ナポリの小枝とノルウェーの切り株

ノルウェー、ヴィーガン、猫とおそ松さん

イタリア化する日本 書かけ注意

タイトル見てステキと心をときめかせたイタリア好きの方は

多分、この記事を読まない方がいいかもしれません。
いや、読んでイタリアの抱える問題を日本が同じように背負う嵌めになりかねないと
ちょっぴり危機感を持っていただきたいかもしれないです。

今日の記事はどっかの硬派なおやじ雑誌の見出しとして
小さく取り上げられていた問題と最近見た国営放送の崩壊する介護
というテーマを扱った番組が
リンクして、書きたくなった記事です。

写真ないと寂しいので、18世紀のブルボン王朝支配時代の文化遺産である
ナポリヴェネツィア館のすたれた栄華の画像と一緒にどうぞ!
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イタリアは農業も工業も盛んですが、
日本のように一握りの幹部がお金儲けのため、
10年以上前から、東ヨーロッパや北アフリカなどの
人件費の安い人たちを搾取して来ました。

その結果、雇用も減り、
若者には仕事がないことが当たり前な世の中になっています。

それは、外国人が増えたせいで仕事がなくなったのではなく、
仕事に対しての報酬が見合わないという問題が大きいようです。

もちろん、北部と南部の地域差もありますが、
私が10年以上暮らしたナポリ及び南イタリアにおいては
現在の日本でいうニートに近い生活をする若者があまりにも多く、
20歳代で仕事を持っている人が非常に限られた人たちだけという
ショックな現実を見てきました。
 
 
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上手に説明できそうにないので、ジェンニの例を書き出してみようと思います。

ジェンニは2000年当時23歳の若者でした。
高校は観光関係に強い専門学校を卒業してすぐに10か月の兵役を終え
両親と同居しながら、飲食店で仕事を始めます。

仕事は午後3時から10時まで、1日3000円くらいで
父親の20年以上は乗っていたと思われるボロボロのプジョーで通勤しますが、
駐車場代が払えずに1週間もたたずにやめてしまいました。

その後、ピザ屋やバールでも働きます。
どこに行っても正社員になれず、
結局恐ろしいところへと働きに行くことになりました。

NATO基地です。

話をでっち上げて、人殺しを行う人たちに服従する軍人の生活している場所なので
私にとっては恐ろしいですが、仕事の条件は良かったようです。

ナポリ郊外にあるNATO基地は主にアメリカ軍の基地なんですが、
教会に通っていたアメリカ軍人のコネですぐに採用になり、
基地の中にあるスーパーの書籍コーナーで月給は10万円ほど、
勤務時間も休憩を入れて8時間の上、週に2回もお休みをもらえます。

ある程度のお金が溜まったら
アメリカに行ってラッパーになるとか言っていましたが、
実家で暮らしてこのお給料なら、ナポリに留まりたいと
その後、英語を勉強して、どっかの真面目な会社に就職したとか噂で聞きました。

現在シリア難民の問題が上がっていますが、
ジェンニも同じように生活の質の向上を求めて、
ミラノなどの工業都市に移住する夢なども
語っていたことをふと思い出しました。
金髪メガネ男子が好きだから北欧に行きたいと言っている私とは違います。
 
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収入がないか、少ないために、実家で暮らす人は少なくありません。
現在の親世代に当たる人たちは70年代のイタリアバブル期に
ある程度のお金を稼いだ世代に当たるので
家と自分たちが生きていけるくらいの年金はあります。

イタリアは日本より福祉がしっかりしている部分もあるので
(基本、医療費は無料で大学は日本の10分の1程度で
家族の収入に応じて無料にもなる)
子供を家に置くことができます。

30代で大学にまだ通っている人なんて珍しくもなく、
中には、大学に籍を置きつつも飲食店で日給3000円くらいを稼ぐ人もいますが、
そんなお給料では結婚は難しい現実があり、
少子化がとっても深刻な問題になっています。

私の大学友達は現在30歳を既に越してますが、
大学にコネがあった友人が助教をしているか、
就職難のためやむを得ずに軍隊に入ったか、
もしくは正社員扱いの飲食店での長時間で安いお給料で働いているかです。
あとは、イギリスやアイルランドなどで派遣社員をしているくらい。

そして、パートナーとの付き合いが5年以上なのに、未だに結婚はしていません。
 
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就職できない子供を家族が支えるという現実は
日本にもジワジワと迫っているようです。

介護が必要になった両親をどうやって支えるか、
現在の日本では、世帯を分けることで国からの援助を受けられますが
それもその内破綻することが想像できます。

イタリアでは介護は在宅が基本なので、イタリア語もほとんど話せない外国人を
安く雇って、住み込み介護をさせたりします。

もし、きちんとした介護士を雇うことになると、かなりの出費になるのだと聞きました。

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問題は沢山あります。

ただ、イタリア人は自分たちの主張を政府に突き付けるだけの権利があることを
よくご存知なので、デモやビラを配ったり大学の授業をボイコットしたりすることで不満を表現する方法を知っています。
政治の話も普通にします。
 
東日本大震災をきっかけに私も政治に口出しするようになりましたが、その声を届けるのは難しくて、余りにも関心が低いのか話題にした途端、孤立して行くのを感じます。
年齢が高い人には若い人の意見が雑音に聞こえると言う現象を何度も見て、国が滅びて行くのをただ見ているだけで何もできない無力な自分にうんざりしていました。
できることは自分と意見の近い政治家に一票を投じることくらいでしょうか?