ナポリの小枝とノルウェーの切り株

ノルウェー、ヴィーガン、猫とおそ松さん

オタクな夜

夏は30度越え、しかも35度を超える気温の中、自転車で駆け回っていたせいか
蒸発した脳みそが戻ってきません。
今思い出せることは、黒人ジャズシンガー風だったヨシオ祖父さんの墓参りと
昨年亡くなった勤勉で寡黙なサイお祖母ちゃんの二年目のお盆、
弟とピザを取りにピザハットに行ったことくらいです。

意外とリア充です。

だから、安保法案やマイナンバー制度のことなんてききたくな~い!

な~んて・・・しっかりデモにも参加してきましたよ!

ただ、この喪失感ったら何?!

軽いうつ状態に陥ってしまった私ですが、
久しぶりに漫画を読みました。

日本にいるなら、外国で読めない漫画を読むべき!

というわけで、最近びっくりするほど面白かった漫画レビューします。
 
 
デッド デッド デーモンズ デデデデ デストラクション
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東京上空に突如現れた巨大な円盤“侵略者”と大地震
今にも戦闘状態になるかもしれないという不安を抱えながらも
日常生活を送る高校生を主人公にした作品・・・と書くと、
変なSF漫画っぽいけど、この漫画、
地震津波原発事故の起こった3,11後の東京を描写しているようにしか見えない。
と言っても、描写はとにかくポップで皮肉っぽい。

汚染された東京を脱出しようとする主人公の母親、
受験を控え、友達がいる地元を離れたくない娘、
ゲーム脳ではっちゃけてる親友の母親は市議選に向けて
避難所を回っては慈善活動という名の偽善っぷり、
スローガンは“ママパワーで東京に光を”
グループの友達も貧困家庭、腐女子
リア充のため恋愛に打ち込む女子高生と言った
現代に蔓延る問題やムーブメントを背景にした人たちばかり。
ネット依存症やネット荒らしも登場します。

かわいい女の子が好きな男の子の言動に一喜一憂する
危ない少女漫画と違って、リアリティがありすぎる登場人物と
現在日本が置かれている状況をここまで第三者的に書ききった作者に
鳥肌が立つほどの才能を感じました。

何度も読み返して、どんどんハマって行ってしまう漫画です。
 
ただね・・・装丁にこだわりすぎて
一冊の単価が普通の単行本の二倍近くするのがいただけない。


で、もう一作品。
 
 
シックスハーフ
 
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いい年こいてこんな正統派な少女漫画にはまるなんて・・・
ちょっと前にヤフーの無料書籍コーナーで読んで
続きが気になって買ってしまいました。
事故で記憶を失った高校生の詩織が
最低の人間だったという過去を知っていくうちに
最低人間だったことを消化しながら新たに自分の人生を構築していく話。

こっちは詩織自体が、オシャレして、彼氏がいて、勉強はそこそこだけど
ノリのいいお友だちがいて、ファーストフードやカラオケを楽しめる
日本の高校では数パーセント程度のキラキラ女子です。

記憶喪失で自分のことだけでなく、家族の記憶までありません。
兄と名乗る明雄と自分を嫌っている妹のマホ、
一緒に住んでいるうちに少しずつ、愛着が生まれ、
居心地の良さを感じる一方、
どんな状況においても自分を受け止めてくれた兄の明雄に対して
恋心が生まれてしまいます。
兄とはいっても、記憶喪失の詩織にとってはたった2か月前に出会った人です。

現在8巻まで読んでみたけど、話が進むにつれ、面白くなくなる。

見どころは、最初は優しすぎて完璧すぎる明雄がキモくてたまらなかったんですが、
長年の恋が実った途端、どんどん変態風味が増していき
更にキモくなっていくところです。

過去がない孤独の中で、自分の人生を進んでいく詩織が
さわやかで私にはまぶしすぎます。
 
 
 
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イタリアにいるとき、漫画は最高のテキストでしたが、
読みたい漫画には出会えませんでした。

漫画は普通の本屋ではなく、漫画専門店に行かないと種類がありません。
私は自分の文化である漫画が大量に置かれた場所に行くのが
こっ恥ずかしくて一人で入ることもできなかったので
日本のBL現象をテーマに卒論を描いたナポリっ子に話を聞くと
イタリアには少女漫画がほとんど入ってこないとか。
 
ベルサイユのばら”や“ガラスの仮面”などの古い少女漫画は
カミッラも愛読してましたが、
最近のものでは“のだめカンタービレ”や“ぼくの地球を守って”くらい。

逆にドラゴンボールバガボンドデスノートなどの少年漫画や性暴力漫画などは
結構な人気のように感じました。
そういえば、大学の授業で隣に座った美人で金髪の女の子とその友達、
ドラゴンボールのファイルやカンペン持ってたっけ。

フランス革命前の落ちぶれ貴族の少女が主人公の漫画“アンジェリーク”なんて
ナポリの感覚とぴったりマッチしていると思うのに
これを発掘したいって人はいないのかしら?

ノルウェーにも漫画屋さんあります。
駅の構内の立派で明るい漫画屋でしたが、欲しい漫画は見当たらず・・・
カミッラの近所の漫画専門古本屋では
アメリカンコミックのバッドマンとかディアボリックとか
フランスのお茶目なガリア人漫画“アステリックスとオーべリックス”が
ほとんどだった。

こっちの店はもっとコアなので、怖くて入れなかったし、
営業時間も短かったので、朝の苦手な私が勇気を出してドアを叩いても
いつも閉店後だった。

折角日本に親近感を持ってくれる金髪メガネ男子にあっても
好きな漫画を共有することもできない・・・。
それは多分、私がオタクすぎるから。

今、一番興奮している浅野いにおの漫画は絶対海外で受けないだろうなと
ちょっぴり悲観してます。