ナポリの小枝とノルウェーの切り株

ノルウェー、ヴィーガン、猫とおそ松さん

そうしたら、こうなる。



失われた表現の自由を描いた映画と漫画を紹介します。


その前にこっち。

Duran Duran-Ordinary world
そうなることを期待して
  


林檎の木

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1992年公開の共産主義時代の東ドイツを舞台にした作品。

優しいお祖母ちゃんと林檎の木の思い出を持つレーナは
罠とは知らずに西側への逃亡を共産党員である近所の男にそそのかされ、
彼女をおとりに、共産党員であるはずの男は一人で脱出に成功した。

新婚で幸せだったレーナの夫はパーティで共産主義に対する批判から
既に公安に連れ去られ、彼女の同じく懲役を強いられる。

時間が経ち、自由の身になったレーナだが、
心が自由になることはなく、無表情のままベルリンの壁崩壊に至る。

その間も、妻の裏切りにも支え続けた夫ヘインツとの間に
少しずつ、人間らしさを取り戻り、リンゴ農園を買い取り再出発をすることを決意する。


この映画を見たのは高校生のころだったろうか?
亡命するために気持ち悪い共産党員の愛人になり、
嫉妬から政治に対する不満が爆発したヘインツの発言が印象的だった。

“パーティでバカ騒ぎして共産主義を称賛する・・・
この政治がどれだけバカげているか皆知っているはずだ!

この発言からヘインツは公安に連れ去られ、洗脳室で反省をさせられます。

命がけで二回も西側へと逃亡を試みるレーナ、
捕まったときも、成功した時も、西側に先に逃亡していた元愛人の家を訪ねて
追い返されたときも、顔には表情がありませんでした。

私のアパートシェアをしている人たちは旧ソ連の人たちです。

彼女たちも酒とたばこ、たまに奇声を上げて、
イタリア生活の問題については全く話題にしません。
イタリアに密入国した人たちもよく来ます。
顔には表情もなく、挨拶もしません。

そんな政治下で暮らしたいですか?


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以前にもレビューを書きましたが、
こちらの話も旧東ドイツ時代の悲劇を描いた作品です。

秘密警察の諜報員であるビースラーは、ある劇作家の身辺調査を開始する。
毎日、彼と周りを取り巻く人たちの会話を盗聴しているうちに
人間らしい心を取り戻し、彼らの東側の生活を記事にして西側へと送るという計画を知ってしまうが、
それを必死で隠し、自分自身も今まで築いてきたキャリアを台無しにしてしまう。

ベルリンの壁崩壊後、劇作家は自分がスパイされていないことを不思議に思い、
共産圏時代の記録を探ると、仲間たちと危険な計画を話し合っていた
自宅に盗聴器が隠されていたことを知る。


これ、割と最近の作品なので、DVDでいくらでも見れます。
演劇という表現をいかに共産党員に目を付けられないか、
政治批判を口にできない人たちが、国外へと助けを求める方法として
記事を書いて西側の本に寄稿するという行為は命がけで、
仲間内でその打ち合わせをするのも、公園などで小声で行われる。

女優として舞台に立つために、パートナーである劇作家の活動を邪魔しないために
共産党員にセクハラをされる上、抗精神剤を飲まないとやっていけないのに
国で禁止されてしまったため、闇で入手していることが
政府に知られ、自分のパートナーをスパイすることを命じられる。

あなたの大切な人を監視したり、投獄するお手伝いをしたいですか?

諜報員たちがアパートに盗聴器を仕掛けている現場を
たまたま見てしまった隣人にビースラーが一言。

“あなたの娘は現在通っている医学部に通えなくなりますよ。”

盗聴器を仕掛けているほうが間違っているとわかっていても、
政府が正しい。そんな世界に生きたいですか?



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第二次世界大戦中、ナチス下のフランスでの出来事

カトリック系寄宿舎学校に通う主人公、謎めいた転校生が夜にろうそくに火を灯し
ヘブライ語でお祈りをしているのを見てしまう。
彼は豚肉には口を付けない、好奇心で質問するが、彼は答えない。

ある日、ドイツ軍が学校に検察に入り、
ユダヤ人をごっそりと連れ去る、もちろん事情を知ってかくまったていた神父さんも。


ドイツ軍を見て、震える転校生。
突然生徒を校庭に呼び、リストを読み上げるドイツ兵。
さらに、上を見れば、逃げ惑う教師たち。

これは監督が実際にあったことを映画にしたのだそうです。

宗教の違いから、非人間的な環境に連れていかれていいですか?



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第二次世界大戦中の日本とドイツを舞台にした手塚治虫作品。

ベルリンオリンピック取材に来ていた峠勲、
ベルリン大学に留学中だった弟の不可解な死を捜査しているうちに
秘密警察から狙われることになる。

丁度そのころ、神戸でパン屋を営むユダヤ系ドイツ人の家族、
アドルフ・カミルは日本人として日本軍にあこがれていた
同じくドイツ人外交官の父を持つアドルフ・カウフマン、
二人はドイツ系ということで楽しい幼少時代を送っていたが、
時間が経ち、エリートになるべく、カウフマンはドイツのヒットラーユーゲントで
軍人として教育を受け、ユダヤ人狩りを行うこととなる。
一方カミルは共産主義の恩師の元で、スパイ行為を行うようになる。


戦争によって、人生を狂わされた人たちの話です。
本田少佐の息子は軍事機密を漏らし、
恥に思った父から銃殺され、カウフマンは仲良しだったカミルの父を処刑し、
日本人を洗脳から覚まそうと頑張った人たちは拷問を受ける。

戦争は人を狂わす。

誰が喜んで自分の息子を戦地に赴かせ、殺されたいですか?


秘密保全法の怖さがまだわからない人、
日本政府にとって憲法9条は、現在邪魔なんです!
私たちの言語統制をしたいから、この法律が必要なんです!

実は勝手にすり替えられた部分もあります。

法律用語は難しいけど、拷問によって自白を要求するようなことまで記載された記事も読みました。

一部の金持ちの利益のため、私たちを捨て駒にしようとする政府、
それには言語統制は大切なプロセスです。

東京オリンピックに反対する理由の一つは
アドルフに告ぐ”で峠勲が発した一言にあります。

国民感情をスポーツ大会で煽り、国民にとって嬉しくない戦争を正当化するためなんてバカバカしい。
みんな気付いてないのさ。”


私は逮捕されるまで続けます。