ナポリの小枝とノルウェーの切り株

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中世ラテン語文学 ラテン語と中世の定義 ラテン語編

ラテン語と聞いて・・・
理系の方なら学名に使われている言語、
文系の方ならどこかの国で使われていた言語、
キリスト教の方ならバチカン市国の共通言語で
特にカトリック教会における聖職者様及び神学生には
必須科目であった、神の言語。

考古学的にはローマのあるラツィオ州の原住民、ラテン民族が話していた言葉。
これが古代ラテン語である。
首都をローマに拡大していくラテン民族の領地、
彼らの陣地で話されるのも、もちろんラテン語

ローマの歴史は3つの時代に分けられ、
それぞれ、王政時代、共和国時代、帝国時代となる。
共和国時代には北はドイツのライン川、南は北アフリカ沿岸部、東はドナウ川、西はイベリア半島全域、そしてイギリス南部までがローマの下に治められていた。
その後、ゲルマン民族の侵入により領土が少しずつ減っていったが、
ゲルマン民族の中でもゴート人はローマの手助けをしていた民族だった。
お互いの利益のためそういう形を取ったのだが、
やはり共通言語はラテン語である。

一概にラテン語と呼ばれるもので、一教科として勉強するものは
帝国政のローマにてかしこまった席で話されていた言語である。
道端の人々の民衆ラテン語はまた違った文法を持ち、
この話法から変化を遂げたものが後に呼ばれる”ラティーノ・メディオ(=中世ラテン語)”
である。ゲルマン民族もローマの傭兵として雇われえいたため、ラテン語を理解しなければいけなかったのだが、ここで使われるラテン語もいわゆる俗ラテン語であり、ここに彼らの言語の要素が混じったものが古フランス語であったり、古スペイン、イタリア語であったりする。
一方中世ラテン語は、一世紀以降文語として使われていた古典ラテン語
ゲルマン語的要素が混じったものになるのだ。このラテン語は教会、今日のバチカン市国で使われている教会ラテン語とも言われている。

私はラテン語を専門に勉強していないので、文法についてはあまり触れることができない。
他のインド・ヨーロッパ語と比較して、いくつかの違いを指摘しみると・・・、
1、定冠詞がない、英語でいうTheは存在しない。
2、語順は関係ない、基本的な文法として、主語、動詞、目的語 というスタンダードな語順でなくても良い。詩など、韻を踏む関係で語順を重視することもあるが、基本的に動詞が最後に来ることが好まれる。
3、目的語が変化する。格と呼ばれる文法で、ウグル・フィン語系で使われる文法である。

このラテン語に最も近い言語は現在のルーマニア語である。
歴史的にゲルマン人の侵略を逃れ、他言語の混入を避けることができたため、現在も純粋な
ラテン語に近い話し方が守られている。

古代ラテン人も当時活発であったギリシアと交易を通して、言語を発達させていった。
つまり、ギリシャ語的な要素が詰め込まれ、完成されていったのである。
実際、アリストテレスプラトンなど、古代ギリシャにはたくさんの学者がいたため、
ローマでも、お勉強の基準はギリシャ式なことが多かった。
これにより、勉学に関する言葉もギリシャ語から由来するものが多い。
例えば、考古学(英Archaeology、伊Archeologia,)
言葉を分解するとArcheo=古い Logia=学門、古いことを勉強するということである。
特に英語話者にはよく理解していただけると思うが、難しい言葉ほど、
古代言語をそのまま英語読みにすることが多いので、
ラテン、ギリシャ語起源の単語はわかりやすい。
これはイタリ語にも言えることで、わかりやすい一例として、
チーズをイタリア語でFormaggio、チーズを作る酪農工場をCaseificioという。
フォルマッジョがカセイフィッチョ?
チーズをラテン語でCasoという、

Caseificio(Casei=ラテン語でチーズの複数形、Uficcio=オフィス)
という式が成り立つのである。

それではどうしてラテン語が学問に関する言葉となったのか、
19世紀までラテン語は学問を学ぶものにとっての共通言語であった。
いわば現在の英語のような役割を果たしていた。

ローマ帝国崩壊後も使われ続けたラテン語、ゲルマン語の要素が混じりながらも
権力者間における書簡、契約書はすべてラテン語で書かれていたし、
外交においても重要な役割を担っていた。
このようにラテン語が文語として残されていったのは、ローマ人支配の名残ともいえよう。
逆にローマ人に支配されていなかった東ヨーロッパ諸国では大ギリシャの名残として、
古代ギリシャ語を共通言語に使っていた。

カトリック教会でラテン語を使う理由には、ローマ時代の名残としてよく知られた言語であることから布教に便利であったことや聖ヒロエニムスの功績が挙げられる。
聖書は元々ギリシャ語で書かれていたのだが、彼によりラテン語に翻訳されている。

考古学の分野においてもラテン語は重要な役割を占める、ローマ人の建築技術は中世にも受け継がれていったため、それをそのままラテン語で表記してある、化学の分子式や原子の名前もラテン語なので、イタリア語を勉強して化学に取り掛かったのはラッキーともいえるのだが、
現在は出たがりのイギリス人に考古学の定義を持って行かれてしまったため、
研究員レベルで頑張るなら今は英語の時代である。