前回は近所のヴィエトリ陶器について書いたので、
今回はイタリア中部、ウンブリア州の陶器のお話。
中世には大好きなロンゴバルド族が仕切っていたが、そのうち教皇領として、
伝統的にもローマ及びイタリア色が強い地域である。
教皇に土地をプレゼントしたので、ゲルマン風なモチーフと
古代ローマが同居しているような街。
現在におけるウンブリア州は外国人に対するイタリア語教育と
中田君が所属していとこもあるサッカーチームで有名な
ペルージアが県庁所在地。
陶器の街デルータ(DERUTA)
なんでも無理やり陶器で町興しな
この街は、ペルージアからバスで20分、内陸部の街のお約束、
街の中心部に出るには
バス停から細い坂道を登って10分ほど、
他人の家庭事情を覗きながら着いた先には数十メートルの広場兼メインストリート。
窓の飾りも陶器。
広場の銀行もバールも肉屋も
看板は全て陶器でできているが、
観光客など来るのだろうか?
さらにはメインストリートの裏側は
駐車場があり、ちょっとした展望台。
ウンブリア平野が見渡せてよい景色、
きっとフランチェスコもこんな景色を見ていたのだろうな・・。
フランチェスコって不良仲間のように気軽に書いてるけど、
"犬注意モザイク"をもじって猫注意の看板。
キリストの十字架は磔という恐ろしいシーンにビジュアル自体が怖いが、マリア様のひじ付近に見える天使の顔は心霊写真的に怖い
陶器の板に描かれたイコン画。
有名な絵画作品の一部をコピーしてるんだけど、いくつ分かるかな?
私はジョットのフランチェスコとフィリッポ・リッピの聖処女、
ラファエッロの聖家族と・・・
作品は知っていても作家の名前が出てこないものがいくつか・・。
こちらは食器兼飾りの素敵なお皿。
ヴィエトリ陶器に比べて
細かい模様に手の込んだ丁寧な
彩色、ここまでシンメトリーな模様が手描きなら、人間の器用さには
底知れない素質があるんだろうな。
ヴィエトリは筆の線をわざと残したり、へたうまな果物や魚をモチーフにしているので、
もし、骸骨画家(お墓のレポート)の
私が明日にでも見習いという名の
ただ働きをしたいといっても
すぐに採用されるであろう。
青と黄色が基調な色の使い方がイケア
スウェーデン観光客を狙ったものか?
デルータでは大人気の職業表札。
左はお医者さんで右は獣医さん。
こちら二枚ともいい年の大人の職人さんが描いています。
この平面的な表現や職業に対する先入観、
これを芸術と呼ばず、どう呼ぼうか?
猫の"やれやれ"が聞こえてくる。
お医者さんはしょっちゅう
半裸の女性と接しているということか・・・。
街の博物館にあったそろばん、玉は勿論陶器製。
この街は本の数十メートルしかないのにとても立派な陶器博物館があり、
3ユーロという安い入場料の割りには
素敵な建築物(旧修道院)と
冷房が効いた明るい展示室、
ビジュアル的に楽しめる陶器が
ずらりと並んでる。
薬局で使っていたらしき、ハーブ保存瓶や貴族から寄付されたアンティーク
陶器でできた大人のおもちゃもあり、
説明パネルがなくとも、イタリア語がわからなくとも、楽しめるが迷子注意。