ナポリの小枝とノルウェーの切り株

ノルウェー、ヴィーガン、猫とおそ松さん

帰国前日のご褒美はフォコラーレの微笑み

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オスロの何気ない街角もしばらく見れないと思うと、つい写真に収めてしまう。空の色がムンクの描く横に細く層を生す雲で、微妙過ぎる水色を帯びた灰色のグラデーションに見とれてしまった。

私は聖オラフ教会の司教館で行なれているポーランド人のソーシャルカフェへと向かっています。

ポーランド出身のダリウス神父に片思いを募らせているカミッラは健気に彼の母国語をマスターしようとポーランドミサに参加し始め、日曜日はミサの後にある教会内のカフェで信者と交流というのが習慣になっているので、ミサに参加しない私はカフェで合流ということになりました。

カフェの後は去年、キャンプに行ったストーヴネル地区にあるフォコラーレというカトリックの女性団体がホームパーティを行うのというので参加してから、軽くトレッキングをして帰ろうと計画しています。

 

日曜日のミサカフェはこんなにかわいいケーキが並んでいました。金額は250円ほど。

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フォコラーレのパーティでは世界のカトリック信者たちがおいしいものを持ち寄るので、カフェのお菓子やサンドイッチをお腹に入れてしまうのはもったいない気がして何も口にせず、10時過ぎに教会を後にした。

これが大きな間違いで、その後かなりの空腹に耐えることとなる。

私たちがパーティ会場に着いたのは午後3時近くになってしまってしまったのだった!

そもそもパーティの開始時間を知らないカミッラは、到着時間をやたらと気にしている。早く着きすぎたがために、フォコラーレの管理者から注意でも受けたことでもあるのだろう。

そうそう、フォコラーレとは、カトリック女性信者たちの在家修道女とでもいうのか、グループになって共同生活を送るが、日課修道院とは異なり、経済的に自立、つまり個々に仕事持って生活するというソフトシスターみたいな感じだろうか?

二年前に一度、彼女たちのパーティに参加した際、管理者がかなり口うるさくて、苛立ちさえ感じたものだが、そんなことすっかり忘れて今回も胃袋を掴まれて参加することにしたのである。

参加するなら、持ち寄りパーティなので、どこかで食べ物を調達する必要があり、日曜日に営業している店を探すのに苦労してしまった。

というのも、昨日からヤバそうなオレオとベリーのムースのケーキを作っていて、それを持って行くと思っていたら、カミッラは教会カフェでポーランド人たちに食べさせるために作ったいたらしい。

それがわかっていたら、前日から別に準備することが出来ただけに予定が狂う。

オスロの日曜日は営業しているスーパーはJokerというチェーン店と駅近くに多いムスリム系のスーパーなのに、なぜかお店はお休み中で、私の知りえない彼らの休まなければならない日なのかもしれないが、ポケットWifiの電源を入れて調べる時間が惜しい。

 

とりあえず、パーティ会場のあるストーヴネルへ。

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オスロの地下鉄終点から一つ手前にあり、電車では30分程かかる住宅街、新しい施設が多くてクリーンな印象が都会的なのに地下鉄の裏手にはトレッキングコースがある。

駅のすぐ横にあるポーランド人の食料品店もやっていなかったので、スマホで調べて歩き出すが、この辺りは坂道が多くて、上下する道を歩き続けること1時間、一向にお店はなく、道端で地元の人たちに聞いて、行ってみると閉店中の駅横のポーランド人の店だったりして、さすがにパーティの参加自体あきらめようかと思っていると、クリケット大会があるらしく、人ごみが見える。

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この辺は移民が多いので、クリケット大会となるとインド系の人たちだろう。

あきらめることを辞めないカミッラがここで試合を見て行かないか?とすっとぼけたことを言ったが、スポーツに興味のない私はその気がないことを告げる。

その横を丁度、孫を連れた小柄なインド人っぽいオッサンが通りがかり、誰にでも気軽に話しかけるカミッラが、クリケット大会に参加するのかと話始めたかと思うと、この辺に店がないかと本来の目的を忘れずに情報収集していた。

このインド系ムッシューはとても的確だった。

“この道沿いに500メートル歩きなさい。その先には高架橋が見えるだろう、そこを超えると小さなコミュニティーがあり、団地内の公園を横切り、その先には大きなバス通りに出る、そこを渡って左側にトルコ人の店があるが、隣には別のスーパーがあるから間違えないように。君たちの足なら、そうだな・・・10分、いや8分で着くだろう、まずは高架橋を目指して歩くのだ!”

・・・8分後。

トルコ人が経営しているという大きなスーパーにたどり着いてしまった。

私はあまりにも的確だったインド系のオッサンに深く敬意を示したくてたまらないくらい感動した。

元々、ガンジーもインド料理も好きでヴィーガンインド哲学に興味があるのだが、もっともっと知りたいと心から思った。

私たちはあまりに空腹だったので、インドのマサラスナックとチョコミントバーなどを購入し、パーティに持って行くサラダ用トマトとキュウリ、オリーブの大瓶を買ったが、サラダを作るくらいなら、持って行かなくてもいいと合理的な私は考えてしまった。カミッラ的には気持ちを表したいという日本的な感覚があったのだろう。

そこから、会場へと向かうが、何にもない住宅街をひたすら歩く。

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猫に会えると嬉しい。

うちの子もメタボ予備軍で6キロあるが、この猫ちゃんはそれより一回り大きい。

スーパーから会場まで一体何キロだったのだろう?

カミッラはグーグルマップで確認しながら進むも似た風景ばかりで、目印がない上、私は地図が読めない方向音痴なので、結局以前訪問したことのあるブレッドヴェッド教会に出る幹線道路沿いを歩いて位置を確かめながら進むことにした。

・・・まあ、カミッラは歩くなら景色の良いことろと思って幹線道路の脇道を選択したつもりだろうが、それは無駄な労力で、結局は戸建て住宅の界隈(しかも陰気くさい)でしかなく、人すら見かけないゴーストタウンみたいな場所をぐるぐるとホラー映画みたいに回っていただけだった。

2年前の家ならまだしも、引っ越した家には一度も行っていないので全く見当がつかずカミッラの後を歩くだけで、かなり疲れた。

それから歩くこと一時間以上・・・、坂道の電柱に張り紙発見。

パーティ会場と駐車場を示す案内と、その先には沢山の車が止まっていた。

今回は遅く着いたので、強制参加のコーラスやコンサートは既に終了していて、テーブルに並ぶ輝かしい食べ物に手を付けようとしていたところ・・・

管理者登場。

そりゃ主催者だからゲストを迎えるのは当然なんだけど、遅くなった理由を厳しい顔で聞いてくるのでウンザリしてしまった。

“おみやげなんて心配なんてしないで、早く来ればよかったのに”とか、言ってほしかったよ。

 

食べ物その1

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右下の黄色タッパーに入っているサラダ、アルファルファとリンゴと木の芽みたいなサラダで、食べた人がおいしいけど、変わっているのと言っていた。

私はバーベキューで焼いていた薄焼きパンに豆やジャガイモのサラダの他、恐ろしく遠回りをして買い物をする必要があっただろうかと思うようなトマトやオリーブの地中海風マリネサラダをいただく。

私たちが遠回りをしてまで買ってきた食品と同じものが並んでいる様子に虚しささえ感じるが、管理者が面倒くさい人なので、形だけでも見せておこうというカミッラの姿勢は正しかったのだと思った。

 

食べもの2

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食事たいむは終了に差し掛かっていたので、スウィーツばかりになってしまった。

手作りのエクレアが何かいい感じ。

私はこの日、ヴィーガンをお休みして久しぶりに何が入っているかわからないバナナブレッドを食べました。

フォコラーレのメンバーはイタリア語が話せるので、その一人と話していると管理者が立ち食いをするなと言うが、誰もいないテーブルで食べていると移動して誰かと会話しろと言う。

全く面識のない人たちのテーブルに無理やり座らせられて、楽しく談笑している中高年男女と子連れの女性が座るテーブルで、赤ちゃんの一挙一動に感激して盛り上がっている人たちに水を注すようなつたない英語で話かけるのは、気持ちが乗らず食べていることに集中している振りをするため、皿の上には常に一杯の食品が乗っているよう気を付けることにした。

正直なところ、強制されたり、指図を受けるのは好きではない。

爆食クイーンになった私が相当気味悪かったのか、同じテーブルの人たちは別のところに移動して行った。

彼女の家ではあるのだけど、要望に答えるのは難しいくらい内気なので、少数の顔見知りの人を見つけるしかない(しかもカミッラ以外と話をしなければならないらしい)。

頑張った先にこの対応と思うと悲しくて、家の裏手に一人、逃げるように隠れに行ったが、それも発見されて今度は庭のテーブルに行って食べろと案内までされる。

すんごい気分が悪くなったところで、カミッラは帰ろうと提案。

30分いただろうか?

管理者に帰ることを告げると、私たちが参加したことがいい思い出になったとか、わけのわからないことを言うので、2度と参加することはないだろうと思った。

彼女が私に他人との関わりを求めるのはこのパーティで絆を深めてもらいたいからだと思う。気持ちは十分分かるが、そう言った条件を付けるのであれば、もっと時間と自由がないと私には無理だろう。つまりパーティ参加資格がないのは私ということになる。

残念だったのは、帰り際に美味そうなビリヤニを持ってきた南アジア系ムッシューが来たことで、会話を拒絶するために食べ続けてしまったせいで、大好物のスパイス料理に一口も手を付けることが出来なかったことだった。

写真?

カメラを持っていることを管理者に知られるだけで、撮った写真を検閲されることを知っているので、今回は台所でビュッフェテーブルを管理しているステキなアフリカ系マダムに撮影許可をもらって料理だけしか撮りませんでした。

前回のパーティで検閲されたとき、ピエトロ君とカミッラが食べている写真ばかりで、コンサートの写真が少ないことで文句を言われたので。

というわけで、神に使える人たちを後に軽くトレッキングしながら帰路に就きます。

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曇りなのに白飛びしている階段。

この階段は山の頂上まで続いているようで、雪が降ったらスキーで滑って下りたりもするらしい。

こんな急斜面を本当にスキーで滑るのかは疑問だが、雪が降ったらスキーしかしないカミッラが言うのだから、無理して死にそうになりながら滑ったことでもあるのだろう。

この手前はキャンプ場になっていて居心地のよさそうな平屋の建物がL字型に配置され、ベンチも用意されている。

そして森の中を更に歩くと、小雨が霧のように降り、トロールが出てきそうな風景に。

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ここを歩きながら地下鉄の終着駅に当たるVestiriを目指しますが、遠回りをしたので4,5つ手前のRomsaasというところまで来てしまった。

地図をカミッラに任せてあるので、一人では歩かないコースを選んでいるのがよく分かるが、カミッラが一人で歩きたくないコースは2人でも歩きたくない。

 

無事地下鉄の駅に着いた

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少し時間に余裕があったので、近くのバーでカミッラはカプチーノを注文したが、地方ともいえるイナタイ店にそんなオシャレなものはなく、コーヒー牛乳でお茶を濁す

店の外のテーブルで飲んでいるとご機嫌なマダムが私たちをみて“なんてスウィートな女の子たち”とニッコリしていた。

本当にそう思ったのか?

私たちは女子ではあるが40過ぎだぞ?

 

地下鉄も中心街までは外を走っているので、緑が目に優しいが、何だか飽きてきたので途中下車してバスに乗り換える。

その界隈はオスロ中央駅から北の方に位置する地域で、あれだけ探し回った日曜日に営業しているスーパーが何件もあったのが皮肉だ。

 

アパートに到着すると8時をとっくに回っていて、明日のために荷造りをしたいところ。

パーティで結構食べたので、お腹は空いていなかったが、お互いなんだが未完全燃焼?とでもいうべきか、最後の夕ご飯に大好きなケバブ屋で私はヴィーガンケバブを、カミッラはファラフェルのラップサンドを注文して自宅で食べました。

ノルウェーも日本と同じ様に持ち帰りは軽減税率とでもいうべき、店内飲食より安くすみます。

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でも、フライドポテトトッピングは130円の追加になるので、店で食べても同じだった。

ちなみにこのケバブ屋は水を飲むならペットボトルの水を買わなければならず、ノルウェーでは融通の利く水道水をコップに入れてくれるサービスはしないそうです。

ついでに、フォコラーレの管理者とは気が合わないけど、他のメンバーはとってもフレンドリーで再会できたことが嬉しかったです。

もちろん2年前に参加した私のことなど覚えていないけど、物腰が優しくて物陰に隠れて暗い顔をしていた私を見て話しかけてくれました。

管理者の強制的な態度に弁護してくれたりと、私は完全に子供でいることを許してくれて本当の意味での強さを感じました。

日本にも団体があるようですが、サイトで検索するとヒットするもサイトの工事中なのか、表示されることがないので、その情報をオスロの人たちを共有できずに残念だったかな?

この時期はノルウェーは雨がちだけど、サマーパーティをする人も多くてウキウキな気分になれますよ!