ナポリの小枝とノルウェーの切り株

ノルウェー、ヴィーガン、猫とおそ松さん

中世ラテン語文学 ラテン語と中世時代の定義、中世ってなに?

一言で中世といってもはっきりとした年代で区分することは
未だに定義されていないため、ヨーロッパ諸国内においても
多少のずれがある。

イタリア人の得意のエティモロジア(Etimologia)言葉の意味論で
この言葉を分析するなら
Medioevo=中間の時代=時代と時代をつなぐ間の期間を指す。
英語だともっと簡単Middle age=間の年代となる。
いったいどの”中間”を指すのかというと・・・。

イタリアにおける中世の定義は
ローマ帝国崩壊(467)からコロンブスにおけるアメリカ到達まで(1492)の
約千年間を指すのだが、ここで注目すべきことはローマ時代と近代のギャップである。

トーガから全身を覆うドレスへ、石の寝床から羊毛でできたベッドへ
政治、宗教、生活様式に至るまで、あらゆる変化が起こった時代、
それが中世である。

この時代の定義づけは未だに定められていないため、
いくつかのバリエーションが存在する。

政治、宗教的理由により定義付けられているのだが。

テオドシオ帝により、380年キリスト教が国教として定められる。
395年には同帝より、ローマ帝国は東西に2分割されるのだが、
これを中世の始まりとする考え方もある。

東ゴート人によるイタリア侵略(493)
ロンゴバルド人イタリア侵入(568)
など、これらも中世の始まり候補に含まれている。

一方中世の終わりとして、候補に挙がっているのは
文化的な視点から、ヒューマニズムの復活である。
ルネサンスより前に人間性の復興が見られる13世紀末の中部イタリア
ダンテやボッカッチョに見られる、恋愛もの文学が頭角を現した時代である。

政治的には1453年の東ローマ帝国崩壊があげられる。
東西に分裂したローマ帝国のうち、金が採掘される地域であったため、
ゲルマン人とは金で交渉し、侵略されること無く、過ごしたのだが、
これによって更に西へと進路を取った彼らは、経済的に首が回らない状態であった
西ローマ帝国を滅ぼすことになる。

宗教的には1517年、ルターによる宗教改革で中世を終わりにしようという声もある。

また、フランスの中世学者ジャック・コフはフランス革命までの時期を
このくくりとしているし、未だにはっきりと定義付けすることは不可能である。

歴史を勉強するものはこの時代を別の意味で暗黒の時代と謳う。
範囲が広くて長すぎるが故、テストまでの道のりが”暗黒”であるからだ。

1、政治的変化
ローマ人からゲルマン民族へと実権が渡される。
貴族社会から封建制度へ、実力社会へと変貌する。
ゲルマン民族にもいろいろな系統があるため、各民族による陣地争いの結果、
今日のヨーロッパ諸国が形成されていった。
ゲルマン民族ザクセン、フランク、スワビア、ジュート、アングロなど、
ドイツ、フランス、イギリスへ流れていった。
またゴート人はイタリアやスペインなど、半島に進路を取り、
ヴァンダル人はジブラルタル海峡通ってアフリカへ。
少し遅れてロンゴバルド人がイタリアに到着する。

2、宗教的変化
ご存知の通り、キリスト教が大人気だが、ゲルマン人アリウス派に属していたため、
カトリックではこれを異教とみなし、対立。
後に有能な僧(大グレゴリウス、コロンバヌスなど)により、少しずつカトリックへと
回教していく、また、修道士の生活はひとりで神に祈りを捧げるだけの人生から
集団生活と身の回りの従事をこなす現在の修道院体系が出来上がる。
ここではお祈りや宗教的従事のほか、農作物の収穫、病人の手当て、写本などが行われていた。
政治的に不安定な状態だったため、一番安定している団体がカトリックであった。
民衆がこの教会を心のよりどころにするのは平和を求めていたことともう一つ、
不変の教会システムに身の保障を求めていたこともある。

学校や文化を取り仕切っていたのも教会に従事する修道士達である。
よってラテン語がしばらく世界の共通語として利用された理由もそこにある。

また、地方の教会では日本の町内会システムで、
生まれてから死ぬまで同じ教会のサービスを受け続ける。
ご存知の通り魔女狩りや異端者狩もこの時代に行われた。

3、都市の没落と村落の出現
ゲルマン民族の侵入により、財産を雑略された人々は高台の方へと非難する。
特に海沿いの町ではサラセン人による強奪があったため、
人里離れた地方に小さな村落を形成し始める。

新しい領主が着くと、すぐに始まるのが見張り台の塔づくりである。
領主の館や礼拝堂も建てられ、街を塀で覆う。
一つの城の敷地内に平民の家や商店があり、城を出ずとも生活できるシステムを築く。
また、海辺の町では港の整備も行われる。

中世という時代はいつ、どこの、誰が攻めてくるか予想のできない時代、
あらかじめ予防線を張っておくのが良い。