ナポリの小枝とノルウェーの切り株

ノルウェー、ヴィーガン、猫とおそ松さん

バス代をケチった先にあるもの 前編

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ペンテコステの翌日、振替休日らしく月曜日なのにお店は閉まっている。

到着してからの二日間は、教会行事と台所での作業を手伝っただけで、恒例の目的のない長い散歩や野外キャンプのようなことはせずに済んでいたので、適度に休めたおかげか眩暈や寝不足からくる倦怠感は無くなっていた。

でも、まだ必要な食品が買えていない。

天気の良い休みの日なんで、お外には沢山の人がいて、私たちもレーネ・マリーを訪ねて、恐ろしい距離を歩こうとしている。

レーネ・マリーとはカミッラが通っていた教会関係者養成専門学校時代からの友達で、私も面識のあるリチャルドの元カノさんとのこと。

まだイタリアにいた頃から彼女の名前は聞いていたけど、待ち合わせが上手くいかなくて中々会うことが出来なかったのだが、今回も似たような感じで待ち合わせに現れず、お家に直接行くこととなったのである。

レーネ・マリーはBrekke(ブレッケ)という地域に住んでいるらしい。

それってどこですか?

グーグルマップでは徒歩で1時間18分、約6キロと表示されていたので、思ったより近くて安心した・・・というのは、以前片道3時間くらいかけて遠くの教会までベトナム人のミサを聞きに行ったことがあったからです。

 行くときめたら、まずはSagene(サグネ)地区を目指します。

こちらはカミッラのアパートの裏手の道をひたすら歩くと着く、垢抜けない住宅街で、一枚目の写真の教会を中心にカフェやケバブ屋などが数軒あって、のんびりした雰囲気と薄暗い店が軒を連ねる20年前のオスロ的雰囲気。

 

Sageneの街

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こういう、伝統的な古い建物とガラス張りのバルコニーが近代的な集合住宅があります。

更に歩いて次に着くのがNydalen(ニダーレン)という、割と新しい地域で、アーケルシェルバ川のほとりにあるおしゃれなショッピングセンターやウォーターフロントのカフェもあり、住宅街もデザイナーズマンション的なアートを感じさせる街です。

 

Nydalenの住宅街

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右に見える建物は木を外壁に使っていますが、灰色になった木材が何だかおしゃれ。

ところで、今回はどうしてレーネ・マリーとの待ち合わせが上手くいかなかったのでしょうか?

それはカミッラとの待ち合わせ場所が曖昧だったからです。

“この前あなたが降りたバス停で待ってる”という風にどこのバス停か、はっきりと明記しなかったことで、“この前”のバス停がどこなのか、お互いに違うバス停を思い浮かべて、会えなかったようです。

会えないなら携帯電話があるんだから電話すればいいと思いますが、レーネ・マリーは電話の契約はしていないので、自宅のネットのみで連絡を取り合う方法を選んでいるようです。

まあ、以前から体調不良や天候不順で外出を断ることが多かったので、あまり家から出たくないのだろうと思います。

 

この辺はまだ結構人が住んでいる

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私的にはオスロの中心街からかなり離れていて、住宅街とはいえ、ちょっと歩けば街の機能も学校もあるのに、そこにわざわざ小さな街を作ってしまうあたりが、福祉の行き届いた世界なんだろうと感心してしまう。

交通機関も十分に整っているらしいし、貸自転車もこの街まではカバーしているので、ここで生活するのに不便さは感じないだろうな。

 

更に川沿いを歩き続けるとレンガ造りの街に出る。

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ここをNydalenというのかは知りませんが、オスロの川沿いでよく見るレンガ造りの建物が連なっています。

どうやらこちらも元工場のようです。

 

川に架かる橋の入り口にあった看板。

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Miljoって水車って意味だったかな?

川の水力を利用して工場を稼働させたり、河川交通を使って製品を港まで運んだりしたのかな?

ゴールが見えないレーネ・マリーの家探しで頭が一杯な私は、カミッラにそんな質問をすることすら忘れていた。

 

こんなところにリコーのノルウェー支社。ガラス張りがノルウェーらしい。

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レンガばかり見ていたから、こういうガラス張りの建物を見るととっても新鮮。

この辺りから、川で泳ぐ人たちがいた。

 

・・・カミッラと待ち合わせといえば、私は少々我慢強かったかもしれないと思う。

イタリアにいた頃から、カミッラとの待ち合わせは曖昧で、“ルーディのバールにいるから!”とか、“図書館にいるから来て”みたいな一言で、そこへ行くといないことも多く、なんとなくいそうな場所を探してウロウロしていると、どこかで会えたものだけど、それで良かったのは時間と心に余裕のあるナポリでの話で、オスロではそんな方法通用しないだろう、ただ、私はノルウェーでも同じような形で未だに彼女と待ち合わせしている。

 

恐怖の階段上り

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川遊びしている人たちを後目に更に進んでいくと、恐ろしい階段を発見。

まさか、これ登るの?!

ちなみに写真では、半分くらいで切れてしまっているので、階段の全長はこの倍くらいあります。

鉄の足場は、下が見えるので高いところが苦手な私は見ないようにしてひたすら登り続け、あと少しのところで力尽きて休憩しました。

登っている最中、ランニングに短パン、頭には汗を止めるターバン?姿の男女が数名、登ったり、降りたりしてエクセサイズしてました。

のろのろ登っていた私を追い越したり、すれ違ったりして、その度に揺れる階段が壊れたりしないか心配すらしてしまいました。

スポーツと無縁の私を知っているカミッラは、面白げにゴール地点でカメラを構えて私を録画してました。

 

階段を上り終えると天国?屋根の上に生えていたカモミール

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階段を登り終え、川から離れると庭付き戸建てが連なる住宅街へと出ました。

この辺はオスロ西側にあるような割と昔からある住居区なのではないかと思います。

幹線道路に出ると、何だかずっごい田舎に迷い込んでしまったような、家と道路以外は何もなく、道を歩く人すら見当たらない。

妙なのどかさが怖いくらいで、異次元空間がパラレルワールドかタイムスリップしたかと言う感じだったのに、カミッラは街の様子に見覚えがあると、どんどん先へ歩いて行く。

どうやらゴールはもうすぐのようだ。

 

恐怖すら感じる夏のノルウェー 

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 郊外らしく、大きなスーパーもあったが、60年代の映画にも出てきそうな小さなコンビニがあって、小さな窓と手動のドアがあるだけで、中の様子は全く分からない。

でもアイスの冷蔵庫や雑誌、新聞ラックは店の外にあるという、防犯面はあまそうな店。子供がアイスを選んでいる様子をみると、駄菓子屋感覚なんだろうな。

 

やっと着いた!

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 例のコンビニから少し歩いたところにあった、一軒家の二階部分がシェアハウスになっているようで、親切な同居人が玄関を開けに来てくれた。

レーネ・マリーは体調が悪かったらしく、部屋を暗くして寝ていたそうだ。

カミッラの友達を数人知っているが、彼氏と別れた後、ずっと失恋を引きずって、中々立ち直れないタイプの人が一定数いるのだが、彼女もこのタイプなのか、まだ少し引きこもっていたいのかと勝手に推測している。

同居人の案内でアパートに入れてもらい、共同部分にあたるバルコニーへと案内された。

 

レーネ・マリーのアパートのバルコニー

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イケアとかでよく見かけるバルコニー活によさそうな広さと景色。

欧米人はこういうところで日光浴するんだろうな。

やっと出てきたレーネ・マリーは赤毛で華奢な北欧女性で、アジア人から見たら羨ましいほどの白い肌と均等のとれた優しい顔立ちがとってもキュートな人だったけど、健康的かと言われると、どちらかと言えば病的な感じがした。

確かに、具合が悪くて寝ていただけはある。

 

それでも精一杯のノーザン・ホスピタリティー

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ノルウェーコーヒーとリンゴ入りのカスタードプリンを振舞ってくれました。

・・・ヴィーガンと言えずに食べてしまいました。

シナモンとバニラが効いているので、久しぶりの卵も生臭く感じない。

カップもアンティーク調でとってもステキ。

嬉しいことに、つい最近までイタリアのトリノにある修道院で半年ほど修行していたらしく、イタリア語が少し通じます。

精神的に弱っているとき、知らない人を家に招くのは辛いはずなのに、親切に接してくれたことに、心の大きさを知る。

そんな彼女もイギリスにある女子修道院でボランティア活動をしつつ、自分の道を探ることにしたとのこと、そこは入会に厳しい戒律はなく、結婚を決めたら自由に出ることが出来るので、カトリックの施設とは違うらしい。

 

小一時間の後、再出発

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もう少しいても良かったけど、そろそろ出発しないと、帰りが遅くなってしまう。

この日差しで時間が感覚が分からないくなってはいるが、既に午後7時近くなっている。

短い時間でもレーネ・マリーとやっと知り合えて、優しい空気の夕方のおやつを楽しめて良かったです。

これから徒歩でアパートに帰ってても20時過ぎになるので、クラッカーとインスタントスープ、果物で簡単に夕食を済ませ、お茶の飲んだら、寝る時間になるというのに!恐ろしいことに、ここから徒歩でうろ覚えのイーゴルの家へ行こうと言うことになりました。

イーゴルとは、ナポリ大学時代に知り合った、友人の元カレで、ノルウェーとイタリアのハーフなんですが、オスロで働いているのは知っていたものの、私が彼と最後に会ったのは2006年でしょうか?

カミッラも最後にメール交換したのが2010年頃なので、10年ほど会っていなかった人の家へ、突撃訪問するということです。

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何にもない道をまた歩き続けて、例え、うろ覚えのイーゴルの家を探し当てたとしても、引っ越ししているかもしれないし、不在かもしれないし、そもそも彼の人生ではモブキャラな私たちのことなんて覚えていないかもしれないし・・・

そんな不確実なことは止めて、家に帰ってゆっくりしませんかね?

ペンテコステ・カフェのやばスムージー

会場となる聖オラフ教会横の司教館

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ノルウェーはルーテル派のプロテスタントが国教なので、カトリック教会の信者はベトナムやフィリピンなどのアジア系、ポーランドからの移住者がほとんどで、カフェの利用やボランティアサークル感覚で来るノルウェー人なども年々増えているように見えます。

この日はペンテコステなので、いつもの日曜日よりミサに来る人が多く、8時に始まるポーランド語のミサに始まり、英語、ノルウェー語が数回あり、17時のタガログ語ミサが終わるまでの間、私たちがカフェを取り仕切ることになっている。

コーヒー、おやつ、ホットドック付き8時間の活動なので、ボランティアとはいえ、ちっともブラックではない。

カミッラは8時のポーランド語ミサに参加してから、カフェのカウンターに並べるお菓子の準備を手伝っていたようですが、私はゆっくり家を出て10時頃に合流させてもらった。

 

着いてすぐ、カウンターに並ぶカミッラが作ったスムージーが見えた。f:id:monken:20190708232723j:plain

グラスに入った緑色と薄緑色とカラーコーディネーターの資格があっても表現できない色のスムージー・・・

これ、コーヒーよりも割高の値段が付けられて売られていました。

昨日、その素材を買いに行っているので、中身は大体想像できる・・・

しかも、丁度、追加で緑スムージーを作っているところを見てしまい、ケール、キュウリ、パクチーを水に浸してハンドミキサーで混ぜるだけという、おいしそうな要素が全くないのがわかってしまった。

 

ヨーグルトとかアボカドは混ぜずに、ただ野菜や果物をハンドミキサーで粉砕して混ぜ、水を加えたという生野菜水のようです。

 

 誰が買うんだ?

 

ベージュ系スムージーとワッフルで休憩

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私が到着すると、休憩しようとカミッラがスムージーとワッフルを渡してきた。

彼女はこのスムージーに対して、全く疑問を抱いていないらしいが、素材と作り方からして絶対に美味しくないのが想像できる・・・

意を決してコップを傾けると、鼻先にはバナナの匂いを感じる。

味はバナナと刺激の生姜味。

見た目は嘔吐物みたいなのに、一番やばくないスムージーだったようです。

もはやワッフルに卵とかバターが入っているとか、勝手に皿に置かれたチョコとか目に入らないほど、スムージーインパクトが強かった。

 

食べたいスウィーツはあるかな?

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雑多に置かれたブラウニーは昨日マルティンが焼いていたもので、それ以外は当日に持ってきたものがほとんどの様子、15時頃には売れ切れが続出したのに、ビジュアルの問題なのか、並べ方が雑だったせいかブラウニーは随分売れ残ってしまった。

 

最初に品切れとなったワッフル

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ワッフルは私が担当となって、ひたすら焼いていたんですが、教会ミサの後のカフェではワッフルを食べるのが習慣化しているのか、とりあえず買っていく。

日本のようにステキなデコレーションもなければ、トッピングはマーガリンとジャムのみのシンプルなものなんだけど、何故かすぐになくなっていくので、イサベラが冷蔵庫から出した作り置きのワッフルバター5リットルを追加し、私も2つのワッフル用鉄板から離れずにフル稼働で焼き続けるが、14時にはそれすらソールドアウトです。

あまりにもすぐになくなるので、売り子に回っていた留学生が食べながら作業してたんじゃないかと疑いすら持ちましたが、どうやら子供たちがワッフル交換券を持ってきていたようでした。

ミサに来てもらう目的で教会カフェでワッフルが無料でもらえる券を配っているらしいです。

まあ、留学生たちも食べながら作業していたと思いますが。

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ノルウェースタイルなホットドッグ、売り物だけど、食べながら客をさばいていたのをしっかり目撃したぞ。

 

マルティンを尊敬したくなる予定外のメニュー

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デカい鍋には炊いたお米、テーブルの上にはトマトソースにビーツ、鳥の胸肉スパイス焼きというメニュー、皿の上に全てを盛り付けると何ともステキな中近東風な料理にみえます。

これ、昨日カミッラが予定していたピラフとスープが上手く順序を立てて調理できなかったので、マルティンが彼女を説得して、作り替えたメニューなんです。

実は、ナポリ大学時代にカミッラが作った“パエリア”を私は知っている。

それは先にお米を炊いて、その上にサフランと冷凍の魚介類を乗せ、蒸気で解凍した後、かき混ぜただけのもので、そのお味は想像通りだったんですが、今回も同じ方法で“ピラフ”を作るつもりだったらしい。

それを知っているなら何が何でも阻止するべきだったのですが、そういう作り方もあると何にも口を挟まずにいると、責任者であるマルティンはどうにかお金を出して食べられるメニューにしようと、鶏肉の調理と大量のトマトソースを上手に使っておいしい一皿に完成させたようです。

しかも、鶏肉の代わりにソーセージを付け合わせることもできるのが、いいところでこちらも売り切れになりました。

まあ・・・大豆ミートとかコロッケに代用できたら、もっと良かったけど。

 

10杯は売れたスムージー、分離が始まっている

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ベトナム人ノルウェー人が興味を持ってくれたスムージー、折角売れてもお皿を下げに行くと、半分以上残していた人が多く、空のコップを見ることがなかった。

これは、閉店まで3,4杯は残ってしまい、食べ物を求めて物乞いに来たロマの女性二人に渡すと、おもいっきり拒否されてしまった。

“こんなのいらないから、そっちのチョコレートケーキ渡せよ。”

ロマの人たちはイタリア語が話せるので、私とカミッラにしつこく要求してくるんですが、私はそれが面白くて、こちらも“体にいい”とか“デトックス効果がある”とか、これを飲まないならチョコレートケーキは体に悪いから、あなたのために上げることが出来ないと説得して、紙コップに入れて無理やり持たせた。

その後、食事を要求するポーランド人のオッサンが来たが、一度勧めてみるも拒否され、残念ながら共通言語がないので、それ以上のやり取りはしなかった。

オッサンは残ったブラウニーや白米は食べたくないというので、マルティンが司教の住む裏手の建物へ行き、食べ残しという大きなピザ半分をもらってきて提供していた。

いつも驚くのが、施しを受ける側が欲しいものを要求してくるところで、私もナケナシの小銭を出しても、“それしかくれないのか?”を言われて以来、いくらでもいいからくださいと言う人以外にはサイフの紐がきつくなってしまった。

 

皆さん、お疲れ様でした。

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当日お手伝いに来た人たち。

チェコ人、ポルトガル人、ポーランド人、唯一のノルウェー人がカミッラで私はメンバーで唯一の日本人です。

ほとんどは留学生なので、出発前の残された時間を友達と過ごしたかったのかなと思います。

右から3人目のアメリカ人女性がキャンディキャンディに出てくるモブキャラみたいで、あの漫画が描かれた時代からあまり変化のない社会がアメリカなのかと考えさせられた。

17時にはフィリピン人のオバちゃんたちが台所を空けろと、ほぼ強制的に私たちを追い出し、余った食材を少し残したまま退散となった。

マルティンは中心街のバーで打ち上げをしようと、時刻を場所を言って帰って行ったが、カミッラも私も行くつもりで“後でね!”と、カフェを後に。

しかし!フランス語のミサに参加したあと、気の良いコンゴ出身の人たちに誘われてアフリカ料理のビュッフェに行ってしまった。

 

よく分からないまま盛り付けた手作りのアフリカごはん

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 丸いドーナツみたいなのはフランスで食べらる“ビニエ”、豆料理とピーナツが印象的だが、メインは魚だった。

 

帰り道、教会の塀の上にロマの女性に渡したスムージーの紙コップが置かれていたのを目撃する、中身は全く手を付けていないようだ。

“あの人たちは体に悪いものばかり食べ続けてきたから、健康に良さそうなものに抵抗があるのだろう。”

と、とってもポジティブに受け取るカミッラ、私はそんな彼女を見習いたいと強く思った一日だった。

ハードすぎる二日目

ここ数か月で一番まとめて眠れたかもしれない・・・

ノルウェーに着いた日の夜は時差の関係と飛行機移動の疲労でよく眠れる。

にしても、今回は数時間しかない暗闇の間に一度目を覚ましてしまい、朝の4時頃には完全に目が覚めたまま、一時間程ぼーっとしてから体を起こした。

 

曇り時々雨のオスロは少し肌寒い感じ。

ペンテコステというと教会に通う人たちには聖霊降臨祭とか五旬節という名で知られている。

とにかく、キリスト教の祝日が翌日の日曜日に控えているので、食糧調達を済ませないと火曜日までまともな食事ができないかもしれないのに、何故か私は修道院で草をむしっている・・・。

 

オスロにある聖ドメニクス修道院の中庭

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私は友人であるカミッラ(写真の人物)を訪ねてオスロにある彼女のアパートで寝泊まりしているんですが、滞在中はこの人と寝食を共にするので、彼女の予定に合わせて私も修道院の庭でガーデニングのボランティアをすることになっているのです。

まあ、数少ないノルウェーカトリック教会の、それも男子修道院の庭で、大好きなホーヴァル神父と一緒に庭仕事するのは、楽しみではあるんですが、草むしりをしにノルウェーまで苦手な飛行機に乗ってわざわざ来たわけではない。ということは伝えておきたい。

しかも今回、ホーヴァル神父はノルウェー中北部の修道院に出張中だったので、同じくボランティアで来ていた男性の指示に従い、裏口の階段付近の美化活動を行う。

ホーヴァルが不在となると、休憩時間のコーヒーとおやつ、スウェーデン語で言うところのFIKA(フィーカ)の準備をする代わりの修道士がいないので、お楽しみのコーヒータイムもなしだ。

数年ですっかり日本人らしくなった私は頑張って作業して、早めに切り上げることばかり考えていたが、数か月分の睡眠不足と飛行機移動による疲労は、数時間の深い眠りでは回復できなかったらしく、今度は自律神経をやられたかと思うような眩暈に襲われ、さぼっているのではないが、石段に座って手元に生えている草を抜くのが精いっぱいだった。

何だか体調悪いアピールばかりしているのが、睡眠障害からくる眩暈で仕事を続けられなくなった経験があるので、私にとっての眩暈は脅威そのものなのだ。

 

ランチタイム

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14時近くなって、やっとランチです。

ノルウェー人の食事の時間は人によってですが、伝統的には14~16時に夕食を摂るらしく、一日二食の生活をしている人もいる様で、カミッラも8時頃にハヴレグラッとか呼ばれるポーリッジを食べ、作業前にカフェでカプチーノとクロワッサンも食べているのでお腹は空いていなかったのだろうと思います。

修道院の隣にはスーパーがあるので、そこでお昼ご飯を調達しますが、日本のスーパーのようにお総菜は充実していなくとも、サンドイッチ文化なんで、適量のパン、ハム、チーズ類が豊富にあり、ついでに茹でたジャガイモも売っていたりします。

日本のコンビニでランチを期待する人には不便かもしれないが、イタリアから来るとすこぶる親切な売り方だと思う。

もちろんイタリアでもスーパーでパニーニを頼めば作ってくれるし、切り売りのピザが売っていたりはするけど、基本は家で料理するための素材が売っているところなので、すぐに食べたいなら、スーパーより割高なバールに行くのが基本となります。

 

眩暈でクラクラな私のこの日のランチ

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な~にがヴィーガンだ!

って怒られそうな品物が一杯・・・。

ベビーベルチーズ、チューブ入りチーズ、サツマイモ入り薄焼きパンと40%値引きされたシリアルヨーグルトという乳製品だらけのお買い物。

このスーパー、ヴィーガン用の食品が見当たらなかったので、カミッラに言われるがままに買ってしまいました。

多分、私は家でコーヒーや塩分を適度に摂って、自律神経を少し目覚めさせた方が良かったのかもしれない。

 

食べている間に雨が降ってきたのでしばらく屋根の下に入り、この後の予定について話し合います。

 

午後は買い物と調理をします。

それも教会の!

って、どういうこと?

いやいや、私もカミッラとの付き合いは20年近くなるので、何をするのかよ~くわかっています。

オスロにはノルウェーカトリック界の総本山的な聖オラフ教会があるのですが、日曜日のミサの後には隣接する司教館にてカフェが開かれます。

そこでは信者が親睦を深める目的があるため、コーヒーやお菓子が安価で販売されますが、ここ数年は収益を教会に寄付する目的の方が意味合いが強くなっているようです。

まあ、その日のお茶菓子の準備をカトリック青年会のメンバーが買って出たので、お手伝いをしたい人は前日の午後4時に司教館に集合しようという呼びかけがあり、何故か洗礼すら受けていない私もオスロカトリック青年会のメンバーになっているらしいので、お手伝いに向うということです。

日本風に言い換えると、“町内会の祭で売る焼きそばと水あめを用意する”みたいな感じかな?

翌日はペンテコステなので、教会のミサにいつもより多くの人が訪れるのが予想されます。

カミッラはピラフとスムージーを作るらしく、材料調達にオスロ中央駅近くにあるムスリム系のスーパーへ行くらしく、私も行くはめに・・・

そして、あんたやっぱりバカだったのね?

って言いたくなるような量の食品を買い込み、教会横にある司教館に待ち合わせの時間より一時間以上も早く着いてしまったので、入り口で途方に暮れてしまった。

 

司教館の台所、近年リフォームしたのでとってもキレイ。

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ケールやホウレンソウなどはスムージーに使うので翌日までは出番はない。

ここで調理に加わるのは発起人であるポーランド人のマルティンとトゥルーダの二人だけ。二人ともスーパーで売っているケーキミックスを焼いてアイシングなどで飾り付けをするのみで、気合いが入りまくっているのはカミッラだけの模様。

 

下の写真を見ると、手前の銀のトレー以外はカミッラが買ってきたものなので、どれだけメガ経費なったか気になるところです。

教会のボランティア活動の経理担当が来てカミッラと言い合いになっていた。

巻き込まれたくないので、トイレに行くふりをしてしばらく姿をくらますことにした。

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銀のトレーに乗っているのは数か月前から売れ残っているらしい冷凍保存してあったスウィーツたち。

 

よく見ると飾りがジングルベルだ。

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更に、経理担当のイザベラはケーキやワッフルと一緒にホットドックを売るなど計画していたらしく、スープなどのホットディッシュにまで手を延ばすつもりはなかったため、予算のやりくりを心配しているのが手に取るように分かる。

そういうノルウェー語だけ分かるので、知らないフリして陽気に振舞えない。

 

ソーセージとジャガイモ入りの薄焼きパン

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カミッラは一番大きな鍋でお米を炊き始め、その横で油と紫玉ねぎ、にんにく、ニンジンを入れて炒めずにパスタ用のトマトソースを2,3リットル投入して火を点けていた。

 

一体何ができるかお楽しみって言っちゃう?

 

 

乗り物酔いと睡眠不足

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今年もノルウェーに行ってきました。

何故ノルウェーに毎年行くのかというと、もちろん!ノルウェーが好きだからというのが一番の理由ですが、イタリア在住時代からのお友だちがノルウェーに住んでいるので会いに行きがてら、一緒に普段のノルウェーを楽しみに行くのです!

イタリアにいた頃は、忙しくなる前の3月に行くことが多かったですが、ここ数年は仕事の関係で休みが取りやすい春から初夏にかけて訪問しています。

 

毎度お世話になる成田空港

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日本からノルウェーまで直行便はないので、経由便を利用します。

飛行機が苦手な私は限りなく短くて安いルートを希望するため、東ヨーロッパに就航している航空会社を希望、結局LOTポーランド航空に落ち着きました。

去年も利用した航空会社で、座席の狭さやサービスの悪さにうんざりしつつも、機材がボーイング787で、機内の気圧や湿度が割と高めに保たれていることで、飛行機から下りたときの疲労感が軽減されているように感じます。

この航空会社、効率が悪いというのか、去年は2時間前ぴったくらいに空港に着いたのにチェックインカウンターは既に長蛇の列が出来ていて、セキュリティーチェックを終えたところで搭乗が始まってしまい、空港で朝食を摂るどころか、友人へのお土産すらゆっくり見ることが出来なった。

と、いうわけで、今回は時間を短縮するため、早めの到着、キヨスクチェックイン&ボーディングパス印刷をして、荷物を全て機内持ち込みにすることにした。

 

成田空港の展望デッキにて

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まあ、10日間の旅行なんで、荷物はリュックサック一つで十分です。

3時間も前に着き、自動チェックイン機のみで用が済んだので、今回も長い列が出来ている有人チェックインカウンターを後目に朝ごはんをを買うべく、普段は使わないスタバへ。

豆乳ラテはありましたが、ヴィーガンのパイはなく、デーニッシュを食べてしまいました。

余った時間で、小学校の社会科見学以来、行ったことのなかった展望デッキに出てみたり、無印のセールがやっていたので旅行に不必要な文房具を買ったり、空港で初めての両替をしてみたり、第一ターミナルを端から端まで歩いてみたりと、携帯の万歩計で約7㎞も歩いてしまったもよう。

搭乗前に運動して疲れることは、機内で眠って過ごすにはよさそうなので、飛行機に乗るまで、ずっと歩き続けて疲れることにした。

搭乗口まで来ると人だかりができていたので、今回も搭乗率がかなり高いと思われる・・・今回も人の圧迫感がすごそうだなと覚悟を決める。

今まで、空席だらけだった便に何度か搭乗した経験がある。

オフシーズン時のロンドンー東京便は一日に何便もありそうなブリティッシュエアウェイズ、倒産直前のアリタリア、9.11後のJALや空席だらけではなくとも、横が空席とか、一番前の席を選べたスカンジナビアン航空、エミレーツ航空・・・今となってはラッキーだったんだろうな。

ゲートが開いたと同時に呼び出されたので、アップグレードかと思ったら、チェックインカウンターを使わなかったのでパスポートチェックをしたいとのこと。

自動チェックイン機で既に旅券のチェックは済ませているのに、やはりあの長蛇の列に並ばなければいけなかったらしい。

まあ、乗れたからいいか。

 

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今回は一番後ろの席を選択。

この航空会社はオンラインチェックイン時に座席指定ができるのに、指定の時間と同時に座席表を開いても、選べる席が少ない。

マイルのステータスが高い人(スターアライアンスのゴールドメンバーとか)や常連さんでもなければ、通路側のを選びたいなら後方座席になってしまうが、私はトランジットの時間に多少の余裕があるので、降りるのが遅くなっても構わないと一番後ろにしてみたところ、今回は大成功!

リクライニングはかなり余裕があって、後ろに気を使わずに倒すことが出来る上、中央3列は両脇がクローゼットなので、横には人がいない。トイレは扉が通路側にないので、開閉音も匂いもない上、その周辺はスペースに余裕があり、窓も付いているので、散歩がてら、しばらく窓辺に立っていることも出来るし、座席に戻りながらギャレーで飲み物やスナックをもらってきてもいい。

 

お待たせしました、お楽しみの機内食

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ヴィーガンミールです。

メインはレッドキドニー豆のトマト煮とホウレンソウのソテー、ジャガイモ、アスパラ、マッシュルームと見たまんまですが、量は少ないながらも美味しかったです。

副菜はズッキーニ、パプリカ、ナスのグリルとサラダ、あとはパンと果物でした。

他の人は何を食べていたかは知りません。チキンORビーフですかね?

特別食はミールサービスが始まる前に持ってきてくれるので、隣の人に食事が提供される頃には食べ終わってます。

 

背もたれを倒して、食後のコーヒー飲みながらマクロビビスケット食べて、Queenボヘミアンラプソティを見ました。

ゾロアスター教徒の家庭で差別と自分のアイデンティティに苦しむフレディーの気持ちや私の中のゲイのイメージがこの人基準だったことがわかって面白かったです。

もちろん、名曲の誕生やメンバーとの友情も素晴らしかったですよ!

さてさて、映画が見終わったらすっかり暗くなった機内で眠りに就くこととしましょう。

もう混雑していないトイレで歯を磨き、蒸気のアイマスクをして、ブランケットに包まり、ほぼホワイトノイズのみの機内で目を瞑ります。

・・・額の力を抜きます、首の力をを抜きます、肩の力を・・・何にも考えない、何にも考えない・・・

アメリカ軍仕込みの睡眠術を実行しますが、神経がビリビリしているのか、すごく疲れているはずなのに、全然眠れません。

数か月前から深い眠りに就くのが難しくて、この日も一睡もしないまま飛行機に乗りましたが、ここで眠れないと、トランジット時の空港で眠気に襲われないかと心配してしまいました。

しかしながら、眠れないのに寝るのも辛いので、眠るのは諦めてギャレーに行き、水をもらうついでに味噌味のカップ麺をもらえたのでいただきました。

原料は定かではありませんが、ヴィーガンの表示はなかったのでギルティ―スナックです。

日本のカップ麺より塩味が優しくて、美味しかったのが悲しい・・・。

 

まあ、無事にワルシャワ到着

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今回は着陸時の揺れがひどくて乗り物酔いの一歩手前まで行きました。

到着してから空港施設内に入り、パスポートコントロールを過ぎ、セキュリティチェックを済ませるまで、1時間はかかったかな?

この航空会社、去年から思っていたんだけどやっぱり効率が悪くないか?

空港施設のキャパシティーが間に合ってないというのか、客をさばくのにすごく時間が掛かっているし、去年もそうだったけど、かなりの人数の客を沖止めしてバスで空港施設内に搬送するとか、間に合いそうにないくらい短い時間のトランジットでも発券するとか、ヴィーガンミールは通常食より一品少ないとか、メインの量が少ない過ぎるとか・・・

不満があるなら、次は使わなければいいんですが、それでも使いたい理由があるから使うんです!

そんなわけで、退屈な待ち時間が少なくなってラッキーと思いたい私は、オスロ行に乗り換えるのですが、搭乗口は地上階つまり一階の薄暗いロビーで眠くなりそうなほど静かなところにありました。

多分、また沖止め飛行機に乗るので、バスで搬送だろう、あと10分くらいで搭乗が始まるからいいかと思っていたら・・・ゲートはいつまでも開かず、ボーディングパスには16:50には搭乗ゲートに行けと書いてあるのに、17時をとっくに過ぎている。

ディレイの告知は掲示板にはないが、この飛行機に乗るのは私以外に数人くらいなのか搭乗待ちの人数はとても少なかった。

出発する時刻になってやっとゲートが開き、バスに乗って飛行機に乗るも、出発したのは18時近くになってから、最後に3人くらい乗り込んできたので、遅れた飛行機に乗っていた乗客を待っていたとみられる。

・・・やれやれ、ここで眠れるかもしれない、と思っていたのが甘かった。

空席だらけの飛行機なのに、ネットの座席指定で選べた席は今座っている最後列だけで、しかも隣にはアフリカ系のフランクでフレンドリーなムッシューがいて、おしゃべりしながら時間を潰したいみたいだ。

話せない英語とノルウェー語で会話しながら一時間半を過ごさねばいけなくなってしまった。

寝かせてくれ!

と体は悲鳴を上げ、精神的にもちょっと辛い。

そのとき、今まで経験したことのないような激しく長い揺れが起き、飛行機がかなり降下したように感じた。

始まっていたドリンクサービスは中止となり、CAさんたちも座席に着き、シートベルトを着けてしばらく過ごしていた。

去年から拾った猫を育てているので、その療育責任を思うと事故で死ぬわけには行かず、その場合は誰が代わりに育ててくれるのかとか、かわいい姪っ子が遊びに来たときに誰がその子のためにエンターテイメントを用意できるのかなど、考えてしまった。

ドリンクサービスが再開されたのはオスロ到着の30分程前で、徐々に高度を落とし始める少し前くらいの段階。

無料でもらえるのは水やコーヒー、紅茶のため、隣のムッシューが熱いコーヒーを飲みきれずに、すぐにカップを回収しに来たCAさんにたっぷり入ったままのコーヒーをお返ししていた。

飛行機がオスロに着くまで、またかなり揺れた。

到着して、空港まで迎えに来てくれた友人と一年ぶりの再会を果たしたというのに、気持ちが悪くてテンションが下がったまま、電車に乗り、オスロ中央駅でトラムに乗換えて、友人のアパートへと直行した。

睡眠不足状態が数か月続いていたせいか、距離を超えて時間を遡ったせいか、乗り物酔いをしたせいか、もう、長距離線には乗れないと弱気になりながら夕食も食べずに一日を終えたのは覚えているけど、弱っていたので家に残してきた猫のことばかり考えて、早く家に帰りたい気持ちが強くなり、折角のノルウェーを楽しむ気分にはなれないまま横になり、暗くならない窓の外を眺めながらゆっくりと眠りについた。

・・・やっと眠れた!

 

はじめまして

Yahooのブログサービスが無くなるのでこちらに引っ越ししてきました。

と言っても、ここ数年は更新していなかったのですが、日記や勉強ノート替わりに使っていたブログが消滅するのは何だかもったいない気がして、こちらに移動を決め、これをきっかけにもう少し日々を丁寧に記録しようかな?とも考えています。

 

日本に戻ってきてから、15年のイタリア生活が一変したのですが、ゆっくり時間が進み、変化の少ないイタリア(それも南)と正反対の、毎日のように目まぐるしく変わる日本社会に慣れるまで、体調を崩したり休職を繰り返したりで、今のように安定した気持ちで過ごせるようになるまで時間が掛かりました。

今回はテスト記事なので、この辺で終わろうと思います。

ノルウェー旅行の記事が溜まっているのでアップして行くつもりです。

暑いのは十分です!

本当はもっとブログを書きたいんですが、

帰国後から毎日の生活を少し見直していて
仕事の予定を増やしたり、フリーランスのライティングを引き受けたり
必ず毎日外出するようにしているので、
夜は頭が空っぽになってしまい、
おそ松さんゲームの実況を見て寝る生活を送っています。

帰国後も翌日には研修、そして仕事・・・
と長い休みを取れた分、
しわ寄せが来てしまったのですが、
ノルウェーで毎日クタクタになるまで出歩いていたので
体力が付いたのか、毎日だるくて体が重かった出発前に比べれば
それほど辛くはないです。

そういうわけで、今回は前回の芸術公園散歩記事の続きです。

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手前の集合住宅から延びる桟橋と奥にはデンマーク行きの船が停泊中。
気温は異常気象で27℃、空が南イタリアの真夏のような色をしています。

芸術公園エッケベルグの山を下りて、今度は海辺へと向かうんですが、
“スポーティ”なお二人さんはトラムに乗って行くと言う(歩けよ!)。
トラムの切符はシングルチケットで400円くらいする、
いつもなら10キロ程度は歩いてしまうけど、
この日はなぜか切符が売れ切れとかで、手にはいらなかったので、
ユールンに勧められて無賃乗車しました。

山の後に海に行くって、一日に両方を楽しめるのは
複雑な地形を持つノルウェーの特権でしょうか?

海辺といっても、行ったのはアーケルブリッゲという
観光用のボートが出る港で、ショッピングセンターやレストランがひしめき
トイレを利用するのに便利なエリアです。

私も毎回来るわけではないので、久しぶりに歩いていたら
不思議な建物発見。
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ここに来て、何故かカミッラはパンティライナーっていうのか?
パンツに付けて汚れを防止するコットン素材のやつを買うとか言う。
それ、緊急に必要でしょうか?
スマホでスーパーの場所を確認して進んでいくのだが、
この日はエッケベルグでも、レストランや休憩ポイントなどの
トイレがあるところを使わずに、
散歩途中にトイレに行きたいと何度か訴えてきたため
周るはずのコースを抜けてトイレ探しをさせられた。
・・・何故、毎回毎回同じことをする!?
去年もギスケ島でトイレに行きたいと、島を一周するはずが、
予定変更になったしまったことを思い出す。

今回は休日にあたるペンテコステがあり、憲法記念日の木曜日から
5連休となるため、閉まっているスーパーも多い。

無事、ぱんてぃらいな~を買うことができたカミッラは
早速使いたいと、今度はトイレ探しになってしまう。
アーケルブリッゲのショッピングセンターには無料トイレが、
この界隈にはカフェも沢山あるので、コーヒー休憩ついでに借りれるので
ここでは問題なし。

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すぐ近くに私の知らなかった美術館がオープンしており、
ここのカフェに行くことになりました。

木の外観がとってもステキ。
帆船の帆をイメージした日除けとデッキをイメージした手すりが
マリンテイストで夏に爽やかです(ノルウェーだったらね!)。

カフェは海側にテラス席があり、そのままビーチにも出られるようです。
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二人はノンアルコールビールを注文。
今回は太陽の下にいると暑すぎるのか、
ユールンも日陰を選択。

こんな感じで日光浴をする皆さん。
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こんなお天気の日は皆外で過ごしたいよね・・・
わかりますとも!
・・・でも、でも、冬のノルウェーを知っている私には、
余りの人の多さに疲れてしまいました。
あのシーンとしている海辺とか、まばらな人影とか、
夏は夏で素敵なことが沢山あるのだけど、
オスロの雪景色が懐かしくなってしまう。


その後、ユールンと別れて私たちはイタリア語のミサへ。
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去年と同じ、バラック神父がミサを行い、
去年見かけたイタリア人の面々と交換留学で来ているらしい学生を見かける。

誰一人としてフレンドリーに映らないから不思議。
遠くからジロジロ見てくるのも去年と同じ。

ミサの後で、カフェタイムがあるのでコーヒー欲しさに着いて行ったが、
気分がすごく落ち込んでしまった。
カミッラが張り切ってカフェの準備を手伝っていたところに
私が入っていくと、その場の空気が止まってしまう。
拒絶されているような気になってしまうので
帰ることにした。

私が帰ろうとすると、カミッラも一緒に帰ると言い、
仕切っているババアに挨拶しに行った。
すると、私が食べることのできない“パブロバ”を食べてから帰れと言うので、
それが準備され、テーブルに並べられてから、
カミッラが食べ終わるまで、
私は逃げ出したい空間に我慢して居続けなければならなかった。
 
問題の“パブロバ”メレンゲのお菓子で、その上に生クリームのせてました。
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イタリア人が作りました的なハート形がダサい。
そして、卵使用のため、私は食べられない。

今となっては、楽しい思い出になってはいるものの、
今回は日程が短いためにカミッラが張り切りすぎて
私が楽しみたい日常のノルウェーを過ごすことが難しく
憲法記念日あたりから帰りたくなってしまった。

ユールンはオスロ滞在にあたって、
近郊に住む友人宅でお世話になっているという。
電車で一時間弱の田舎町で、その友人の勧めもあって
泊りがけで遊びに来ないかと誘ってくれたのだが、
このイタリア語ミサの予定が入っていたがために
断ってしまったことを思うと、
嫌な気分のさせられただけのミサよりも
行ったことのない土地で初めてあう人の家に
泊まる方が、精神的なリスクが少なくて済んだかもしれない。

何度も書いてしまうが、予定変更が苦手なカミッラなので
一度決めた予定を変えることはできない・・・。

今回の記事は時間に追われる私のわがままが爆発しています。

芸術トレンディーオスロ

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彫刻公園に行く途中、すっごいノルウェーっぽい看板発見。
“氷が割れるかも!”

オスロ訪問中のユールンに、私の方から提案したお散歩の行き先は
エッケベルグというオスロ東側にある丘で
ここ数年、ハイキングコースとして人気のあるスポットなんですが、
カミッラは乗り気でない。

何故かと言えば、興味のない現代アートの展示と
大嫌いなムンク縁の地ということと
ハイキングコースの中でもかなり整備されているので
めちゃくちゃな山道好きなカミッラには、
頼まれて仕方なく行くような場所です。

ユールンが芸術家タイプなので、行くことに賛成してくれて
3人で行くことになりました。

エッケベルグ入り口
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まるで建築ソフトで作った分譲マンションのチラシCG画像みたいですが、
これ、写真ですよ!
黒い大理石の巨大な女性像が寝そべっている横を通って、
山道へと入っていきます。

入り口にある地図を見て、見どころを確認。
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ユールンがいると心強くて、いつもは100%勇気で乗り切るところ、
安心して山に入っていけるので、とっても気が楽です。
カミッラがハイキングとは思えぬミニのワンピースと鞄、サンダル姿なのは
この日の行き先に不満を抱いていたとしか思えない。

まあ、前回の登山に比べれば、近所の散歩同然です。

休憩スペースの額縁。
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最初の休憩所はゆっくりと30分くらい登ったところにあり、
ムンクの“叫び”が描かれた風景の地点で、
この額物越しに“叫び”ポーズで写真を撮ったりするそうです。
ムンクがこの地域に友達と散歩に来ていたという事実の方が
妙に不思議に感じました。
絵画の背景からして、初夏か晩夏の夕日と夜空がある時期に
今と違って道のなかったであろうこの地域に
わざわざ来るというのが、謎です。
根暗で鬱屈の溜まった画家のイメージがあっても、実はお友だちとトレッキングとか楽しんじゃうリア充な一面もあったのかも?と思うと割と現在の一般的なノルウェー人ぽい。芸術家になれたのも表現方法が上手だったからなのかな?

道を歩けば、彫刻
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こういった視覚に訴える彫刻がほとんどですが、
中には道の分岐点に長細いスピーカーらしきものがあり、
低い声で何語かわかならない言葉を発しているアート作品なんてのもありました。
もし、辺りが暗くて、人気がない日にこの作品の近くを通ったら、
お化け屋敷的に怖いです。

数グループのハイカーさんたちの後に付いて行くと、
地図は見なくても、迷うことはなく効率良く見れそうです。

そういうわけで、明るいほうへ行くと人口水辺があり、休憩ポイント。
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急にエクセサイズを始めるユールンと、指導を受けるカミッラ。
私はベンチで寝そべっております。
ついでにこの日はたくしあげたジーパン、パーカーで
おそ松さんトッティルックでした。
ああ~ノルウェーにいる間、とっても恋しかったのが
おそ松さんでした!
もう、オタク少女の腐女子道に入門しそうです。

この水辺、水の入れ替えはいつ行っているのか、
緑色の濁った水を見ていると、どうしても蚊の発生源になるんじゃないか心配。

実はすっごく退屈しているカミッラは、エクセサイズをしながら早くピザが食べたいと
ぼやき始め、坂道を降りたところにあるレストランで食事となりました。

梨のシードルで乾杯。この日はユールンの誕生日でもありました。
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私もお祝いしたい気持ちがあったので、二口いただきましたが、
アルコールの匂いと味だけで、美味しい梨が台無し的な味でした。

ついでにユールンはオーレスンで都市計画に関わる仕事をしているんですが、
職場トラブルが原因でオスロに転職を考えているそうです。
お互いイタリア在住経験が長い分、第一印象はなるべく社交的に見えるよう
頑張っちゃうものですが、実はシャイだったりするので
前回よりも今回の方がずっと、話しやすかったです。
彼女は仕事に生きているので、私が現在仕事を続けていることを
とても喜んでくれたのが、私にも嬉しかったです。

レストランは野外席のみで超満員、このピザ、結構待ちました。
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私は“やっちまったか!”なベジタリアンピザを注文、
シャンピオン、玉ねぎ、オリーブ、パプリカがのっています。
カミッラは唐辛子入りのサラミが乗った“悪魔ピザ”、
ユールンは鳥の胸肉サラダです。
サラダに付いてきたパンが、美味しすぎて、ピザが到着する前に
随分つまんでしまいました。
一食分だけは足りず、隣で小エビのカクテルを食べていた
中年夫婦が全く手に付けていなかったパンに手を伸ばしてまで
食べてしまいました。
 
周りを見ていると、ピザを注文しているのは私たちくらいで、
サラダやグリルを食べている人が多い印象を受けました。
しかも、小食なのか、レストランに来る前に食べてから来ているのか
残している人も少なくなかったです。

この店、一番安いメニューはユールンの注文した鳥の胸肉サラダで
2400円くらい、ピザは全メニュー2500円です。
・・・お分かりの通り、
やっちまったのは、浮かれて超高額な普通のピザを注文してしまったのです!
この金額は風景込み・・・ということにしておく。

オスロフィヨルドが一望できます。
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ナポリだったら、一人だけ食べないと言うわけにはいかないけど、
ノルウェーであれば、私だけコーヒーを注文して数百円の出費で済んだものの、
ユールンの誕生日ということもあって、一緒に食べたかった・・・。

その後、二人はコーヒーを注文したが、私はやせ我慢です。
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席もテラス側に移動しました。

こんなレストランで食べるなんて、多分に一生に一度くらいでしょう。

彫刻公園が入場無料なので、美術館に入ったと思えば・・・
半分くらいオーガニックのピザを食べたと思えば・・・


お店を出たあと、彫刻公園の出口付近にあった作品。
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とっても現代っぽいのは、窓に見えるものは全て液晶モニター
数秒単位で映し出されるものが変わり、
“たすけて~!”ってノルウェー語で叫んでいます。

薄暗い冬の日に何も知らず、この近辺を歩きたくないけど、
カミッラによれば、冬に間は閉鎖されているのだとか。

ちょっとした運動で体スッキリ、アート作品もあって楽しめて
使った金額は痛いけど、まあ、ステキな一日でした。