ナポリの小枝とノルウェーの切り株

ノルウェー、ヴィーガン、猫とおそ松さん

野球漫画

フリッパーズギターとローゼスと野球漫画を同じブログで紹介するのは
すごく新鮮なことだと思う・・・。
オタクな私の最も愛する漫画カテゴリーは野球漫画だ。
美しいくらいの努力と根性に個性的なキャラクター達、
スポーツ漫画全体を指すのではなく野球に限定する理由は
古典的な人間関係、元巨人の王貞治創始者と思われる武士道が盛り込まれている
ところにあり、実際にバスケ漫画やサッカー漫画はさわやかさとマネージャーとの
恋愛感情やスラムダンクに至ってはおしゃれ感覚まであるので苦手だ。
おしゃれ漫画は岡崎京子のものが好きなのでスポーツものは
努力と根性の海にどっぷり漬かったものがいい。

今までに一番感銘を受けた作品は水島新司作、ドカベンである。
6巻までは柔道漫画だが、9巻に里中さとるが出るのまでの前置きのようなものである。
里中君のジャクソン5風な学ランの着方や、小さな巨人といわれるように
剛球投手でありながらチビなところなど、私の好きなタイプの選手だ。
地味な主人公、山田太郎岩鬼正美の微妙な関係と
クールな4番、殿馬の音楽と野球を融合した戦術もすっごくかっこいい!!
対抗相手にもそれぞれの暗いドラマがあり、勝利に対する執着も強い。

甲子園での彼らの活躍が、この作品の頂点であろう。
個人的には山田が野球を再開してから、いろいろな人たちの応援を受けて
明訓高校に入学するまでのエピソードが最も感動的だ。
作者によるコマの使い方や退屈することなく繰り広げられるエピソードに
知らぬ間に読破してしまう。

その後、母の看病で野球部を去っていった里中君が
再びマウンドに戻る"大甲子園”、この作品は水島新司ワールド爆裂。
対抗相手、及び登場人物がすべて彼によって書かれたドカベン以外の
ストーリーより来ている。
水島作品を一つにまとめて読めるお得な作品とも言える。

さらに90年代後半より連載されたプロ野球編では
明訓高校メンバーが別々の球団にスカウトされ
チリじりばらばらになる、
それも微笑君以外は地味なパ・リーグに分配される。
余談だが、第一巻の発売記念サイン会に参加した。
ダイエーホークスのはっぴ着たおっさんや野球ファンがほとんどだった。
厳粛な雰囲気の中、里中ファンであることを告げると意外にも
水島先生はとてもフランクに
次号のチャンピオンが里中特集だという情報をくださった。
大物というのは無礼な漫画ファンギャルに対しても親切だった。

少年マガジンで連載されていた第三野球部もお気に入りの一つ。
ドカベン山田太郎の家は本当に貧乏だったが、それを悲しく宣伝するシーンは一つもない。
第三野球部は肩身の狭い自分へのひどい仕打ちが
キャンディキャンディ並みに表現されているが、
持ち前の性格ではなく、努力と根性で勝ち取った一軍の座には思わず涙してしまう。
すごいことに謙虚な絵心にもかかわらず、これほどまでに心が動かされるのだから
素晴らしい。
さらに外人がみんな金髪で卑劣なところや
かっこいい男の表現がださいのもOK。
高校編が終わると始まるプロ野球編、こちらは無かった方が良かったかも。

山田太一の奇跡
千葉県出身の作者による発展途上国人間、山田太一の奇跡の4番バッターへの道
を書き上げた作品。
個性的な画法は全体的にまとまっているが、キャラクターの書き分けが甘いため
たまにページを前後しなければならない。

トウショウライオン
タイトルの意味がさっぱりわからなかったが、
作者はオタクなパ・リーグファンなのであろう。
登場人物の名が全員実在の野球選手と一文字違い。
ドカベンプロ野球編では実名だったな・・・。
清原和博と同じ名前を持つ主人公は野球が好き、だけど下手くそ。
という彼が高校の野球部に所属して、努力で勝ち取った4番打者。
"僕は野球が大好きだ"のラストには涙。
球漫画にしてはアニメ絵なので、女の子のファンも多かったはずだ。
少なくとも連載当時の少年マガジンには上記の第三野球部やヤンキー漫画、カメレオン
などの硬派なものが多かったので、新鮮だったのに打ち切られた。

キャプテン
地味な漫画だ。
舞台も戦後復興中の日本だからちょっと暗い。
谷口キャプテンのクールな采配と、のしかかる責任感は
イタリアの首相も見習ってもらいたいものである。
こちらは野球が上手いか下手かで、誰が金持ちとか、ハンサムとか
女にもてるとか全く絡んでこないシンプルな作品、試合と練習を繰り返して
愛蔵版でも10巻ほどあったはず・・・、
読破するのは時間とあなたの忍耐力が必要です。

アストロ球団
こんなにバロックな野球漫画が存在していただろうか!!
元巨人沢村選手と約束を交わした、フィリピン人シュロ
それは最強の球団を作ること、その選手達は野球ボールのあざを持ち
並外れた技術を持つ・・・というものだった。
感情表現の豊かさは、背後に現れ、
羽を広げ飛び立とうとするフェニックスや
威嚇するライオンによって誇張され、
アナトミーを勉強しなかったであろう絵画術により
雰囲気は満点、ひげの濃い長嶋茂雄も登場する。
エピソードもコロコロコミック並みに常軌を脱したもので
人生をまじめに生きているあなたには
最初の数ページで、読むのをやめたくなるであろう作品だ。

スポーツ観戦は大嫌いな私でも野球は割りと好きだ。
武士道入っているところに美徳を感じる、
千葉県人としてロッテを応援するべきなのだが、
私は巨人ファンである。
特に桑田真澄松井秀喜が好きだ。
桑田君はコロコロコミックの漫画”かっとばせ!キヨハラくん”で
陰気な性格と嫌いな選手に対してクラッシックな呪いをかける
かわいいキャラクター具合に惹かれた。
同じPL高校出身でライバルの清原君と対照的な
人柄がまた興味深い。