珍しく真面目に美術のお話です。
皆さんは好きな画家はいますか?
マラーの死というタイトルの絵
直感で好き~というのが、こちらの作品なんですが、
解説がなければ、遺書を書きながら風呂場で意識が遠のくという
ナルシズム溢れる"死ぬ行く美"な絵画ですが、
フランス革命と関係のある暗殺された著名人のようです。
とても有名な作品ですが、何も知らなければフィヨルドを描こうとして
めんどくさくなったから、適当に色をのせときましたという感じですが、
これは、人生に対する倦怠感の爆発表現なんだとか!
"友人と散歩中、傾きかけた太陽に映し出されるフィヨルドの青い影が
重なり、どうしようもない不安にかられた。"
この作品を描くきっかけが、お友だちとのフィヨルド散歩という作家自身の解説、
あまりの説得力に私はムンクに興味を持ってしまいました!
ふとした瞬間、日常のなんてことのない風景に、まるでスイッチが入るように
不安に駆られ、その不安から逃げられない恐怖感が素晴らしく表現され、
何となく安心感を覚えました。
何年か越しで、やっと実物を見ることができたのですが、
人生のダンス
オスロの夜は10時以降なんですが、男性の顔色が緑系、女性はバラ色、
3人の3つの世代の女性が前面に描かれていますが、
左の白い女性は、"これから人生"の証拠に花を摘もうとしている様子、
真ん中の赤い女性は、マックス人生の最中、
左は黒い衣装のすっかり女ざかりの終わった女性だそうです。
沈み行く太陽は男性器を象徴していると、
美術館のスペイン語ガイドが言っていました。
ムンクも男女の不思議に悩んでいた様子。
思春期
幸せな子供時代から、これから始まる恐ろしい人生の入り口を表現しているそうです。
暗い影と硬い表情の女の子、作品としてはショックなくらい完成度が高いですが、
モデルの女の子がかわいそうです。
よ~く見ると、影やベッドの下には、油がにじんでいて
途中でイライラしたのか、絵の具と油の対比が均等にできなかった様子。
それかぶちまけたのか・・・。
このポストカードがカミッラ宅にあったので、聖おにいさんのヨハンネスが来る前に隠しました。
その日の後
飲んだくれた女性の絵です。
近くで見ると、あごから額にかけての遠近法が素晴らしく、
肌色のトーンが多彩で、引き込まれます!
その割には左側のテーブルが雑すぎて、コップの淵にテーブルの輪郭がかかっていて
画家が何に重点を置いて作品を仕上げたかったかが分かります。
病気の子供
・・・失望感と子供の人生を知り尽くしたような表情が印象的。
これ、引っかき傷が沢山ついています。
ムンクの家庭では、沢山の人たちが病気でなくなっているため、
やりきれない気持ちが現れたのでしょう。
ちょっとフランシス・ベーコンの椅子に座る男のような
縦にフィドアウェイしていくような動きを感じます。
吸血鬼
赤毛の女性に騙されたんでしょうね。
タイトルは不明ですが、全盛期になるにつれて
人物像が曲線だけで表されたり、筆のタッチだけで描かれる背景と違い、
初期の作品には、このような印象派っぽいものもございます。
青い背景のトーンとベージュの影がきれいな、おうちにも飾れる作品です。
離別
わ、わかりやすい・・・。
落ち込み男が心臓を押さえ、その下には血に見立てた花が!
女性の髪の毛が男性方向に流れていますが、
気持ちを引きずり、それがスカートの裾に見える波のように押し寄せている。
し、失恋は身を切る思いということです。
さざ波
水面の表現、うつろな色彩、初めての油絵入門といった感じですが、
これは、フランス時代に描かれた印象派系の一枚らしいです。
表現技術以外は、一見、何がすごいのかよく分かりませんが、
この作家の作品ほど、目の前で見てその怨念に近い狂気を
感じられるものはありません!
以前から"分かりやすさ"でムンクファンでしたが、
実物を見たあとは、心の落書きをキャンバスにぶつけたような
うつうつワールドに、引き込まれてしまいました!
このヒットはロンドンのナショナルギャラリーで見た
宗教画以来です!
しかもいろいろなタッチで描かれた器用さ、
現代美術時代の天久聖一といったような
幅の広い筆遣いにお好きな一枚が見つかることでしょう。
叫びのまわりに人が集りすぎです!
たま~に、美術館リクエストされて連れて行くと、
有名作品しか見ない人がいますが、
他人の価値観に惑わされてどうする!
絵画に赴き深い皆さんは、マイ・フェイバリットムンクを探してみて下さい。