前で派手に泣いたり、教授に都合のよくない裏情報を
匂わせて、合格点ギリギリをもらうという方法で7年かかって卒業しました。
 
テストの点数は30点満点で、18点が合格ライン。
 
私の18点はラテン語文学、キリスト教史、中世美術史、古代ギリシャ学。
 
本当は大得意な中世美術史が最低点というのは、
筆記試験後に口答試験があり、その日に別の試験を予約していたので、
筆記でとれるだけの点数を取った結果です、
つまり満点だけど、結果的には最低点。
 
古代ギリシャ学とキリスト教史の教授には授業追放され、
ラテン語文学の教授には学生手帳をぐちゃぐちゃにまでされてます。
 
逆に満点は中世考古学、中世史、文化人類学・・・もう一つぐらいあったかな?
 
好きな分野だったので、イラスト資料作ったおかげで、
勉強がはかどりました。
文化人類学は、現在の日本の政治に文句つけるだけで満点取れます。
 
テスト前の2日は緊張で眠れず、終わった後は丸2日眠り続けたり、
絶望して声が出なくなったり、テスト中に涙がこぼれてきたりと
イタリア人学生スタンダードはとりあえず体験しています。
 
大げさ?
 
多分、私のジェストは大げさでしょう、それだけ大学生活に命を注いでいるんです!
 
そんな涙のながーい道のりを経て、大学を卒業しても
道が開けることは難しいというイタリアのシステム、
イタリア語以外を知っていたら、筆記試験のない大学を知っていたら、
多分、私はほかの国で勉強していたろうなと、ずーっと後悔しているわけです。
 
 
アーランドがイタリア語を話すようになったら、うれしいな。
しかし、やっぱり母音とGの発音が弱いのは、ゲルマンぐせか?
ヨハンネスは少しイタリア語を勉強し始めたみたいです!
そのうち二人とイタリア語で話せるようになるといいな。
 
Sono patetica, sono patetica, sono assoltamente patetica.....