ナポリの小枝とノルウェーの切り株

ノルウェー、ヴィーガン、猫とおそ松さん

フェミニスト男子

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お墓の前の即席菊売り屋台
 
明日はハロウィーンで、古代ケルト族から続くお祭りの日なんですが、
イタリアでは死者の日として、お墓参りに行きます。
 
予告通り、今日はフェミニスト男子のお話です。
 
 
ヴィートのケース
 
彼の両親は共働きで、お母さんの就業時間がとりわけ長く、
地方公務員ということで、婚姻届けが提出されたら、お祝いをしに、
死亡届が提出されたら、お葬式に出席と田舎のしきたりもあり、
時間外のお仕事が多い人です。
 
お父さんは高校の事務員で、仕事は午前中だけ、
午後は家でゴロゴロしています。
見ていて暇そうなパパ、家の仕事は家庭菜園の手入れと
にわとりを絞めるくらいで、それ以外は何もしません。
 
家事を行っているのは大概ヴィート君。
 
食事の支度、後片付け、お掃除、お遣い、アイロンがけに洗濯、
家事全般をこなし、母親の負担を軽くしているとお母様からも聞きました。
 
ヴィート君のお母さんは他の山間部の女性に見られない
強さが見られる方なんですが、男性主権の社会と闘ってきたのか、
話をしていて意見がはっきり、くっきりのかっこいいおばちゃんです。
 
本当は大学で勉強したかったけど、自立したかったから公務員の道を選んだと言っていました。
経済的な自立が道を開くことを知っていたのでしょう、
旦那さんは家のことには無関心ですが、息子たちに家庭生活を教えたのも
最初から男女同権の思想があってのことだと思います。
日本の女性蔑視に関して、随分興味深く質問してきましたが、
私は平等に感じたこともなければ、子育てに関して女ばかりが苦労するとしか
答えられませんでした。
 
ヴィート君にどうして家事をしようと思ったのかと聞くと、答えは明確。
 
“僕がやらなかったら、だれがやるの?”
 
そういう人なので、現在はオーストリア国境近い街で働いています。
家族から遠く離れ。文化の違う街でも暮らしていけるのは
彼が南イタリアの傲慢男性ではないからでしょう。
 
おまけの話、ヴィートの地方食
ヴィート君の実家の地方料理は正直おいしくない。
ニョッキは小麦粉を水で練っただけのカヴァティエッリを食べ、
生パスタには卵入れずにこれまた小麦粉と水で練ったマタッサが
祝祭日のご馳走としてふるまわれます。
大学一年のころ、丁度諸聖人の日に遊びに行ったら、
そのマタッサのトマトソースをご馳走してくれましたが、
皿の奥からコオロギが出てきました。
私はベジタリアンなので、紛れ込んでしまったコオロギを食べるわけにもいかず、
何事もなかったかのように、亡骸をナプキンに包んで食べ続けた思い出が・・・。
 
 
 
大学生男子のケース
 
南イタリアには男らしい表現として、未だに飲酒と葉巻と女性の量、
そして暴力と権力が挙げられます。
 
前に住んでいたアパートではイタリア人男子2人とのシェアでした。
2人とも私を社会に属さないもの扱いをしていたので、
普段は話さない本音を随分聞かされました。
 
“俺は酒飲みなんだ、ワインの瓶一本なんて、すぐに空にしちゃうね
女が一緒に飲んでると、飲みすぎだっていうけど、そんな奴は一発顔にお見舞いしたら
何も言わなくなるよ、実際何度かうるさい女を殴ったよ。”
 
“酒で酔ったふりをして、女にやりたい放題するんだ、
酒を飲んでおけば、責任を問われることはないからね。”
 
これ聞いて、びっくりしませんでしたか?
 
彼らの本音は権力を持ちたい、社会的地位を高くしたという願望があるだけで、
実際は言っているようなことはできません。
3人とも仲良さそうにしているのに、いない人の悪口をお互いに言い合っていました。
 
イタリア男性はマザコンといいますが、この3人も毎日母親から電話がかかってきていました。
 
一人は電話で母親を“プッターナ(身売り女)”と罵り、
もう一人の母親は息子にしか大切にできないため、娘が拒食症になってしまうほどの
極端な愛情を注ぐタイプでした。
 
父親の存在は見えません。
 
 
 
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“な~に、おらの写真なんかとって~”南イタリア山間部の典型的なご婦人、ヴィート君のばあちゃんです。
未亡人になると、旦那の死後一年は黒い衣装を着るそうです。
 
 
 
コスタンティーノのケース
 
コスタンティーノはカミングアウトをしているゲイの男の子。
お姉喋りをするけど、見た目はちょっとセンスの良いふつうのナポリ大生、
ナポリ東洋大学では個性の強い生徒が多いので、
ゲイは目立つ要素としてはインパクトが少なすぎるために
彼が肩身の狭い思いをした様子は見られない。
 
心は女性と言いつつも、30歳になったら、ゲイをやめて女性との婚活を始めるといいます。
それは、家族を持ち、ふつうの家庭生活をしたいからとのことですが、
その真意はわかりません。
 
ただ、彼が重い荷物を持ってくれたり、カミッラとの待ち合わせで
待ちぼうけしていたときに時間を一緒につぶしてくれたり、
苦手な男性が近くを通ったときに追い払ってくれたり、
食事やコーヒー代を出してくれたりと、
イタリア男性がしそうで、してくれないことをしてくれる、
本当の意味でお手伝いをしてくれる人でした。
もちろんカミッラとも仲良しです、人間として優しい人なんだと思いました。
 
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墓地のそばにある、南イタリアの教会、諸聖人の日なのでかなり賑わっています。
 
 
本当はノルウェーのフリージェンダーに関して書きたかったのですが、
それを書くには、ノルウェーの風土を知らなすぎるので、
結局地元のお話になってしまいました。
最終的に行きつく先は、男女の問題よりも世界にはびこる
弱い者いじめをしない人への賞賛になってしまいます。
性の問題を超えて、もっとユニバーサルな視点で物事をとらえる人が増えれば、
世の中のあらゆる問題が消えるように思うのは
私が世間知らずのヘタレ脳みそ持ちだからでしょうかね?
 
男女問題について、ネット検索すると世界で女性に生まれたというだけで、
ひどい暴力を強いられる地域や暴力とお金の犠牲になっている人たちの多いこと、
私、ノイローゼになりそうです・・・。
そんな女性を救おうと、カミッラの神学校友達スウィートニーナは
カトリック使節団としてリビアに行きました、カトリックという団体でイスラム文化に飛び込むこと自体が
ちょっと疑問ですが、パソコンの前で泣いている私よりずっと立派です。
 
世界の問題から目を背けてはいけない。
 
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おいしい南瓜で楽しいハロウィーンを!