ナポリの小枝とノルウェーの切り株

ノルウェー、ヴィーガン、猫とおそ松さん

7世紀のヨーロッパ 中世ラテン語文学

7世紀のヨーロッパはゲルマン民族による境界線の誕生と陣地争い。
政治的にはフランク族、メロビング朝がフランスを治め、
西ゴート族、スワビア族はイベリア半島
イタリアはロンゴバルド族とビザンチン帝国によって支配されていた。
未だに落ち着かないゲルマン民族による新しいヨーロッパ。

宗教的にはカトリックの勢力が広がっていく。
すでにカトリック洗礼を受けていたのはフランスを支配していたフランク族(クロヴィス1世の洗礼496)とロンゴバルド族によるロタリ法(カトリック洗礼の義務付け)だけであったのだが、
7世紀半ばには西ゴート人が改教する。

社会情勢は退行を辿る。
ローマ時代に発達していた街道は破壊され、海路はアラブ人に占領されるなど、
街と街をつなぐ連絡線が消失、そのため、貿易は不可能となり、近隣で物々交換が行われることがほとんどとなった。
市のようなものが立つこともあったが、ここでも物々交換である、つまり通貨を通しての売買は行われていなかったのだ。
また、相次ぐ戦争により農地を荒らされ、収穫が難しくなり、
市場に出るほど、作物ガ余ることは無かった。
都市とはなれたところに建てられていたローマ人の別荘は農園として、
奴隷と監督役が働き、主人は都会に建てられた館に住んでいたのだが、
この都市部の混乱を避けて別荘へと移り住んできた。
そして、この主人と奴隷のシステムも荘園制度に転換する。
農奴が働き、領主に収穫または労働で払い、
領主は荘園の管理や支出を出資するというシステムだ。
農園で作られたものは農園内で消費されたため、"売る"ということは難しかった。

更に困難を極める時代、人々は心の平安を求めて神に祈りを捧げる。

文化面ではフランスにおける学校が閉鎖され、勉学を行うところは教会関係のみとなる。
また、アイルランドから布教に来たコロンバヌスによる厳しい規律の修道院が建てられる。
文学作品の分野では聖人の人生と功績をかたった聖人伝、
別世界への体験談を綴ったビジョン文学が多くみられる。

この時期、イベリア半島に置かれたビザンチン帝国領を払い、バスク地方を抜かした
半島を統一した西ゴート人、戦乱がひと段落したこの土地で、教会文化が花開く。
セビリアレアンドロ司教により改教したゴート王、シセブート、レアンドロの弟で
セビリア司教となるイシドロ、イシドロの作品では教会関係以外のもので
ゴート人の歴史を書いたものや、20巻にも及ぶ百科事典が見られる。
この百科事典は当時の様子を知る重要な手がかりとなっている。
また、自然化学にまつわるもので太陽、月、星の動きによる日、季節の数え方や天気、天体、地理など、興味深い内容だが、中身が混乱している。

同じく頭角を現すブリテン島、アングロ族とザクセン族の流入ケルト土着文化が混沌としていた
この島に布教活動を行ったアウグスティウス、カンタベリーに司教区を築く。
こちらではアイルランドから待ちこまれた教会文化が主だったのだが、
7世紀後半にはアルデルモにより、イギリス、ブリテン島がアイルランドの先を行くこととなる。
司教となった彼は大勢の学生を連れ、アイルランドへ留学、その後イギリスに学校を建て、ここよりベダを始めとする文才たちが育っていく。