ナポリの小枝とノルウェーの切り株

ノルウェー、ヴィーガン、猫とおそ松さん

脳みその言語バー

日本人なんてほとんど存在しない、イタリアの地方に住んでいる私は
イタリア語づくしの生活を虐げられている。
大学の授業も少ない友達との会話も、パソコンの機能もすべてがイタリア語である。
 
ノルウェーから戻ってしばらくの間、イタリア語が出てこないことがあった。
脳みその言語バーがうまく作動しないような現象といえる。
 
ノルウェー病にかかった私は、朝っぱらからノルウェー国営放送ラジオをかけ、
英語でメールを書き、日本語で家族と連絡を取る、
というような生活をしていたのだが、
これが長年話してきた、話しなれてきたイタリア語をおかしくする原因になったのであろう。
アパートの同居人は旧ソ連邦出身のイタリア語を介さない人たちばかり、
挨拶以外は何の会話もなく一日が過ぎる。
そうして一週間ほど経ったある日、
 
道端で、切符売り場で、さも普通のように”エクスキューズ・ミー?”がでてしまう。
以前、私の英語の発音がフランス人の英語に似ている、という指摘を受けたのだが、
たまにフランス語で返事が返ってきたりするのに驚いた。
 
バールでコーヒー頼んだ際にはノルウェー語が出てきたけど、
彼らに私がイタリア語を話さないとわかると、いつもの冷たい視線を感じることが少なくなった。
 
イタリア語を話すということは彼らにとって経済侵略者、
インベーダーというイメージを与えてしまう、
逆にイタリア語を話さなければ、お金を落としていく観光客になれる。
 
昔、朝日新聞天声人語で読んだコラムに
 
"イタリア人は外国人がイタリア語を話すと喜ぶ民族である"
 
のようなことが書いてあったが、それは片言までの世界だろう。
つたないイタリア語を話す外国人はOKだが、
方言から気難しいフリードリッヒ2世の話までしてしまう外国人は嫌だろうな。
 
最近はこの言語の隠れ蓑に隠れているが、
テストのとき、どうしよう・・・。